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動物児童文学作家のキム・ファンです!!
10/3/15 イーラの写真絵本
 韓国絵本界に、ちょっとした「異変」が起きているようだ。
 今まで何度も、世界の動物写真絵本を韓国の出版社に紹介しては断られてきたぼくとしては、それは「異変」としかいいようのない事態である。写真絵本の古典といわれている「イーラの写真絵本」がついに発売されたからだ。

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 イーラのことはあとで述べるとして、韓国人の写真に対する「偏見」は根強い。
 いやっ、絵に対してあまりにも強い憧憬があるのだろう。
 写真は「何の苦労もせずにシャッターを切れば簡単に描けちゃう絵」というような低い位置付けであったように思える。

 その一枚を撮るために、どれほど苦労と工夫をしたことか! それを説明してもダメだった。いいやっ、出版社だってそんなことは十分にわかっている。「読者が買わないからどうしょうもない」といわれれば、「そりゃあ仕方ない」といわざるを得なかった。


 ノンフィクションもそうだった。
 日本ではノンフィクションといえば、絵でなく写真。事実であることを強調するには、やはり写真だろ。しかし、韓国で初めてだした『コウノトリ』は、貴重な写真を随分と集めたのにもかかわらず、写真でなくてオール絵だった。
 事実なのにどうして絵なの?と編集者にたずねると、「子どもの本に写真を使うと、キツイという批判がくる」と説明を受けた。
 うーん? 郷に入れば郷に従え。しぶしぶ納得した。

 次にでた韓国版『サクラ』は、版元が日本の出版社なので、もちろんオール写真。
 ところがやはり、オール写真というのを和らげようとしたのだろう。日本版で使われた小さなイラストを大きく加工し、各章の表紙に使用させてほしいといってきて、学研さんが了承したという経緯がある。

 『ペンギン』はそんな長年の教訓を活かして写真、イラスト、マンガをバランスよく織り交ぜて、うまくいった。

 さて、イーラのことだ。
 イーラは1911年にウィーンで生まれ、のちに女性写真家としてアメリカで大成功を収めた人だ。代表作『にひきのこぐま』(日本では90年に)は世界中で愛読されている。
 スタジオや動物園で写真を撮って絵本にしていた彼女は、やがて野生動物の棲む現地へ。1955年、インドでウシのレースを撮影中に、ジープから落ちて43歳の激動の人生を終えた。
 彼女の写真絵本は9冊だが、そのうちの『二ひきのこぐま』『ねむいねむいちいさなライオン』が今年になって韓国で発売されたのだ。

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 どうしてイーラの写真絵本が発売となったのか? 自分なりに推測してみた。
 韓国で一番売れている『ふわふわくもパン』も紙で作られたキャラクターを写真で撮った「写真加工絵本」。
 イーラの絵本も、飼いならされた動物が「演技」しているような同じ雰囲気の写真絵本だから、出版されたのかもしれない。

 また、日本の2倍もの留学生がアメリカで学ぶお国柄だ。アメリカのロングセラー絵本が翻訳されて当然といえば当然でもある。
 
 
 とにもにかくにも、絵本大国になりつつある韓国で、写真絵本の受容が進んでいないのはよくないこと。日本の優れた写真絵本も受け入れられることだろうし、韓国の写真家たちにも絵本への道が開かれる。大歓迎だ!

 しかし…
 果たして、イーラの写真絵本は売れるのか? 
 それが一番、気になる。
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by kimfang | 2010-03-16 16:07 | トピックス