動物児童文学作家のキム・ファンです!!
10/06/01 始華湖-諫早-セマングム
f0004331_21484025.jpg 4月27日は、シオマネキなど、韓国の干潟の生きものにとって悲しい日となった。
(左の写真はセマングムの防潮堤)

 着工から紆余曲折を経て19年。この日、韓国西海岸、全羅北道の「セマングム干拓事業」の防潮堤の竣工式が盛大に執り行われた。全長約33キロは世界最長。これによって、諫早湾干拓の約10倍にも及ぶ巨大国策事業が本格化する。干潟は埋め立てられ、生きものたちの棲みかは奪われていく。

 元もとセマングム干拓事業は70年代に当時のパク・チョンヒ政権が、食糧不足を解消する目的で構想していた。91年に工事が始まると、工事の意味や効果を疑って一部に反対の声は上がったものの、開発を望む全羅北道の意向をその後の政権はみな、無視することはできなかった。

 セマングム干拓工事が国民的な大きな関心事となったのは96年頃に、「始華(シファ)湖の水質悪化問題」が表面化してからだ。
 94年に造られた始華湖は、ソウルから西南へ約35キロの始興市と華城郡の入り江を12.6キロの防潮堤で締め切って造った人造湖で、諫早の約5倍の工事規模だ。
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 完成から3年もたたずに塩害で周辺のブドウ畑は被害を受け、魚が大量死する「死の湖」となってしまう。そこで水門が開けられ、結局、政府は01年に淡水化を断念した。開かれた水門によって水質はじょじょに回復していったのだ。             (右の写真は一日2回水門を開く始華湖)

 この始華湖の水門開放を巡る一連の報道が、セマングム干拓工事への国民の関心をどんどん高めていった。多くの日本の市民や研究者も連帯し、反対運動はかなりの盛り上がりを見せ、ついには事業計画の取り消しを求めた裁判で勝利して工事を止めるまでになった。しかし06年に最高裁にあたる大法院で敗訴。「始華湖の教訓」を活かせずに、とうとう防潮堤の竣工式を迎えてしまったのである。
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 が、希望がないわけでもない。始華湖は、一日2回、海水を流通させることで湖の生きものは甦り、水質改善のために植えられたヨシの湿地は水辺の生きものたちのゆりかごになった。ヘラサギやミヤコドリなどの天然記念物の鳥たちも帰ってきた。
 今年末には水門に建設された潮力発電所が稼働する予定だ。
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 日韓の市民たちは、始華湖-セマングム-諫早をそれぞれに訪ねて学び合い、諫早が「日本のセマングム」にならないようにと連帯を深めている。水門を開いて蘇った「始華湖の教訓」が活かされるのかどうか? 熱い視線を注いでいるのだ。

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 幸運にも始華湖は甦ったが、干潟は埋め立てられていることに変わりはない。湖の環境がよくなったことでかえって開発熱が高まり、残った干潟も危うい。
 6月1日(発売予定)、『シオマネキ』の絵本を韓国でだした。小さな小さなハサミだけど、干潟保護の大きな大きな潮を招きたい、と必死にハサミを振る彼らの想いを絵本に込めた。
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by kimfang | 2010-05-30 21:47 | トピックス