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動物児童文学作家のキム・ファンです!!
10/11/12 朝鮮シマリスの100年 <上>
 日韓を行き来した動物たちを調べていると、時として信じられない事実を知ることがある。そのひとつが、神戸市立王子動物園の戦後初となる国際交流事業を報じた、1958年4月27日付け産経新聞の記事だ。

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 ―まず朝鮮シマリス シアトルへ「親善大使」
 姉妹都市のシアトル、神戸両市の動物園では、昨年秋から動物交換の話を進めていたが、その第一陣として、王子動物園から朝鮮シマリス二十匹がシアトルへ送られることになり、二十六日検疫を受けた―  

 どうして、日米親善のために、「朝鮮」のシマリスが送られなければいけなかったのか? 
 1962年にも、京都市動物園が戦後初の国際交流としてチョウセンシマリスをボストン市へ送っている。日本にもシマリスはいるのに…なぜ?
 更に不思議なのは日韓の国交正常化は1965年だ。国交がないなか、どのようにしてチョウセンシマリスが日本にきて、日本の動物園で飼われたのだろうか?

 記事を知ったことがシマリスの本を書くきっかけとなり、4年の歳月を経て、ようやく来春発売の運びとなった。ぼくが書くものだから児童書であり、全てがこの「謎解き」ではないが、ある「深刻な問題」を喚起するために必死に書きあけだ。
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 その話を理解して頂くためにはまず、シマリスについて簡単に説明しなくてはいけないだろう。
 世界には25種類のシマリスがいるが、24種までもが北アメリカ大陸に棲んでいる。
 ユーラシア大陸に棲むシマリスはただ一種、シベリアシマリスという種類だ。ロシア・モンゴル・中国・朝鮮半島、そして日本には北海道だけに棲んでいる。西ヨーロッパにはいないのだ。

 しかし同じシベリアシマリスであっても、分布が広範囲に及ぶことから、いくつかの亜種に分けられている。
 日本のそれは「エゾシマリス」、朝鮮半島のシマリスは、「チョウセンシマリス」、中国のそれは「チュウゴクシマリス」と呼ばれている。

 当然、日本と朝鮮のシマリスには違いがある。
 例えば水の飲み方。日本のシマリスはまるでうがいをするように頭を一度上に向けてから飲みこむ。
 ところがチョウセンシマリスは、イヌやネコのように直接舌でペロペロと水を飲むのだ。

 一番の違いは、チョウセンシマリスの中には冬眠をしないものがいるということ。
 シベリアシマリスは全て冬眠するのだが、韓国南部のように暖かい地域にいる一部のチョウセンシマリスは冬眠をしないものがいるのだ。
 過去には、冬眠するはずの北海道のシマリスのなかに、冬眠しないものがいたという! 
 ある「深刻な問題」というのは、これなのである。
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by kimfang | 2010-11-12 22:11 | トピックス