動物児童文学作家のキム・ファンです!!
10/12/2 盲学校美術授業を参観
 数年前から追いかけているテーマとは、目の不自由な子どもたちの美術教室―「우리들의 눈 わたしたちの目」の活動だ。
 子どもたちの作品はギャラリーでいつも展示しているので、誰でもいつでも観ることができる。ぼくも韓国にいったときは必ず鑑賞している。しかしここはあくまでも展示のスペース、創作をする場ではない。

 あの、研ぎ澄まされた感性溢れる彼らの作品は、いったいどこでどのようにして産みだされるのだろうか? 
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 一度、創作の現場を見たいと切に願っていた。
 子どもたちの作品のほとんどは、盲学校における美術授業で創られる。「우리들의 눈 わたしたちの目」の美術教師が学校へ出向いて授業を行うのだ。
 今回、授業はもう終わってしまったが、特別に「補習授業」を組んでしてくださることになった。

 学校での授業は終わっているので、補習授業は学校の前にある教会で行われた。
 子どもたちのとなりで指導するのは、美大をでた若い先生たち。
ベテラン先生、コ・ジュギョン先生が「クリスマスにちなんだ作品を創りましょう!」といって授業がはじまった。
 
ところがコ先生が、軽快なクリスマスミュージックを流したから驚いた。
ぼくはカメラの音も創作に影響を与えると思い、音の消せるカメラを準備していたからだ。
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 それだけじゃない。紙やフエルトをもらった子どもたちがみな、いっせいに伏せてしまったものだから、激しく動揺した。

 あぁ…ぼくが無理に授業を参観したいなんていったものだから機嫌を損ねているんだ…
 ごめんよ…
 申し訳なく思っていたら、まったくちがった。
 子どもたちは材料の臭いをかぎ、さわり、残った視力で一生懸命に色や明るさをチェックしていたのだ。
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「先生、前のよりいい紙だね」
「もっときれいな色がほしいよ」

 顔をあげると活発な会話が飛び交った。
 とりわけジュンソクは、色へのこだわりがすごかった。
 世界各国の国旗と、そこに使われている色をきちんといえた。
 なかでもオレンジ色が大好きで、ぼくがオレンジ色の材料を探してもってきたが、右目に着かんばかりに近付けて「もっと黄色に近いものがよかった。こんなんじゃダメ」といった。
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 創作現場は、ぼくが想像したよりもはるかに明るくにぎやかなものだった。
 テギョンはコ・ジュギョン先生を家に招待したくてしょうがないようで、しきりにその話をもちだした。
  コ先生はそんなテギョンの話を聞きながら、じょうずに裁縫へと導いていく。

 ぼくもやってみたが、ケガをしないように先が丸いハリだからなかなか縫うのはたいへんだ。
 あとで知ったことだが、目の不自由な子どもたちの手の力はとても弱い。縫物はそんな子どもたちの筋力アップに最適だという。
 また、大活躍の両面テープも指先の感覚を養うのにとてもいいのだ。

 スンテとテギョンの会話は、まるで漫才だ。
ふたりはお互いの家に遊びにいったときの話をしてくれた。階段を何段登ってどちらにいくのか、しっかりと覚えている。お互いの家の正確な見取り図までもがきちんと頭の中にある。
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 黙々と創作に打ち込んでいたのがハヌルとヨンジン。
ハヌルは雪を降らすのに苦心していた。そのかいあって作品は立派なホワイトクリスマスとなった。
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 授業が終わったので、オモニたちが入ってきた。
 作品はクリスマス祭の期間、教会で展示される。今日は持ち帰れないので記念撮影。
 「スンテ、いい顔して!」
オモニがうれしそうにシャッターを切った。

 先生たちとオモニたちが、ぼくの『韓国版サクラ』をたいへんな苦労をして点訳してくださったときいた。
 子どもたちがそれを読んでくれているという。
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by kimfang | 2010-12-11 16:55 | 取材ノート