日本、韓国、中国の絵本作家が共同で「平和」をテーマにした絵本を作り、それぞれの国で出そうという「平和絵本プロジェクト」がある。
提案したのは、日本の作家たち。
04年に平和を願う絵本『世界中のこどもたちが 103』(講談社)を刊行したときに、もっと深く平和を考える絵本が作れないものか?
それも先の戦争で被害者となった韓国と中国の絵本作家たちと共につくれないものか?
05年にそんな想いを韓国と中国の作家たちに提案して快諾を得てスタートした壮大な企画だ。
しかし「平和」といっても、それぞれの国での捉え方はずいぶんとちがう。
作家たちは「デモ作品」をお互いに見せあい、ときには厳しく指摘し合って絵本を創り上げていった。
日本からは、田島征三、田畑精一、浜田桂子、和歌山静子、韓国からはチョン・スンガク、イ・オクベ、クォン・ユンドク、キム・ファンヨン、中国からは周翔、蔡皋、蕭翺子、姚紅、岑龍が参加。 出版社は、日本が童心社、韓国はサゲジョル、中国が訳林出版社と決まった。
昨年、すでに韓国では発売がはじまったが、今年の4月1日、ついに日本でも全12巻のうち3巻が童心社から発売された。
ここに収録されている
イ・オクベの『非武装地帯に春がくると』は祖国の統一を願う絵本だ。 生きものたちの楽園となった非武装地帯の四季の移ろいを見つめ続ける、北に故郷があるハラボジの想いがこめられた絵本だ。
自由を満喫する生きものたちの姿と対比させるように、非武装地帯に配属された軍隊の動きが絵かがれているところがとても印象的だ。
この絵本は、昨年の6月25日に韓国で発売された。
実はこの日は、6.25戦争(朝鮮戦争)がはじまって60年がたった記念日だった。
まだ、この戦争は休戦状態にあるだけで、戦争は終わっていない!
この日に発売されたのには、そんな想いがこめられたのだろう。
ぼくも非武装地帯の生きものたちを取材したくて、何度もここを訪れたが、「地雷注意」の標識などを見るたびに心が痛んだ。
写真は、非武装地帯に設けられた野生動物病院だ。
親とはぐれてしまって、保護されたヤマネコの子ども。
交通事故にあって尾っぽがなくなったキバノロ→
手術を受けているクロハゲワシ。
など、多くの生きものたちに会った。
野生に戻れないものは保養施設で飼われていた。
ぼく以外にも、日本から訪問した人がいて、うれしかった。
戦争になれば、ここの生きものたちも巻き込まれてしまうのだ!
戦争の真の姿。戦争を避けるためにはどうすればいいのか。
「平和絵本」を読みながら子どもたちと話し合ってほしい。
祖国の統一を願ったぼくの絵本『この地の王 オオカミ』も、無事、
3月20日に韓国で発売された。
ただ、まだ、日本に届いてなくて、手にしていない^^