瀬戸内海の小島、祝島を舞台にした
ドキュメンタリー映画、「祝の島(ほうりのしま)」(纐纈あや監督)を観た。 1982年から29年も上関原発に反対し続けている島の人びとの日常が、緩やかに、ときにおかしく、ときに激しく描かれていた。
今からちょうど10年前の2001年10月にぼくはこの島を訪れている。
原発に
反対する長島の自然を守る会」の高島美登里代表から絵本執筆の要請を受けて取材をした。
石垣でできた狭い小路。
急で岩だらけの棚田。
青く茂ったビワの樹。
泊めてもらった、はまや旅館。
あのときに歩いた風景は何も変わっていなかった。
スナメリの観察のために船をだしてくださった清水さん。
バイクで疾走していた島で唯一の女漁師、竹林さん。
お土産を買った日用雑貨店の蛭子さん。
毎週、月曜日に行われるデモの先頭に立つ山戸さん。
懐かしい人たちが、あの時のまま変わらず、きれいな海を、原発と引き換えることなくしっかりと守っていた。
ぼくはここを訪れて感じたことを絵本『のんたとスナメリの海』に込めた。
2002年4月28-29日には
、「長島の自然を守る会」が、絵本の出版を記念して「スナメリキャンペーンウォーク」を企画してくれた。 絵本を紙芝居にして、下関から祝島まで、山口県を西から東へ移動しながら紙芝居と即売会もした。
あのときの思い出も蘇った。
上関原発建設予定地は、祝島のたった4キロ先。
福島の原発事故の例をあげるまでもなく、4キロという数字がいかに暴挙かおわかりだろう。
祝島は遣隋使、遣唐使などが立ち寄った島で、千年も続いている4年に一度の「神舞」という祭りがある。古くから受けつがれてきた文化を継承している島だ。
こんな由緒ある島を、原発と引き換えにした愚かな島にしていいのだろうか。
島のみなさんは、今も、絵本『のんたとスナメリの海』を販売してくださっている。
映画と絵本を、ぜひ、ご覧ください。
絵本は、4月末にでた戦争と平和を考えるブックリスト
、『きみには関係ないことか』京都家庭文庫地域文庫連絡会編(かもがわ出版)でも取りあげてもらった。