科学読み物、『シマリス』が発売された。シマリスは、韓国でもっとも身近で、もっとも愛されている野生動物だ。
なのに、みんな、どれだけちゃんとシマリスのことを知っているのかなぁ?
そんな問いかけをする、野心作だ。
サブタイトルは、「私たちがしらない、本当のシマリス」―。
例えば、シマリスはドングリだけを食べると思っている。
冬眠前の秋にはドングリを食べるけれど、ドングリがないときには虫を食べたり、鳥の卵やひな、
カエルまでも食べたりする雑食性だ。
天敵のヘビにやられっぱなしのヨワムシでもない!
弱ってるヘビなら噛みつくし、噛みくだいたものを身体じゅうに塗ってしまう。
これでヘビに出会っても大丈夫。ヘビの臭いでカムフラージャ。もうヘビからは攻撃されない。
可愛いふりして、なかなかしたたかなヤツだ。
そもそもシマリスの名前にも問題がある。
韓国語でシマリスは「다람쥐」。古い韓国語で「달리는 쥐」。つまりは「走る ネズミ」という意味。確かに地面を走っているけど、本当はそうじゃない。
顎の筋肉の付き具合から、ネズミよりも先に世の中にうまれたことがわかっている。
大先輩に、新参者のネズミを基準に名づけるなんて、何と、失礼な!
それに、地上ばかりを走ってはいない。樹の上で寝たり、キツツキの巣を使ったりと、樹の上でも生活するもの。地上を走ってばかりじゃないや。
こんな風に、今まで知られていない彼らの生態をたのしく学ぶ本だ。
かわいい絵もいいし、使われる写真もなかなか衝撃的だ。
しかし、ここまでくるのに、本当にたいへんだったなぁ。
生きものにまったく関心がない企画委員を何とか説得し、ようやく社長の前でプレゼンが実現。
企画が通ったというのに、社長交代劇があり、原稿は宙ぶらりんに。
もう、原稿を引き上げようか、と悩んだけれど、まだ、無名の頃に韓国ではじめての本をだしてくれた恩ある出版社だ。
韓国の児童書界をリードしていたころの輝きを取り戻してくれると信じて、待った。
まったかいあって、会社は新社長のもとで再スタート。
ところが本格的に編集がはじまったというのに…今度は担当編集者が退職してしまって、またまた、受難…。
はぁ~待たされたなぁ~
記念すべき韓国で10冊目の本は、忘れられない一冊になりそうだ^^