韓国にいくと必ず立ち寄るのが、韓国最大の書店、光化門の「教保文庫」。自分の本がちゃんと置いてあるのか? 今、流行の本は何か?などなどをチェックするためにいく。出版社との待ち合わせ場所にも使っている。
本屋にいくために画家さんと横断歩道を渡っていると、道路の真ん中の中州のようなところでプラカードを首からさげた4人の人たちを見つけた。
画家さんが、
「最近は、ああやって一人でデモやる人もいるんです。『 일인시위』と呼ばれているんですよ」
と、教えてくれた。
「일인시위」を漢字で書くと「一人示威」。すなわち、「一人デモ」ということだ。
韓国のデモは、軍事独裁政権を倒した伝統を持つ。最近では、2008年の「狂牛病デモ」や昨年の「授業料値下げデモ」が、日本でも多く報道された。大規模なデモは届出が必要だが、それがなくてもできるデモとして、ちょっとしたブームになっているらしい。
さて、その内容だが、ぼくが一番共感したのは、若い青年が掲げていたこのプラカードだ。
簡単に日本語に訳すと次のようになる。
フクシマを、もう忘れてしまったのか?
新規原発の敷地選定を、即時、中止しろ!
韓国国民のなかにはフクシマの事故を受けて脱原発に向かうよりはむしろ、競争相手がたいへんなうちに原発輸出をもっと増やすべきだとしている人たちがいる。困ったものだ。
彼の主張には、そういう背景もあるのだ。
さらには、
中国が白頭山の近くで原発を建設しようしている。白頭山に噴火の可能性があることは北東アジアの大きな問題となっているのに、これまた困ったものだ。
事故が起こってからでは遅い!
「日本からきました。頑張って!」
青年と激励の握手を交わした。