イチゴ農場のあとは、養蜂家を訪ねた。ミツバチとともに暮らしている方の生の声を、原稿に反映したかったからだ。
ここでも、新しい発見がたくさんあった。
養蜂家のおじさんと一通り話したあと、燻煙機でハチを落ち着かせるところを実際に見せてもらえないか?とリクエスト。おじさんは、いやな顔ひとつせずにいつもの仕事を見せてくれたのだ。
養蜂の現場で、燻煙機は大活躍している。
ハチたちは巣板を持ち上げられると、巣を守ろうと攻撃に出る。煙は、彼らが発する攻撃フェロモンを伝えられなくするのに使われる。
しかしその燻煙機の煙は、どうしてあんなにうまく出るのか? 前から不思議でしょうがなかった。
燻煙機の実物を見た途端、その謎は解けた。なんと、燻煙機にはシュポシュポと空気を押し出すフイゴのようなものが付いていたのだ。
燻煙機の煙の威力も相当なものだと知った。そんなにもくもく出てなくても、十分に効果があることを知った。
ハチが落ち着いたところで、おじさんが巣板を持ち上げて女王バチを探してくれた。しかしなかなか見つからない。
おじさんは、「女王バチは、何枚もの巣板をどんどん移動するから、相当にすばしっこいんだ」と話した。
女王バチは、どしっとしていてあまり動かないものと思っていたので意外だった。
その話の間に撮ったのがこの写真だ。なかなかいい絵だと思っている。
しかしこの日は、相当に風が強くて、カメラを持つ手が揺れた。ハチたちの接写は、あまりうまくいかなかった^^
おじさんたち養蜂家は暖かくなると、ここからほどないところにある軍事境界線(DMZ)に巣箱を運んでハチたちを飛ばすという。ここの蜂蜜は、DMZの蜜なのだ。
戦争によって作られたDMZだが、皮肉にも豊かな自然が残った。南北が統一してもここを自然遺産として残そうと訴えてきたが、実際にこんな風に役立っているとは思わなかった。
蜜源となる草木が減っている昨今、DMZはたいへん貴重な自然だ!
ここを開発から守らなければ! という思いが、ますます強くなった。