来年上半期、韓国の忠清南道・ソチョンに「国立生態園」がオープンする。
生態学研究の拠点になるのと同時に、国民が自然について深く学ぶ人気の施設になることだろう。 まだ、実際に建設現場にはいったことはないが、国立だけあって、かなりの規模ときいている。 実は、これを造るために関係者(設計士や研究員)が日本の動物園や植物園、水族館を視察にやってきたのだが、何を隠そう、関西の施設への案内と通訳は、すべてぼくがさせていただいた。 あれから数年―。いよいよ来年にオープンかと思うと、わくわくする。 8日、生態園の目玉の一つである南極のペンギン2種類が韓国にやってきたということで、愛らしい姿が連日、新聞や テレビをにぎわしている。 韓国ではペンギンが飼育されている施設はかなり少なくて3施設ほど。飼育されているペンギンも、現在はフンボルト、ケープ、キングだけ(過去も含めて4種類)。 もちろん、南極のペンギンの飼育は今回が歴史上初めてだ。 いいや、韓国が少ないのというよりも、 「ペンギン飼育大国」日本のペンギンに対するこだわりがすごすぎるのだ。 だって世界に18種類いるペンギンの12種類が見られて、 世界の飼育ペンギンの4分の1にあたる約2,500羽も飼育されているのだから――。 そんな「ペンギン飼育大国」に生まれ育ったぼくは、多くのペンギン飼育施設を取材してまとめた『世の中すべてのペンギンの話』(2009年)という本を韓国でだした。 この本を読んで、ペンギンが18種類もいることや、温帯や熱帯に棲むペンギンもいることを知っておどろいたという子どもたちからの声をたくさん伝え聞いた。 ようやく、韓国の子どもたちも、生きている南極のペンギンを見られるのだなと思うと感慨深い。 さて、今回やってきたゼンツーペンギンとヒゲペンギンは、日本の名古屋港水族館からやってきた。 南極大陸で繁殖するペンギンは、コウテイ、ヒゲ、ゼンツー、アデリー、マカロニの5種類といわれているが、そのなかで韓国がゼンツーペンギンとヒゲペンギンにこだわったには理由がある。 韓国のセジョン南極基地の近くで主に観察されるのが、この2種類だからだ。 確か、フランスの基地の近くにコウテイペンギンのコロニーがあり、それで映画『コウテイペンギン』を撮ることができたと聞いたことがある。 でも、いくら基地のそばにいるからといっても、飼育することはできないし、ましてや本国に持ち帰れない(むかしはできた)。 だから今後の研究のためにも、韓国はこの2種類を欲しがったのだ。 ぼくもゼンツーが一番好きなペンギンだ。頭のターバン模様は可愛いし、18種のなかでも一番泳ぎが上手いからだ。だからぼくの韓国語名刺もゼンツーペンギン。 ペンギン本の絵をつけてくれたチェ・ヒョンジョンさんは、京都精華大学に留学していたときに出会った友人。 彼女が帰国した後、出版社を紹介してあげた。 縁あって、ぼくの絵を担当することになったのだが、『ペンギン』のおかげで彼女の実力は広く知れ渡り、今ではぼくよりもすごい人気画家。 仕事のきっかけをつくってくれたぼくにどうしてもお礼がしたいというので、彼女のペンギンの絵が入った名刺を作ってもらった。 どのペンギンにしますか? と、問われて、迷わず決めたのがゼンツー。 名古屋港水族館で、1日中観ていた思い出があったから。 もしかするとあのときに会っていたペンギンが、韓国に渡ったのかも? 来年のオープンが待ち遠しい。
by kimfang
| 2012-11-10 18:32
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