動物児童文学作家のキム・ファンです!!
13/3/28 FTA基金 トマト農家殺す
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 昨秋、韓国で『ミツバチがいなくなると、イチゴが食べられなくなるの?』という科学読み物をだした。野菜や果物の花粉媒介が、いかにハチたちに頼っているのかを知らせる本だ。ミツバチの他にも、リンゴはマメコバチ、トマトはセイヨウオオマルハナバチ(左上)が利用されている。
 トマトにこのハチを使う方法は、1980年代にオランダで確立され、90年代からは日本でも行われている。韓国での利用状況も知りたくて、編者者と画家さんと一緒に、出版社近くのトマト農場取材をさせてもらった。

「これからはトマトだと思って、日本の和歌山で勉強したのさ。有り金を全部はたいて、この施設を建てた。小さな農場だけど、質はどこにも負けない」
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 80歳のハラボジは、ぼくが日本から来たと知って懐かしそうに話した。
 ぼくが質問をすると、「マイク、見せてあげな」と命令する。するとフィリピンからやって来た若者マイクが、ぼくよりも流暢な韓国語で説明してくれた。本の最後のページにはハラボジへの感謝の気持ちも込めて、いい顔の写真を載せた。(左下)
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 ところが先日、韓国の大手新聞に「大企業 トマト農事も村人も殺す」というショッキングな見出しが躍った。 前日、全国のトマト生産者の代表たちが世宗市(首都機能移転のために一部の役所がソウル市から移転)の農林水産食品部(日本の省にあたる)前や、全国の主要都市で、1,000名以上による抗議集会を開いた。
 
 記事によると、韓国大手の農業会社が京畿道のファウン干拓地に大規模な植物工場の建設をはじめたのに続いて、今後は、セマングム干拓地でも大規模な植物工場を建設し、トマトやパプリカを作ることになった。

 ところが問題なのは、この建設事業に政府が色々な名目でFTA支援基金から87億ウォン(約7.8億円)が拠出されたこと。本来この基金は、FTAに伴う個別農家の被害補償のために設けられたものなのに、だ。

 政府や農業会社の関係者は、「国内農業の国際競争力強化にも、この基金が使えることになっているので問題はない。それに、生産されたトマトの90%が輸出用だから国内の生産者を圧迫することもない」といっている。しかし国内の生産者を圧迫することは目に見えている。 
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 トマト農家の代表はいった。
「大企業である大手の農業会社が、先端技術と植物工場まで備え、生産、加工、包装、流通までして内需市場を蹂躙すれば、我々300万人の農民は、大企業の下請け農業労働者に転落せざるを得なくなる!」

 実に、日本が輸入するトマトの55%が韓国産トマトだ。韓国では農業を、半導体に次ぐ優良輸出産業に育てる政策が本格化している。大企業を育てるために巨額の資金が投じられ、弱い人たちが切り捨てられている。
 ハラボジの顔が目に浮かぶ。
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by kimfang | 2013-03-28 12:02 | トピックス