今からちょうど10年前の2003年5月20日、一頭のゾウが韓国への引っ越しをはじめた。
21日にフェリーに乗り込み、23日にソウル大公園に着いた。
ゾウの名前は「サクラ」―。
宝塚ファミリーランドの閉園に伴い、韓国へ引っ越した。
写真左―2003.5.24 東亜日報
写真右―2003.5.21 産経新聞
サクラは宝塚歌劇の舞台にも立ったことがあるゾウ。サクラという、日本を象徴する名前で韓国にいって大丈夫かなぁと、日韓の狭間で生きる在日のぼくは心配したが、サクラは韓国の子どもたちに愛された。
例えばソウル大公園のなかにある動物資料館。
右のような「動物園のスターたち」という大きな展示パネルがある。
何と、3番目にサクラが紹介されている。
そこには「児童書『ゾウのサクラ』の主人公」と書かれているのだが、何を隠そうぼくが書いた本
(『サクラ―日本から韓国へと渡ったゾウたちの物語』学研・韓国でも発売)だ。
ところが、そのサクラが病気で弱っていて、さらには「サクラを家に」というプロジェクトが立ちあがり、生まれ故郷のタイに送ろうという動きがあることを以前の記事で伝えた。
さて、今日はその後のことだ。
フィリピンに移住した元担当飼育員のパクさんも見舞い駆けつけて動物園側にアドバイスをした。(左下)
一方、引退したゾウたちが余生を過ごす施設である「エレファント・ネイチャーパーク」の代表クンネッ(真ん中)と広報(右・有名女優らしい)がタイからサクラに会いにきて、「送ってさえくれれば、すべて自分たちの費用で最後まで面倒をみる」と積極的な発言をした。
サクラは1965年生まれ、生まれて7か月半のときに日本にきた。
今年で48歳だ。野生での寿命は60歳といわれ、動物園で飼育されているゾウのほうが短命という報告もある。
サクラのことを考えると生まれ故郷のタイに帰るのがいいのかもしれない。
いいや、日韓友好のシンボルとして、そのままソウルにいてほしいという想いもあって、何とも複雑だ。
どうなる? サクラ