動物児童文学作家のキム・ファンです!!
13/7/12 民主化の原点 光州へ ② 「師匠」と呼ばれて
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 光州駅に着くと、今回の講演を企画したチョン・ボンナムさんとキム・ヨンジュさんが出迎えてくださった。
 せっかく光州にいくのだから、「国立5.18民主墓地」にいってみたい。そこで早い時刻にソウルを出発し、講演の前に訪れることになっていた。
 ところがチョンさんが、「どうしても先生に会わしたい人がいるの。先生にとっても大事な人になるわ」というので、昼食をとったあと、その人が務める市の施設にいった。

 現れたのは、獣医師のチェ・ジョンウクさん。今や韓国でも最も有名な動物博士。テレビの動物番組の解説者をしたり、全国紙に動物コラムを書いたりしている売れっ子作家でもある。もちろん、ぼくも、ぜひ、会って話したい人だった。

 一度も会ったことのない彼とぼくの接点は、2007年に韓国でだした『코끼리 사쿠라』(창비 学研からでた『サクラ―日本から韓国へと渡ったゾウたちの物語』の韓国語版 )だ。

 視覚障害のある子どもたちの美術教室である「우리들의 눈 わたしたちの目」は、「郡盲ゾウをなでる」という言葉に込められた偏見に挑戦しようと、子どもたちが実際にゾウに触れるというプロジェクトを企画した。
 ゾウの資料を探していたところ、スタッフは『サクラ』の本と出会い、子どもたちをソウル大公園にいるサクラに会わそうとした。しかしソウルの動物園からは、あまりにも危険ということで断られた。
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 そのとき、このプロジェクトを知り、『サクラ』を読んで感激したチェ・ジョンウク獣医師が「責任はすべて自分が負う」と光州のウチ動物園を説得。子どもたちとゾウとの触れ合いを実現させたのだった。写真の左端、子どもの手を持っているのががチェさん。

 2009年6月、光州ウチ動物園での奇跡――。
視覚障害のある子どもたちがゾウと触れ合うニュースは、韓国全土で大きく報じられた。
彼もまた、このニュースを機に、全国区となっていったのだ。


「『サクラ』は、しーんとしていた韓国の動物文学界に一大旋風を起こした作品です。だれが何と言おうと、わたしはそう思います。だって、本の評価は読者がするものですから。先生が本に書くまで、あの『朝鮮王朝実録』にゾウのことが書いてあるなんて、だれも知りませんでしたよ。先生が書いてくださったので、韓国の人たちにとってゾウがたいへん身近で親しい動物になりました」

 チェさんは、むずかしいとされる動物園でのアジアゾウ出産を見事に成功させた人。ゾウに対する思い入れは半端じゃない。
 動物園からは離れたが、彼はまだ公務員。休み時間にしか会えないと聞いて、ぼくたちは彼の職場をわざわざ訪ねたのだが、彼は規則を無視し^^ その後向かった「国立5.18民主墓地」へも同行して、当時のことを詳しく解説してくれた。あの民主化運動のとき、彼は中学生だったという。
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 帰り際、チェ獣医師がいった。
「私にとって先生は『師匠』のような方です。これからもともに動物たちのことを知らせていきましょう」

 有名な動物文学作家からそういわれて照れ臭かったが、ようやく韓国にも、こうやって動物のことを一生懸命に書く作家が現れたかと思うと、うれしくてたまらなかった。

 同時に、まだまだ師匠と呼ばれる域には達してないけれど、これからもずうっと後輩に刺激を与え続ける作品を書かなくては! と、ピリッと気が引き締まった。
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by kimfang | 2013-07-18 14:27 | トピックス