18日、ソウル大公園でイルカショーをしていたチェドリが、無事に済州島の海に帰った。捕獲されてから4年ぶりに取り戻した自由だ。水族館や動物園で飼われていたイルカの野生復帰はたいへん難しい。イルカは群れで生きる社会性動物。本当に成功したかどうかは、チェドリが群れに受け入れられるかどうかにかかっている。
けれども、チェドリと一緒に野生化訓練を受けていたサムパリが囲いから脱出しあと、群れのイルカと行動をともにしているのが確認されているので、チェドリも大丈夫だと楽観している。 <チェドリとチュンサムが自然に帰ったときの動画映像 SBSニュース> チェドリのことは、ここでも何度も紹介してきたが改めて整理しよう。 2007年11月、ミナミハンドウイルカのチェドリは研究者によって発見され、個体識別番号が与えられた。 ところが2009年5月、違法に捕獲されて済州島の「パシフィクランド」でイルカショーをすることになり、その後、ソウル大公園に買われてソウルでもショーをしていたのだった。 ミナミハンドウイルカは韓国の海に114頭しかいない希少種。保護対象のイルカが違法に捕獲されて、しかもショーをさせられていたというショッキングなニュースは韓国内で大きな話題となり、やがてチェドリを元いた海に帰そうというというポジティブな世論へと発展していく。 写真は、子どもたちが書いた要望書のひとつ。「イルカをもう一度、海に帰してくあげてください。わたしたちも故郷がいいと思っているように、イルカだって故郷がいいと思っているのです」 2012年3月、ソウル大公園を運営するソウル市のパク・ウォンスン市長が海に帰すことを正式に決めた。果たしてチェドリは、無事に海に帰れるのか? チェドリのことがニュースにならない日がないほど注目される。 同じ年の5月、ソウル大公園はイルカショーを中止した。 2013年3月、ソウル大公園はもうすぐ海へいくチェドリとのお別れ会を企画し、その期間中にぼくもチェドリと会った。 今年の4月、済州島のソンサン港に囲いを作って、チェドリ、チュンサム、サムパリの3頭が海に帰るための訓練がはじまった。 ところが2013年6月22日、サムパリが囲いから脱出する事件が起こる。しかしその後、群れに受け入れられたサムパリが発見されて、残るチェドリ、チュンサムの野生復帰への自信を得たのだった。 そして18日、チェドリ、チュンサムは無事に海に帰っていったのだ。 さて、こんなに話題になったチェドリのことだ、これを本にしない手はない。ぼくも海に帰ることが決まると同時に、企画書を作って韓国の出版社を訪ねた。ノンフィクションにしたい気持ちはあったが、日本に住む身では無理。そこでチェドリだけでなく、イルカのことを全体的に取り上げる科学読み物とすることで企画が通った。 ありがたいことにこの企画は、韓国出版文化産業振興院が選ぶ「優秀出版企画案」に選ばれた。しかし本の発売は来年になりそうだ。 けれども、やはりというか、チェドリを主人公にした本が、つまりはノンフィクションが、早くも数冊刊行された。おそらくもっと出てくることだろう。 イルカの本が売れるとなると、海外の良書がどんどん翻訳出版されるかもしれない。ぼくの本は「国産」の良さをアピールする内容にしているが、果たしてあとから出しても子どもたちから支持されるのか? 不安もある。 それでも、今まで動物にあまり関心のなかった韓国において、イルカの本がたくさん出ることはいいことである。
by kimfang
| 2013-07-29 09:13
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