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動物児童文学作家のキム・ファンです!!
13/8/25 ネコな夏③ イヌを飼ってネコを防ぐ
 ぼくにだって、学習能力はある。ミツバチは当初、絵本原稿を出版社に送ったのだが、結局、科学読み物としてでた。イヌだって本当は絵本原稿を持ち込んだのに、やはり、科学読み物にしてくれといわれてだした。このパターン、最近、めっちゃ多い^^

 超がつくほどの出版不況だ。絵本にならないのを悲しんでいる余裕はない。ネコの科学読み物にして、そのなかでヤマネコ保護や猫エイズの恐ろしさを訴えればいいと方針転換した。しかし簡単ではない。それは、他でもなく、ネコだからだ。
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 これも学習したことだが、韓国の中年以上の人たちの、ネコに対する「偏見」はふつうではない。日本では考えられないことだが、復讐する恐ろしい生きものという古い迷信を、いまだに固く信じている人が結構多いのである。先日も、韓国からの友人が我が家へきて、うちのチャムを見るなりこわくて逃げだした。動物が嫌いなわけでなく、ネコを受け入れられないのだ。

 韓国に 「ネコを3年以上飼ってはいけない」という迷信がある。それを生むことになった「イヌを飼ってネコを防ぐ 개를 키워 고양이를 막는다」というむかしばなしをひとつ紹介しよう。
 むかし、ネコを飼っている人がいた。ところがこのネコはたちの悪いネコで、ネズミも捕らずに近所の家の食べ物を盗むようになった。「この、どらネコめ、近所の人に迷惑をかけるなら、もう生かしてはおけぬ!」。
 主人はしかたなく、ネコを殺してしまった。
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 何年かたった。その日は寺の僧が施しを受けにきた。主人が渡したお米を受け取った僧は、主人の顔をつぶさに見たあとにいった。
「大変です。もしや、むかしネコを殺したことがないですか? 殺したネコが大きくなって、もうすぐあなたを殺しにやってきます!」。「何? 私を殺しに…復讐しにくると…」

 主人は、どうすれば助かるのかと僧に相談した。
 すると僧は、「호박개 (毛がふさふさした大きなイヌ)を3頭だけ手に入れてください」といった。
 そして、エサもふつうに器に入れてやるのではなく、空中に放り投げて捕えるように訓練をさせること。ひとつの場所に集めないで、門、裏庭、板の間に分けて飼うこと。そしてネコがいつくるかを具体的に教えて、絶対に外にでてはいけないと念を押した。

 その日がやってきた。僧が予言した、まさにその日のその時間に突然、カミナリが鳴った。やがてイヌとネコが闘う声が聞こえてきたのだ。主人は震えながら、朝になるのをひたすら待った。
 夜が明けて表にでると、巨大なネコの死体のかたわらで3頭のイヌも死んでいた。
「…こんな大きなネコが…。イヌたちよ、ありがとう…」。主人はイヌたちの墓をつくって手を合わせた。
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 他にも恐ろしい迷信はある。葬式のときにオンドルの通路にネコが入ると、遺体が起き上がるとか、ネコが煙突に入ると遺体が起き上がる、などだ。だからむかしは、葬式のときにはネコが入らないようにオンドルの通路や煙突をふさいだという。

 覚悟していたとおり、数年前まではネコをやりましょうという積極的な出版社はなかった。そこで『イヌ』をきっちり成功させて、このような本の「ネコ版」はどう? とアピールする長期戦に打ってでたのだ。

 つまり、ぼくの場合は「イヌを飼ってネコを防ぐ」ではなく、「イヌを成功させてネコをだす!」。

 さて、今年3月にだした『イヌ』がそれなりに評価されたこともあって、ようやく長期戦も大詰め、「締め」の段階にきた。
 望んでいたように、ネコを考えもいいですよ、といってくれる出版社が現れた。しかし、それには条件があった。海外の翻訳ネコ本にはない、国産ならではの「韓国のネコ文化」をしっかりとたくさん書くこと。
 そんなことは百も承知だが、以前から随分と調べてきたのに、やはり恐ろしい生きものという迷信もあってか、資料があまりない。
 韓国にないなら、日本で探すしかないのだが、果たして見つかるのか……。すると、意外な方面から面白い話を見つけることになった。

 ※当然、韓国にもネコを愛した人は、たくさんいた。
 NHKで放映された韓国ドラマ[トンイ]で、トンイの夫となる王様・粛宗 숙종は、ネコを愛した王様として有名だ。 

 上の2枚の絵は、ネコをたくさん描いた画家として有名なピョン・サンビク 변상벽 の絵。下は韓国ドラマ「風の絵師」にも登場するキム・ホンド 김홍도 の絵。
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by kimfang | 2013-08-25 14:29 | トピックス