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動物児童文学作家のキム・ファンです!!
13/8/26 ネコな夏④ スウェーデン人が書いた「韓国の野生動物誌」
 この夏は、本当にネコの本ばかり読んだ。特に、人とネコの文化史関係の本ばかりを選んで読み、そこに韓国のネコのことが一行でもいいからでていないか、注意深く読んだ。しかし、エジプトやヨーロッパ、中国のネコのことは書いてあっても、「ネコが朝鮮半島や中国から仏教とともに日本にやってきた」という、よく知られたことしか書いてなかった。
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 そんなとき、ずいぶんと前に留学生からもらった本を思いだした。本棚でねむっていたのは、大韓帝国末期に書かれた外国人の本を探しだして翻訳した「韓末 外国人記録シリーズ」のなかの一冊だ。このシリーズの刊行は、政治学者の申福龍教授が30年に及ぶ苦難の歳月をかけて完成させた偉業だ。

 ぼくが持っているのは第22巻(全23巻)の『韓国の野生動物誌』。申教授が1985-86年にアメリカに留学したときに、古書店の店主に「Korea」と名が付く本なら何でも連絡してくれと頼んでおいて、見つけだしたスウェーデン人、S・ベリマン(Bergman)が書いた韓国旅行記だった。
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 ベリマンは、スウェーデン王室自然史博物館に展示する野生動物を手に入れるために、1935年2月に日本統治下の韓国(当時は朝鮮)を訪れた。スウェーデン国王が送った人物ということで、特別待遇を受けた。

 自由に狩りをして、捕った生きものも自由に持ちだしても構わない。しかも狩りには、関東軍が護衛としてつく。日本(総督府)が相当に気を使っていることが見て取れる。


 全部で34章になる本を無造作にめくった第一印象は、写真がとても多いこと。動物だけでなく、当時の人たちの生活をたくさん撮っていて、130枚にも及ぶ。
 このなかにネコの写真と、当時の人たちがどのようにネコと暮らしているのかが、きっとあるはず! 期待は、いっきに高まった。
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 第8章にきたときだ。あった! 
 思わず、叫んだけれど、よく見るとそれは、オオヤマネコの子どもだった。
 ベリマンは、「トラの子ども」だといって持ち込んだ人から購入し、ペットのようにかわいがっている。ふつうは捕った動物はすぐに、スウェーデンから連れてきたはく製師にはく製にさせているが、このオオヤマネコは殺したくなかったのだろう。帰国前に、当時、韓国唯一の動物園だった「李王職 昌慶苑動物園」に寄贈している。

※「李王職 昌慶苑動物園」については、『サクラ―日本から韓国へと渡ったゾウたちの物語―』(学研教育出版)に詳しく書いたので読んでほしい。
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 本のうしろの方、26章にまで読み進んだときだ。この日はベリマンが、日本人の友人、津村氏が勤務する京城(今のソウル)の韓国人ふつう学校を訪問したときのことを書いていた。

 何と、子どもが「ねずみをとれ」と筆字で書いている写真があった。
 ねずみを捕るために家畜化されたのが、ネコ。きっと、ネコについて書かれているぞ。ひと文字も逃さないよう慎重に読んだ。が……ネコのことはひと言も書かれていなかった。

 しかし、心に重く残った文書があった。

「私は、あの子たちがむずかしい日本と中国の文字を学んでいるのが、気の毒に思えてならなかった。」
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by kimfang | 2013-08-26 13:17 | トピックス