2009年から続いている年間2冊以上の「マルチ出版^^」。今年はもう途切れるのかなぁと思っていたら、何と、来年になるかと思っていた『イルカ』をだすという連絡がきた。ここ数日間、校正との格闘でふらふらだ。 左の写真は、表紙候補。
このイルカの科学読み物の企画を提案したのは、昨年の4月だった。ソウル大公園で飼育されていてショーまでしていたチェドリが、韓国に114頭しか確認されていないミナミハンドウイルカで、しかも違法に捕獲されたイルカだったことがわかり、そのイルカを元の済州島の海に帰そうという世論が巻き起こっていた頃だ。 折しもこのとき、新しい海軍基地建設を巡って済州島の海は注目を集めていて、「チェドリを済州島の海へ」という機運は基地反対運動とも連動して相当なものだった。 ぼくも何か、チェドリを手伝えないか? チェドリを主人公にしたノンフィクションも視野に入れて出版社に提案してみた。すると、意外にもチェドリだけの本ではなく、イルカを総合的に知る科学読み物を書いてほしいといってきた。 なるほど! ぼくもその方が結果的にチェドリのためになると思い、よろこんで引き受けた。その理由は、韓国にはまだ、イルカの基礎知識を教えてくれる「国産」の本がなかったからだ。 唯一あるのは、ぼくが一番お世話になっているチャンビがだしたクジラの科学読み物、『クジラはなぜ海にいったのか』。かなりのロングセラーだが、進化のことが中心で、クジラ・イルカと暮らしてきた文化や、最新の生態知識に乏しかった。 ほかの分野もそうなのだが、韓国は応用問題を解きながら同時に基礎も学んでいるようなところがある。民主主義にしても、それまではずうっと軍事独裁政権だったが、1987年に民主化宣言があってようやく民主化されて、歴史は浅く、まだまだ落ち着かない。 産業にしても長い基礎技術の積み重ねの上に今があるのではなく、60年代の世界最貧国からたった50年で、G20国まで、急スピードでのしあがるってきたので、そのもろさは克服しなければいけない弱点でもある。 イルカにしてもそうだ。先進国でもあまり例のない、水族館で飼育されていたイルカの野生復帰という「応用問題」を見事に解いたにもかかわらず、人とイルカの関係を変えた「オポ」の本も、水族館から海に帰っていった世界でいちばん有名な「ケイコ」の本もでていない。 多くの人が知らないのは仕方ないが、水族館などに勤めていてイルカに係わっている人でも、この2頭のイルカを知らないのだ。つまり、基礎ができていないのである。 ということで、オポやケイコの話もでてくるイルカの科学読み物を書くことになったのである。 さて、今回の本の画家さんは、絵本『トキよ、帰っておいで!』で組んだイ・ミンソンさん。ライバルのクジラの本が、「かわいい系」だから、ぼくたちは「かっこいい系」で勝負することに。 表紙やトビラに筆字を入れて、「国産」というのをアピール! すでに「優秀企画賞」はもらっているので、あとはデザイナーと編集者にかかっている。 頑張ってや!
by kimfang
| 2013-11-28 08:39
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