動物児童文学作家のキム・ファンです!!
14/5/22 北魚(プゴ)の縁起物
 もう十年も前のことだ。ソウルの仁寺洞を夫婦でぶらぶら歩いているときだった。雑貨屋からでてきた妻が、「ねえねえ、この店に面白いものがあるよ」と手招きした。ぼくが、動物をデザインされた雑貨を探しているのは妻も承知のこと。どんな掘り出し物が見つかったのかワクワクしながら店に入る。すると妻は、所狭しと並べられた目の前の雑貨ではなく、入口の扉の上の方を指差したのだ。
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「ほら、あれあれ」
 扉の上には換気扇があり、その隣に、30センチほどもある大きな干魚に糸の束が巻かれていた=写真。
「おう、スケトウダラだ!」
「何それ?」
「うーん、わからないか。なんて説明しようかな、ほらっ、チャサ(제사 法事)でお供えする」
「あぁ、メンテ(맹태 / 方言)」
 そう。ミョンテ(명태 明太 / 標準語)というのが一番わかりやすかった。チャサ(제사)といった途端にわかるところが、なんとも妻らしい。しかし、いったいどうしてスケトウダラが店に飾ってあるのか。不思議でたまらなかった。
 そこで店員にたずねてみたのだが、店員はしきりに首を傾げる。
「……お客さま、ミョンテ(명태)て何でしょうか? あれはプゴ(북어 北魚)ですが……」
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 むかし、半島ではスケトウダラはよくとれた。特に、現在、北朝鮮の東海岸はとてもよくとれた。そのスケトウダラを干して乾燥させたのがプゴ(북어 北魚)なのだ。北の方から乾燥させた商品が南や内陸部に運ばれたので、「북」(北)の「어」(魚)という名がついたらしい。
 半島ではスケトウダラは、いろいろな名前で呼ばれている。生のままだと「センテ 생태 生太」、凍らしたものは「トンテ 동태 凍太」、海辺に置いておいて、凍ったり解けたりを繰り返し黄色くなったものを「ファンテ 황태 黄太」というように。
 それぞれちがう魚だと思っている人もいるらしい。おそらく店員は、そのなかのひとりたったのだろう^^

 ぼくは気を取り直して、どうして糸を巻いたものを飾っているのかをたずねた。
 店員は、朝鮮半島の鍵の多くが魚の形をしていることから話しはじめた。まぶたのない魚の目は、24時間常に開いていて、閉じることはない。家具のなかの財宝をしっかりと守ってくれるということからだ。
 店も、いつまでも閉じることなく、続いた方がいいに決まっている。魚の目が閉じられないように、店も閉じることなくずうっと続いて欲しい。そこで目の大きなプゴに、何事もするするうまくいくようにという意味を込め、ほどけやすく束ねられた絹糸の束(실타래)を巻いたものを飾るというのだ。

 つまりは、お店がいつまでも繁盛しますようにという縁起物なのだ。韓国では店をはじめるときに多くの店がこれを飾るという。
 また、同じような意味で、家やビルを建てたときの棟上げ式、新車を買ったときにもこれを供えて厄払いし、飾るという。

 ぼくも仕事が途切れずきますようにという願いをこめて、飾ってみようかな^^
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by kimfang | 2014-05-22 18:46 | トピックス