韓国絵本紹介コラム第4回です。
夢与えた初の国際賞
今回紹介するのは、『あずきがゆばあさんとトラ』(原題 팥죽 할멈과 호랑이)。
むかし、おばあさんがあずき畑で働いていると、山からトラがおりてきて食べようする。
「このあずきが実ってから、あずき粥を食べるまで待っておくれ」
あずき粥まで食べたいトラは、「あずきができるころにまたきて、とって食ってやるからな」といい残して帰ってく。
秋になり、あずき粥をお釜いっぱいに作ったおばあさんは、悔しくて、悲しくて、しくしく泣いた。すると、たまご、スッポン、うんち、きり、石うす、むしろ、しょいこたちが順番にやってきて、「一杯くれたら、助けてあげる」といってかくれる。
夜になって、ついにトラが。おばあさんが見えないので火をつけようとしたところ……。
日本の「さるかに合戦」によく似たお話だ。
ところでトラは、おばあさんだけでなく、あずき粥も食べようと欲張ったために墓穴を掘る。おばあさんに味方した者たちもあずき粥がほしいから助けてくた。それほどみなが、あずき粥が食べたいと思うのには訳がある。
韓半島では、古くから冬至の日にあずき粥を食べる習慣があるのだ。冬至の日は昼が一年で一番短くて太陽の恵みが一番弱い。冬至の日に邪気をはらうという赤い色の食べ物、つまりは、あずき粥を食べたり、まいたりするようになったと考えられている。
さて、この絵本、ありふれたむかし話絵本に思われがちだが、韓国の絵本として歴史上初めて大きな国際賞を受賞した。イラストレーターのユン・ミスクはこの絵本の原画で、「ボローニャ・優秀賞」を受賞した。
絵本に関わった者なら、誰もが憧れる栄誉な賞の受賞は、韓国の絵本関係者にそれはそれは大きな夢と希望を与えたのであった。
写真提供―韓国 河南市 金英淑さん
このコラムのために、友人のオモニがわざわざ小豆粥を作って写真を送ってくださった。
この場を借りて、お礼を申し上げます。
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