韓国絵本紹介コラム12回目です。
3月は一年のなかでも、もっとも引っ越しの多い月。今回紹介する絵本『マンヒのいえ (原題 만희네 집)は、狭いアパートで暮らしていたマンヒが、ハラボジ、ハルモニの家に引っ越すという話だ。 韓国のむかしながらの暮らしが残る家がたいそう気に入ったマンヒが、広い家のなかをひとつひとつ読者に案内していくというつくりになっている。 まずは奥座敷であるアンバン、台所、納屋、チャンドクテ、裏庭、前庭、玄関、マンヒ自身の部屋、お風呂、屋上、アッパの部屋も紹介するが、最後は眠ってしまう。 では、マンヒに代わってわたしが、ひとつだけマンヒよりも詳しく説明してみよう。玄関を紹介したときにマンヒはつぎのように話す。 「玄関のとびらの上に、頭が3つあるタカのお札を貼ってるでしょ。 『いいことがありますように』って、おばあちゃんが貼ったんだ」 絵はかなり小さいが、それでもちゃんと「サムドゥメ」とわかるように描かれている。さまざまなタイプのものがあるが、写真のように3つの頭(サムドゥ)を待つ タカ(メ)が、トラの背中に乗っているものが、もっとも一般的だ。 勇敢なタカが、災難をしっかりと狩ってくれる。そこに神聖なトラまでいるのだから、これで安心。 このようなお札のことを「三災符籍」という。 「三災」とは、水、火、風の災難のことで、「符籍」とはお札やお守りを意味する。 わたしがこの絵本で一番気に入っているのは、絵の一部だけが白黒になっているところ。はじめて読んだときはわからなかったが、何度も読みかえすうちに、絵の白黒の部分は「つぎのページで詳しく紹介する部屋ですよ」と、作者が事前に示してくれていたのだ。 新聞のコラムでは写真が小さくてわかりづらいので書かなかったが、表紙が全体的に白黒なのにも、ちゃんとした理由があるのだ。よ~く見てほしい。門の内側の一部には色がついている。つまりは、これから、家、全体を紹介しますよ、という作者からのメッセージが込められていたのだ! 絵本のなかには、むかしから韓国の家庭で使われてきた、少し古い家具や道具がいっぱい登場する。それらを通じて、むかしながらの韓国の暮らしを体験することがでる。 この絵本は、韓国を代表する絵本作家のひとりであるクォン・ユンドクが、息子のマンヒに読ませるためにつくった、彼女のはじめての絵本だ。発売から20年が過ぎた今も、多くの子どもたちから支持されているロングセラー。フランスでも発売されている。 貴重な写真を提供してくださった高麗美術館さま、この場を借りてお礼を申し上げます。 記事全文はここから読めます。
by kimfang
| 2015-03-18 18:53
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