動物児童文学作家のキム・ファンです!!
15/4/23 絵本の可能性 広がれ
韓国絵本紹介コラム15回目です。
絵本の可能性 広がれ
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 韓国の人たちは詩が大好きだ。たとえばソウルの地下鉄のホームにある安全扉。だれかが書いた詩がガラスに書かれていて、電車を待つ間に読むことができる。テレビでも、タレントや市民が自分のつくった詩を披露している場面をよく目にする。詩が、生活のなかに息づいているのだ。

 国民から愛されてきた童詩や童謡に絵をつけて、絵本にしてみるのはどうだろう? 韓国の老舗出版社チャンビは、絵本のさらなる可能性を広げようと画期的な企画を考えた。それが、「ウリ詩絵本」である。
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 シリーズの第1巻は『しろいは うさぎ』(第12回で紹介)。それから何と、11年もかかって2014年に第15巻の『こいぬとこやぎ』(日本語訳未刊)でようやく完結をみた。
 このシリーズには、韓国を代表する画家たちが多数参加したということもあって、日本で翻訳出版されたものが結構ある。今回は第3巻の『よじはん よじはん』(原題 넉점반)を紹介しよう。

 この詩を書いたのは、韓国を代表する童謡詩人、ユン・ソクチュン先生だ。13歳から詩を書きはじめ、約1300作を残し、半数以上が童謡となるなど作詞者として有名だ。
 また先生は、子どものことを「オリニ」と呼ぶことを普及させたパン・ジョンファン先生亡きあと、その遺志を引き継いで解放後の韓国児童文学の発展に大いに尽くされた方だった。

 さて、内容だ。まだふつうの家に時計がなかった時代。オンマが幼い娘に「今、何時か聞いてきて」と頼む。女の子は近くのお店にいって、
 「おじさん おじさん いま なんじ かあさんが きいてきてって」とたずね、
 店主は「よじはんだ」と答える。
 女の子はすぐに家に帰って、早くそれをオンマに伝えなくてはいけないのだが……。ニワトリ、アリ、トンボ、オシロイバナに出会ってしまう。道草をいっぱいして、日がとっぷりと暮れたころにようやく家にもどり、
 「かあさん かあさん いま よじはん だって」と知らせるのだ。
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 絵を描いたイ・ヨンギョンは、ユン・ソクチュン先生が詩を書いた時代よりも少し下げて、1960年代の田舎の風景を念頭に描いた。彼女がつくりだした主人公の女の子の、何とも愛らしいこと! 

 わたしは韓国のオリニ図書館で多くの講演を行っているが、写真のように壁や柱に描かれたこの主人公と出会うことがしばしばある。詩だけでなく、絵も高い支持を得ているのである。
 原書の画家プロフィールには、「絵本の主人公は先生とうりふたつです」と書いてある。
 これもまた、微笑ましい。

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by kimfang | 2015-04-23 19:21 | 連載