動物児童文学作家のキム・ファンです!!
15/5/29 天才作家唯一の童話
韓国絵本紹介コラム18回目です。
天才作家唯一の童話
     
 みなさんは「トッケビ」をご存知かな? 韓国のむかし話の定番といえば、トッケビ! たくさんのお話がある。でも、あまりピンとこないことだろう。トッケビは韓国独自の想像上の生きもの。日本にはいないから。日本語で説明するのはかなりむずかしいが、あえていうならば、お化け、妖怪、鬼といったところか?  

 けれどもトッケビは、死んだ人が化けたものではない。自然物から生まれてくるともいい、また、古い生活道具などから生まれるとも。その姿はまちまちで、いろいろなものにも化ける。このように日本語でピタリと当てはまるものがないので、そのままトッケビと訳されているのだ。
f0004331_15352673.jpg
 今回は、そのトッケビがでてくる数あるお話のなかでも、とりわけ有名な『うしとトッケビ』(原題 황소와 도깨비)を紹介しよう。これはむかし話ではない。近代韓国を代表する作家、イ・サンが1937年3月に発表した童話だ。

 まき売りのトルセは大切なウシと暮らしていた。ある日、暗い森のなかを歩いていると、突然、トッケビの子が現れる。トッケビはイヌにしっぽをかまれてしまい、傷が治るまで術が使えなくて帰れない。
ふた月の間だけウシのお腹のなかに入れてもらえないかと必死に頼む。その代わり、ウシの力を今の10倍にすると約束する。
トルセが頼みを聞き入れてやると、ウシの力が本当に10倍も強くなった。以前にも増して自慢のウシだ。
f0004331_15355632.jpgf0004331_15361579.jpg
 やがて約束のふた月が過ぎた。ところがトッケビの子は太ってしまい、ウシののどからでられない。トッケビがウシのお腹を破れば、ウシは死んでしまう。果たしてウシは、トッケビは……。

 作者のイ・サンは、詩、随筆、小説など、多様なジャンルで優れた作品を書いたが、27歳という若さで亡くなる。天才作家と呼ばれるイ・サンが唯一書いた童話を絵本化したのが、今回の絵本だ。

 また、絵をつけたハン・ビョンホは、トッケビを描かせたら右にでるものがいないといわれている天才画家。ふたりの天才が、韓半島の不思議な存在であるトッケビと人間との友情をほのぼのと描いた。

 イ・サンの死から40年が経った1977年。その功績が高く評価され、「イ・サン文学賞」が創設された。この賞は韓国最高の文学賞といわれていて、毎年、受賞作は多くの注目を集めている。

 写真は昨年の文学賞受賞作品集。そして、イ・サン。

 記事全文はここから読めます。
[PR]

by kimfang | 2015-05-30 15:37 | 連載