動物児童文学作家のキム・ファンです!!
15/6/11 絵のなかに隠された絵
韓国絵本紹介コラム19回目です。
絵のなかに隠された絵

 川遊びにいくのなら、今回紹介する絵本、『かわべのトンイとスニ』(原題 동강의 아이들)を読んでからでかけてほしい。そういうと、川遊びが紹介してある絵本? 川で起こる冒険物語? と期待させてしまうかもしれないが、ストーリー自体はとてもシンプルだ。

 朝早く、オンマは町へゴマや豆を売りにでかけていく。妹のスニには色鉛筆、兄のトンイには運動靴を買ってくると約束して。
 でも、兄妹はオンマの帰りを待ちきれない。トンイは、オンマを迎えにいこうとだだをこねるスニを連れて近くの川原にやってきた。それでもスニのわがままはおさまらない。
 トンイは、川原の石で水切りをして見せたり、おんぶをしてあげたりして、一生懸命スニをなだめる。お日さまが山の向こうへ隠れたころ、オンマが川原を歩いてもどってくる。ストーリー自体は、本当にシンプルでしょ。
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 でも、この絵本の素晴らしいところは、何気ない風景の絵のなかにもうひとつの絵がこっそりと隠されていて、それを見つけるたのしみがあるところだ。

 ストーリーに合わせて、①大きな鳥 ②子グマの顔 ③頭に荷物を乗せたオンマ ④妹をおんぶする兄 ⑤炭鉱で働くアッパ ⑥やさしいオンマの形をした岩が、川原の自然の風景のなかに隠してある。
もしも川にいったならば、この絵本のように、何かに見える岩を探してみるのもいいだろう。 

 ところで、この絵本の原題を直訳すると、『東江(トンガン)の子どもたち』となる。韓国には、ソウルを流れる漢江をはじめ多くの川があるが、作者がわざわざ「東江」と題してこだわったのには理由があった。
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 この絵本は、2000年の6月に韓国ででた。ちょうどそのこの、韓国中の視線は江原道の東江に注がれていたのだ。そして韓国史上、はじめての出来事が起こる。市民の力で、ダム建設計画が白紙撤回されたのだ。この「東江ダム建設反対運動」のシンボルとなったのが、カワウソだった。

 日本では1979年を最後に確認されていないが、韓国ではまだ生き残っている。カワウソを絶滅から救おうという市民たちの声が、東江の自然を守ったのだ。

 作者のキム・ジェホンは、東江の自然を守りたいという想いを絵本で表現した。ダム建設白紙撤回から今年でちょうど15年。今もその想いは、絵本とともに読み継がれている。

 この絵本はフランスでも発売され、2004のスイス・エスパス‐アンファン賞を受賞した。

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by kimfang | 2015-06-11 20:40 | 連載