韓国絵本紹介コラム27回目です。
絵本でチュソク伝える 「チュソク」は旧暦の8月15日。今年は9月27日だった。ぼくたちは単にチュソクというが、韓国では「ハンガウィ」とか、「中秋」とも呼ばれている。中秋といえば日本では「中秋の名月」。満月をめでながら月見団子を食べる日だが、韓国では国民の多くが故郷に帰ってご先祖さまにお供えものをし、お墓参りにいく日だ。 今回は、そのチュソクを題材にした絵本、『ソリちゃんのチュソク』(原題 솔이의 추석 이야기)を紹介しよう。 作者のイ・オクベは、2004年に富山県で開催された「第7回アジア児童文学大会」のシンポジウムにパネラーとして招かれ、つぎのように語った。 「名節のチュソクは、ほとんどの伝統文化が消えさった今日でも、生き残ってきたいくつかの伝統文化のなかのひとつです。…わたしたちの美しい風習を、子どもたちに絵本をつうじて伝えたかったのです」 そう。彼は自らの娘であるハンソル(ソリちゃん)のために、はじめての絵本をつくった。さて、内容だ。実はこの絵本にはストーリーがない。ソリちゃんの目をつうじてチュソクを記録した、ドキュメンタリーなのだ。 チュソクの前日、まだ暗いうちにソリちゃんたちは家をでる。でも、バスターミナルはもうすでに人でいっぱい。出発したけれど車はなかなか進まない。休憩所で、カップラーメンを売っている人たちがいて、そのラーメで腹ごしらえ。日が暮れるころ、ようやく故郷に着く。表紙の絵は、ソリちゃん一家がハルモニの家に到着したときの絵だ。 その夜、親戚たちが集まり、月を見ながらソンピョン(松餅)を食べる。(写真右) いよいよチュソクの日、朝早く起きてご先祖さまに料理を供えて茶礼をし、お墓参り。能楽隊のおはやしに合わせて、みんなでたのしく踊る。そしてつぎの日の朝、故郷をでて、夜遅くに家にもどるのだ。 イ・オクベはあるインタビューのなかで、「絵本は10前のチュソクの光景だ」といっている。絵本が発売されたのが95年だから、今から30年ほど前のチュソクの様子が記録されているということになる。 ところでこの絵本は、01年の「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書に選ばれた。翌年に、サッカーのワールドカップ韓日共催などがあり、韓国をよく知るために選ばれたのだろう。韓国の本が課題図書に選ばれたのは、あとにも先にも、この絵本ただひとつだけなのだ。 韓国の人たちの生活のなかで今日も生き残っている伝統文化、チュソクを伝えるこの絵本は、日本だけでなく、台湾、中国、アメリカ、スイス、フランスでも出版されている。 記事全文はここから読めます。 この絵本のなかに、高速の休憩場らしき場所の絵がある。渋滞で疲れ切ったいろんな人たちを描いているのだが、ソリちゃん一家はカップラーメンを食べる。最初見たとき、えっ? カップ麺、売っていいの?!とおどろいた。 今から30年前の1985年の光景と知って納得(笑)
by kimfang
| 2015-10-03 14:42
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