動物児童文学作家のキム・ファンです!!
16/2/14 鉄を食べるプルガサリ
韓国絵本紹介コラム38回目です。
鉄を食べるプルガサリ
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 今回は韓国で怪物としてよく知られている「プルガサリ」が登場するむかし話絵本、『プルガサリ』(原題 불가사리)を紹介しよう。

 むかしむかし、山奥にハルモニが住んでいた。ある夏の日、ハルモニは体のあかをこねて黒いかたまりをつくる。かたまりは部屋をはいずりだした。これがプルガサリだ。
 プルガサリは部屋にあったハサミや鍵を次つぎと食べた。食べるごとに体は大きくなり、ハルモニが寝ているすきに、村へとおりていった。さじ、包丁、釜など、鉄でできているものなら何でも食べて、ついにはゾウほどまでに大きくなった。

 このままではたいへんなことになる! 村人たちはプルガサリをやっつけようとするが、びくともしない。役人がかけつけてきて槍と弓矢で殺そうとしても、はね返す。そこで火で焼き殺そうと穴に落として油を注ぐが、ものともしない。
 プルガサリが怪物といわれる理由がわかるだろ。
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 韓国語で手のつけられない乱暴者のことを指す慣用句に、「松都末年のプルガサリ」というのがある。松都は高麗時代の首都だった開城の別称。つまり、高麗時代末期のこと。そして、殺そうと思っても殺せないということから、プルガ(不可)サリ(殺伊)と呼ばれるようになったといわれている。

 しかし、そもそもプルガサリは怪物などではなく、神聖な生きものと考えられてきた。古い文献などには、つぎのように書かれている。
 「プルガサリは鉄を食べて生き、悪夢と邪気を追い払ってくれる伝説の生きものだ。その姿は、クマの体にゾウの鼻、サイの目、トラの爪のような牙、ウシの尾を持ち、全身には針のようなトゲがでている」
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 朝鮮王朝時代を代表する王宮である景福宮の交泰殿のうしろには、峨嵋山(アミサン)という庭園がある。そこには、プルガサリが彫られたオンドルの煙突があるのだ。交泰殿は中宮殿とも呼ばれる王妃の寝殿。悪夢を追い払ってくれるというプルガサリを刻むことで、夜の平穏を願ったのだろう。

 さて、プルガサリと聞くと多くの方が、北朝鮮で制作され日本でも公開された怪獣映画のことを思いだすのではないだろうか。実はそれよりも20年以上も前の1962年に、韓国初の怪獣映画にプルガサリが使われたのだ。
 惜しくもこの映画のフィルムは消失してしまい、詳しいことがわからない「幻の映画」となってしまったが、映画のタイトルは「松都末年のプルガサリ」なのだ。

 ところで、村中の鉄という鉄を食べて大きくなり、火で焼いても殺せないプルガサリを、ハルモニはどのように退治したのだろうか? お話のつづきは絵本で確かめて。

← 当時の新聞広告 (1962年11月30日の東亜日報) 

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by kimfang | 2016-02-14 17:43 | 連載