動物児童文学作家のキム・ファンです!!
16/2/26 雪のなか ひたむきに待つ
韓国絵本紹介コラム39回目です。
雪のなか ひたむきに待つ
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 今回は、キム・ドンソンの絵本、『かあさん まだかな』(엄마 마중)を紹介しよう。
 キム・ドンソンはとても多才で、絵本のほかにも広告、ポスター、アニメ、何でもこなすが、彼の名を多くの国民が知ることになったのが、この『かあさん…』だ。写真のような、主人公のキャラクター人形が販売されるほどに多くの支持を得た。

 さて、内容だ。文は、日本の統治下にあった1938年に刊行された、『朝鮮児童文学集』のなかに収められたイ・テジュンの短編童話。キム・ドンソンは絵を担当した。
 舞台は、童話がつくられたのと同じ、1930年代。寒い真冬のある日。寒さで鼻を赤くしたぼうやが、路面電車の停車場にやってくる。

 短い足で停車場に「よいしょ!」とよじ登り、停車場で電車がくるのを持っていた。
 間もなくして、電車がやってきた。ぼうやは首を傾けて、
 「ぼくのかあさんは?」と運転士にたずねるが、運転士はぶっきらぼうに、
 「しらないねえ」と答える。しばらくして、つぎの電車がくると、また、ぼうやは首を傾けてたずねる。
 「ぼくのかあさんは?」
 そしてまた、つぎの運転士も、
 「しらないねえ」

 そしてまた、つぎの電車がやってきた。ぼうやはまた、首を傾けて運転士にたずねる。
 運転士は降りてきて、
 「あぶないから、かあさんがくるまで、ここでじっと待っていなさい」という。
 ぼうやはいわれたとおりに、じっと待つ。
 風が吹いても、電車がきても。じっと……。
 やがて、ちらちら雪が舞いはじめる。
 それでもぼうやは、じっと、かあさんを待ち続ける。雪はだんだん激しくなって積もりだし、やがて街を白くおおってしまう。
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 その後、ぼうやはどうなったのだろうか? かあさんに会えたのだろうか?
 読者はそれがとても気になるのだが、絵本には何も書いてない。ただただ、じっと、かあさんを待つぼうやのひたむきな姿が、じーんと心にしみる名作絵本だ。

 絵本には、停車場で頭に荷物をのせて電車を待つ女性、どこかへ走っていく男子中学生、子どもをおんぶしている女の子など、1930年代の韓国の人たちの暮らしぶりが、さりげなく描かれている。
 『かあさん まだかな』は、日本をはじめとする世界の6か国で翻訳出版されている。

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by kimfang | 2016-02-26 13:25 | 連載