2月の末に死んだ、京都市動物園のツシマヤマネコ、マナブの追悼記事が毎日新聞・京都版に掲載された。
マナブは、ぼくが1月に毎日新聞の「読んであげて」のコーナーにて連載していた「ヤマネコ飼育員物語」でも登場した。
ツシマヤマネコは日本では長崎県の対馬に70~100頭しか棲息していない、日本で一番絶滅に近い種だ。現在、環境省と日本動物園水族館協会が協力し、全国の10の施設でツシマヤマネコの飼育や飼育下繁殖が行われている。
しかし彼らの飼育下繁殖は簡単ではない。繁殖用のヤマネコたちを確実に繁殖させるため、お客さんに見せない非公開の繁殖施設で飼育している。マナブも、そのなかの1頭だった。
若いマナブは父親になってくれることを期待されたが、1歳のころに心臓病が見つかり繁殖事業から外されることになり、公開もされることになく逝ってしまった。
ところが一度も公開されたことがないのに、マナブの死を知った人たちから5通の手紙や花束が動物園に届いた。
マナブを担当した高木直子飼育員のブログ(動物園の飼育員ブログコーナー)や、京都市動物園で毎年開催されている「やまねこ博覧会」でマナブが紹介されたからだろう。届いた手紙のなかには「毎日新聞の童話で知りました」と書いてあるものもあったから、ぼくの連載も少しは役立ったと思う。
ツシマヤマネコのことをひとりでも多くの人に知らせたいと、がんばったかいがあった。
さらに多くの人たちにツシマヤマネコを知らせるためには、「ヤマネコ飼育員物語」の連載を書籍化し、全国に広く発信するのが一番望ましい。
ということで、書籍化の準備をはじめたところだ。小さな進展も、ここで報告していきたいと思っている。