絵本・ちきゅうのともだちシリーズ
瀬戸内の漁師 のんた と スナメリ との物語 いつまでも 人間とスナメリが 共生できることを願って キム・ファン 文 / 藤井広野 絵 素人(そじん)社 2002年5月発売 1500円(税別) ストーリー むかしむかし瀬戸内の三角島に、のんたという漁師が住んでいた。のんたは貧しくて網も買えなかったが、のんびり暮らせて幸せだった。ある日、村のおかしらが一匹のスナメリの目を砕いてからというもの、三角島の海ではタイやスズキが釣れなくなった。焦った村人は、きたうら(日本海側)がクジラ漁で潤っていると聞くや、自分たちの網をつないでクジラをとることにする。ところが、やって来た大クジラは村人の網を全部持って行ってしまう。途方に暮れる村人を救うべく立ち上がったのんたは、やがて、「スナメリ網代漁(あじろりょう)」を思いつく! 「あとがき」より 瀬戸内海にうかぶ阿波島には、スナメリをまつった祠があります。漁師さんたちのスナメリへの感謝の気持ちの印です。ぼくは祠の写真を見ながら、「スナメリ網代漁」を最初に思いついた人はいったいどんな人だったんだろう? と考えました。きっと、人にもスナメリにもやさしい、とても心のゆたかな人のはず。そんな漁師さんやスナメリに会いたいなぁと思い、瀬戸内海へでかけました。 けれども、祠のある天然記念物に指定されている広島県竹原の海には、スナメリはおろか、漁師さんの姿さえありませんでした。今、瀬戸内海のスナメリは、長島や祝島がある山口県の上関地区に残っているだけで、ほかの地域ではほとんど見られなくなっています。なのに、この上関の長島に、原子力発電所が建設されようとしているのです。もしも原子力発電所が建設されれば、わずかに残ったスナメリにも大きな影響がでることにまちがいありません。人の手におえない原子力発電所という「大クジラ」を追いかけるのではなく、「小さなクジラ」スナメリと暮らしてきたことを、この物語を読んで思いだしてほしいと願っています。 ぼくにこの物語を書くことをすすめてくださった「長島の自然を守る会」のみなさま、貴重なスナメリのお話を聞かせてくださった祝島をはじめとする瀬戸内の漁師のみなさま、広島県での取材に協力してくださった吉田徳成さん、竹原市立図書館館長の玉田静男さん、つたない文章にあたたかい助言をくださった京都学園大学の梓加依先生、立派な解説文を寄稿してくださった帝京科学大学の粕谷俊雄先生、そしてすてきな絵を描いてくださった藤井広野さんにお礼を申しあげます。 2002年3月 動物児童文学作家 キム・ファン 解説文 粕谷俊雄 教授 (帝京科学大学アニマルサイエンス学科) より解説文を寄稿していただきました。
by kimfang
| 2002-05-17 14:15
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