韓国と北朝鮮の間にあるDMZ(南北それぞれ2kmの非武装地帯)。その東西の真ん中に位置するのが鉄原。民間人の出入りが軍によって統制される「民統線」の近くに、「天然記念物動物治療所」(色んな呼び名があるがスタッフはこの名前がお気に入り)、つまりは「野生動物の病院」がありました。
17日の夜遅くに訪れるも、ノスリの手術の真最中。手術後に食事をしながら話を聞きました。 18日の朝に再度取材。すると、また、クロハゲワシ(写真)の手術がはじまりました。 このように、ここには、韓国全土から傷ついた野生動物が運び込まれるのです。 手術室のとなりの部屋には、痛々しい姿のキバノロがいました。この子は、交通事故で尾骨をなくしました。飛び出た骨が筋肉に刺ささる大ケガ。運び込まれるとすぐに手術。どうにか一命を取り留めました。 また、ほかの部屋にはヤマネコがいました。工事現場で生まれて間もない兄弟を発見。母ネコが現れるのを待ちましたが帰ってきません。母ネコの身になにかあったかもしれない。しかたなく兄妹を保護。でも、オスは感染症が原因で死亡。メスが治療を受けながら体力の回復に励んでいました。 病院の中には自然に帰すための訓練施設(左・クロハゲワシ)があります。ワシミミズクやアオバズク、マガンなどが訓練を受けていました。 自然に帰すことのできない動物たちは、近くの自然学習施設で飼育されています。 午後からは事務局長さんの案内で、民間人統制区域、すなわち「民統線」の中に入りました。(左は地雷に注意するよう促す看板) しかし、一歩、「民統線」から出ると、朝鮮労働党舎のような朝鮮戦争を想起させる建物が守られているのに反して、野生動物たちの生息地域が守られていない現実を知ることになりました。 近頃の南北和解の機運に乗って、「民統線」が狭くなっているのです。半分になった場所もあるといいます。そう。「民統線北上法案」が可決し、どんどん少なくなくなっているのです。 南北が統一し、平和が訪れることは願ってもないことです。でも、生きものたちの楽園を壊して欲しくありません。 問題なのは、鉄原に住んでいた人たちが戦争によって「奪われた」土地を買い戻しているのではなく、ソウルに住むお金持ちが「投機目的」で土地を買っているのです。 動物病院のスタッフは、そのことを悲しげに話しました。 野生動物病院と、鉄原の現状を伝えるノンフィクションを書きたい、書かねばいけないと感じた取材でした。
by kimfang
| 2008-03-16 11:22
| 取材ノート
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