ウポるたーじゅ ① どうして牛の浦?
8月25日。北京オリンピックを無事?終えた胡錦濤主席が訪韓した。 でも、韓中友好のシンボルとなるであろう따오기(トキ)はまだ来ていない。 5月のイ・ミョンバク大統領の訪中時に、突然に決まったことだから韓国側の受け入れ態勢が整っていないのがその理由だという。 どうやらトキの到着は、10月25日からのラムサール会議直前になりそうだ。トキがやってくる慶尚南道 昌寧(창녕 チャンニョン)郡の牛浦(우포 ウポ)沼とはいったいどのような湿地なのか? 8月18日、実際に現地に行って、見て聞いたことをウポ、いやっ、ルポする。 * * * * * * * 昌寧郡は慶尚南道でも北に位置する郡。大邱市の真下に位置し、西には洛東江が流れる。その洛東江や支流が頻繁に氾濫し、水が流れたり溜まったりしてできた湿原がまさに牛浦沼。韓国最大の自然湿地だ。 ぼくと新聞記者のM氏は、韓国教員大学の鳥類博士、チョン・ソクカンさんの運転する車で、宿泊地の釜谷温泉から昌寧郡へと向かった。 車を走らせること一時間半。いよいよ牛浦に着いた! そんな気分にさせてくれる大きな看板。 でも、あれれっ? カタカナの「ウ」が「う」になっている。 ま、でも、日本語を看板に入れてくれた「想い(後日触れたい)」は重く受け取った。(直した方がいいと、ちゃんと進言しました) 駐車場で出迎えてくださったのは地元の環境NGOの代表で、「따오기 학교」(トキの学校)の「校長」であるイ・インシク先生(写真)とエコセンターの学芸員、チャン・ジドクさん。ふたりの案内で牛浦沼を回った。 駐車場から沼への道のりはあっけないほどすぐだった。たったの470m。 尾瀬や上高地のようにある程度歩いて行かないと思っていたので、少々拍子抜けした。 こんなに交通の便がいいところに貴重な自然がそのまま残っていることがうれしくもあり、逆にトキやラムサールで知名度が上がることによって観光客がどっと訪れて壊れてしまわないかと心配にもなった。 沼へと向かう短い坂道を降りながら、ぼくは一番気になっていた「どうして牛の浦と呼ばれるようになったのか?」という質問をいきなり校長先生にぶつけてみた。 校長先生はその理由は沼に着けばすぐにわかると微笑んだ。しばらくして先生が沼の向こう側を指差した。緩やかな曲線の山が見える。 「どうです? 牛が足を折ってしゃがんで、水を飲んでいるように見えませんか? それで牛浦という地名がつきました」(みなさん、わかりますか?) 事実、このあたりは한우(韓牛)の一大名産地。昼食はこれも名産の추어탕(ドジョウ汁)だったが、夕食は、焼肉の聖地で韓牛を思う存分堪能した。 沼を一回りする途中、多くの子どもたちと出会った。 「慶尚南道には628の小中高校がありますが、毎日2校ずつ、環境NGOと先生が力を合わせて環境学習をするようにしています。私たちの提案を、道の教育委員会が採用してくれたんですよ」と校長先生は胸を張った。 ぼくも子どもになった気分で校長先生と学芸員の説明に聞き入った。 そうして初めて知ったことがある。 ガン(鳥 기러기)が好んで食べるヒシ(植物 마름)のことだ。日本では天然記念物に指定されているヒシクイ(韓国名 큰기러기)やオオヒシクイ(韓国名 큰부리큰기러기 )。 その名の「ヒシクイ」というのは、ヒシの実を食べる「ヒシ食い」からついた名前だと気づいたのである。 (左 ヒシのアップ、 右 ヒシの実、 下 ヒシの群落) 校長先生はわざわざヒシを採取し、その実も見られるように事前に準備してくださっていた。 「貧しかった頃は法事に栗を供えることができませんでした。代わりに栗の味に似たこの実を煮たものを供えたのです。だからこの実を물밤(ムルパム ムルは水でパムは栗)と呼びます」 この日、ぼくたちは물밤を食べることはできんなかったが、いつか、ヒシクイになった気分で食べてみたいと思った。 ウボ紹介サイト
by kimfang
| 2008-08-28 14:43
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