動物児童文学作家のキム・ファンです!!
08/8/18 韓国にトキがやってくる ②
  ウポるたーじゅ② トキ復元の夢

 ぼくたちは沼をあとにして、いよいよトキが収容される施設へと向かった。
沼から少し登った小高いところにその施設はあった。建物も基本的にはできている。あとは内装というところ。
  施設のそばには、ボランティアたちの力ですでにえさ場もできていた。
  工事は着実に進んでいるようだった。建設中の「トキ復元センター」のそばに環境学習の拠点である、「トキの学校」があった。
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 そこには「時の人」ふたりが先に着いていて、ぼくたちの到着を待っていた。
 そう。そのふたりこそは、中国からのトキの譲渡を求める7万名の署名を集めた大学生チョン・ジュンソク君と高校生チャ・ヒョヌク君だった。

 その話に入る前に、韓国人のトキへの想いを語らなくてはいけないだろう。
 韓国の中老年世代なら、誰もが歌える童謡のひとつに『따오기』(トキ)がある。

  見えそうで 見えそうで 見えない
  タオ タオ タオ 鳴き声 物悲しい声
  死ねば いくところ どこに埋まるの
  お母さんが いかれた国 日が昇る国

  国を奪われた悲しみを「お母さんがいかれた国」(二番はお父さんがいかれた国)と表現したこの歌は「半月」、「故郷の春」などと共に韓国を代表する愛唱歌だ。
  この歌は児童文学作家、ハン・ジョンドン(韓晶東 1894-1976)が、32歳だった1925年に東亜日報の新春文芸に当選した代表作だ。
 この詩に、「半月」を作ったユン・クギョンが曲をつけた。

  トキはそのむかし、ロシアのウスリー地区や中国の東北部に棲みながら寒さを避けるためにやってきていた。
  天然記念物にも指定されたが、1979年に確認されたのを最後に、歌でしか会うことができない「幻の鳥」となってしまったのだ。

  話を元にもどそう。
  昨年11月、環境問題を多く扱うテレビ局-マサンmbcは「トキ復元の夢」というドキメンタリー番組を放送した。
番組のオープニング映像
  それを観ていたチョン君とチャ君のふたりは、日本の佐渡島の子どもたちが「トキをください」と署名運動する映像を観て強く心を動かされたという。
 「日本のように大金を準備することはできないけれど、ぼくたちは誠意を伝えたかった」
 ふたりは「ナリン」というインターネット子ども新聞の記者という立場をフル活用し、今年の2月から署名運動を展開。多くの友人に支えられながら、最終的に7万名(ネットで2万)の署名を集めた。
  その誠意は中国の高官に伝わり、ついには、5月のイ・ミョンバク大統領の訪中時に、中国は韓国へのトキ寄贈を約束したのだった。
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 彼らの話に聞き入っていたら、さらにドラマチックな話が出て驚いた。
 「実は、中国のトキに会いにいったその日、四川大地震に巻き込まれて」というではないか。
 彼らはその時の写真を見せながら話を続けた。
 ふたりは中国の研究資料をもらい、実際にトキと対面すべく、トキがいる中国陝西(せんせい)省、洋県を訪ねることになった。
 空港から車に乗り込み、ようやく到着。その直後、四川大地震が発生。「保護センター」のある陝西省も多きな被害がでた。
 もう、トキとの面会どころではなくない。中国当局の配慮で夜通し車で走って命からがら脱出。無事に韓国へ戻ってきたというのだ。
 まるでドラマを見ているような活躍で、ふたりは今や「時の人」だ。

 歌でしか知らない幻の鳥-トキ。
 そのトキを復活させようと長く地道に活動してきた地元の環境NGO。
 彼らの活動を応援しようと制作されたテレビのドキュメンタリー番組。
 その番組の中で佐渡島の子どもたちが署名運動をする姿に心を動かされた学生。
 劇的な署名活動を展開して、ついにトキを譲り受けることに。

 多くの人たちの熱い想いの、そのど真ん中にトキがいる。

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 「トキの学校」では、多くの資料が展示してあった。その中にぼくの『황새(コウノトリ)』も置いてもらいたくて、出版社に送ってくれるよう頼んだところ、快諾。
 イ・インシク校長に本の執筆を頼んでいるところだという。
 
 ならば、ちゃんと展示されるだろう。確かめにいかなくっちゃ。
 
 また、ひとつ、「トキの学校」を訪れるたのしみが増えた。

 
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by kimfang | 2008-08-31 10:21 | 取材ノート