動物児童文学作家のキム・ファンです!!
08/10/20 絵本のスランプ脱出?
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 先日、韓国の出版社―한솔수북から契約書が届いた。小学館から出た『ふわふわくもパン』の版元だ。二部送られてきた契約書にハンコを押して、一部を送ればいいのだが、数日間しげしげと眺めてから、今日、やっと送った。

 長かったなぁ。思い起こせば、なんと、5年ぶりの絵本の契約成立。出版は来年だから6年ぶりの絵本となる。
 01,02,03年と、続けて絵本が出て、04年には、アジア児童文学大会で日本を代表して「絵本で環境保護を訴える」という論文まで発表。得意になっていたのに・・・

 論文発表のあと、著名な大先生からアドバイスをもらった。
 「生き物のために絵本を出すのはいいが、もっと文学性と芸術性を追及してほしい」。
 若かったぼくは、すぐに反論した。
 「それでは時間がかかります。その間に彼らが絶滅してしまう。とにかく彼らのことを知らせることが一番です」と。
 すると、先生は笑いながらいった。
 「高い文学性と芸術性があれば、結果的に、そっちの方がずっと生き物のためになります」
 ぼくは心の中で、「時代遅れの説教は、もうたくさんだ」とバカにしていた。
 
 しかし、誰もが知らない新しいネタなんて、そういくつもあるわけではない。取材にだって、結構、時間がかかる。そのうちに、実力のある人が、ぼくが追いかけていたネタで先に絵本を出していった。
 すでに知られたネタで書くには、大先生から忠告されたように、文学性と芸術性を追い求めなくてはいけない。
 そうなると、真の実力のないぼくの作品は採用されない。
 そんなときにノンフィクションの賞をいただき、長編や科学読み物の仕事ばかりが増えた。
 「絵本作家」と呼ばれていたのに仕事がこない・・・日本でも韓国でも絵本がでなくなってしまったのだ。
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 こうなれば、恥を忍んで教えを乞うしかない。韓国から絵本作家がくると積極的に会いにいき、自分が書いた作品を読んでもらった。
 でも、会った絵本作家はみな年下で女性。ぼくに気を使って、なかなか厳しい話をしてくれない。まぁ、苦労の末に編みだした技術は、そう簡単には教えられない、というのが本当のところだろう。

 そんな6月、ウリハッキョをテーマにした本を出すために、韓国絵本のビッグネームたちが日本にやってきた。嬉しいことに、京都までわざわざ足を運んでくださった。こんなチャンスは二度とない。
 別れ際、100冊を超える著作がある超人気作家で、日本でも『うんちのちから』を出されているホ・ウンミさんに作品を渡した。
 その中の一作が、彼女の目にとまり、今回、契約の運びとなった。 『巣箱』の話だ。

 
 実は、何が? どうよかって、契約に至ったのか? 
 本人も、あまり、よく分かっていない ^^
 でも、それを悟るヒントをホ・ウンミさん(一番左)からいただいた。
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 彼女はいう。絵本の文は絵を想定して書かないといけない。文はひとつの「歌」。それを「交響曲」、つまり、オーケストラしてくれるのが絵だと教えてくれた。

 ぼくは、今まで、絵本の文は「歌詞」だと思っていた。「曲」を付けるのは画家さんと信じて疑わなかった。しかし、「詞」も「曲」もつくって「歌」にしてから画家さんに渡すことによって、文と絵が響きあい、「交響曲」になることを教わった。

 ホ・ウンミさんに渡した作品は、たまたま絵のイメージまで書き込んだ作品だったというのが、幸運だったのかも知れない。

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 今回契約となった絵本『巣箱』の絵は、『경복궁(慶福宮)』などの作品で知られるイ・スンウォンさがつけてくださることになった。

 しっかり書き込んでいるけど、ふわっとした色使い。
どんな絵になるのか、今から楽しみだ。

 でも、本当にスランプ脱出か?どうか?
 それは、次の契約が取れるかにかかっている。

 また、5年かかるかもね。
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by kimfang | 2008-10-20 18:37 | トピックス