動物児童文学作家のキム・ファンです!!
ラムサール報告④ 朝鮮半島最後のトキ
 ラムサール会議では、いくつかの「サイドイベント」が同時に進行された。
 そのなかに国際ツル財団主催のサイドイベントがあった。財団の創設者で理事長であるG・W・アーチボルト博士がここにいる。しかもテーマはDMZ(非武装地帯)のツル。足はこの会議室の前で止まったが、運悪く市長さんの講演と重なってしまった。泣く泣くツル財団のサイドイベント出席を諦めた。写真は、韓国最後の一羽を伝える中央日報の記事
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 ぼくがツル財団のサイドイベントに強くひかれたのは、まさにDMZ(非武装地帯)を題材にした原稿を依頼されているから。なのに、まったく未だにひらめいていない。何でもいいからヒントが欲しかった。
 それだけではない。アーチボルト博士から、朝鮮半島最後のトキの話が聞けないかと期待したからだ。
 そう。アーチボルト博士は、言わずと知れた朝鮮半島最後のトキの目撃者なのである。

1974年の12月7日だった。
 毎年、DMZ(非武装地帯)のツルを調査しに韓国を訪れていた博士は、偶然にも2羽のトキを発見。12月10日には4羽のトキを発見した。
 3年後の77年、同じ場所を訪れた博士は、つがいのトキを発見。このトキをイギリスの動物園で飼育し、人工繁殖をすることを計画した。
 各方面に了解を得てから1978年秋に訪れると、トキは1羽になってしまっていた。

 1羽ではどうしょうもない。ならば日本の佐渡島へ連れて行き、キン(日本最後のトキ)とつがいにしようと考えたのだ。そして1978年の12月から1979年の3月まで、生け捕りを試みるも、ついに捕獲はならなかった。

 博士が次の年にその場を訪れたが、もうそこにトキはいなかった。それ以来、朝鮮半島でトキの確認はない。つまり、アーチボルト博士が生け捕りにしようとしたトキこそが、朝鮮半島最後のトキなのである。

 日本に帰ってから、アーチボルト博士が、朝鮮半島最後のトキの写真をラムサール会議で初めて公開したことを知った。(記事はここをクリック。ただしハングル)全55枚の写真のうち、10枚がマスコミを通じて公開された。
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 たいへん貴重な資料である。
 なぜならば韓国には、そのむかしトキが半島でどのように暮らしていたかの記録がほとんど残っていないからだ。
 日本には43体(2002年現在)ものトキのはく製が残っている(このうち13体が日植時代に朝鮮半島で採取されたもの)が、韓国には、数体のはく製しか残っていない。
 留鳥だったのか? 渡り鳥だったのか? それですら結論がでていないのだ。
 アーチボルト博士の写真と証言は、半島のトキの暮らしを解明するのに大きなヒントになることだろう。

ウポ沼・エコセンターで展示されているトキのはく製。募金箱に入ったお金の多さに、トキ復活への熱い想いが伝わる。
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by kimfang | 2008-11-18 22:17 | 取材ノート