動物児童文学作家のキム・ファンです!!
カテゴリ:トピックス( 491 )

09/4/14 タイトル迷走
 いよいよペンギン本が来月に出る。
 先月の訪韓以降、約一か月、文章の校正や挿絵・写真のチェックと、たいへん忙しい日々を送っていたが、それもようやく終わりつつある。
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 今回のペンギン本は「科学読み物」と「マンガ」のコラボという野心作だ。「受験大国」韓国では、学習読み物の需要は高い。しかし近年、学習マンガがすごい勢いで売れている。ただの学習読み物ではなかなかヒットしない。そこで今回のコラボとあいなった。多分、韓国では初めての試みだと思う。

 20話あるお話の中の4話がマンガだ。
 京都精華大学でマンガを学んだチェ・ヒョンジョンさんの実力は、ぼくが出版社に紹介した張本人だから、よーく知っていたが、挿絵も彼女が担当するとは知らなかった。
 絵が届いて驚いた! ぼくの意図を見事に表現した素敵な絵ばかり。この絵にマンガまで入るのだから、かなり期待できそうだ。

 いくつかお見せしよう。
 これはジェンツーペンギンの名前の由。ジェンツーとは異教徒を意味するポルトガル語で、ジェンツーペンギンの頭の模様が、シーク教を信じるインド人のターバンに似ているとしてその名がついた。

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 これは人間がオーテトラリアに持ち込んだペットが、コガタペンギンの新たなる天敵となっているというお話。

 絵もよく、マンガもいい、デザインもいい。
なのに予期せぬ問題が持ち上がった。それはズバリ、本のタイトル。

 もともとぼくはこの本を「ペンキンのㄱㄴㄷ」という構成で書いた。
わが家の子どもたちから『ペンギンのABC』のパクリだと非難を受けても、ㄱㄴㄷの順番で話すというスタイル構成のにこだわった。

 
f0004331_13451185.jpg しかし出版社が、自社のロングセラー科学読み物『고래는 왜 바다로 갔을까 (クジラはなぜ海にいったのか)』の後継作品とするとまでいってくれたので、その構成を捨てて、『クジラ』に似た構成にするために最初からすべて書き直した。

 だからタイトルも、『ペンギンはなぜ○○か』のカタチにしようとあれこれ考えた。
 でも、もう刊行という時期になっても、ぼくも出版社も納得するタイトルが出てこなかった。

 すると出版社が、『ペンギンはなぜ○○か』のカタチにこだわらずに考えましょうといってきた。おいおい、後継作品というからㄱㄴㄷを捨てたのに…
 
 それから、また、ああだ、こうだがあって・・・
 とにかく『펭귄 이야기(ペンキンの話)』という言葉をいれることは決まった。
 あとひと月を切ったのに、いまだにタイトルが決まっていない ^^ 

 ほへ~どうなる~
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by kimfang | 2009-04-16 13:41 | トピックス
09/3/13 さようならジャイアント
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 韓国滞在中の13日夜、シリーズ絵本の画家さんたちと打ち合わせをしていたら、漫画家のチェ・ヒョンジョンさん(ペンギン本の絵を担当する)から電話がかかってきた。
 声の調子からして、よくない報せだとわかった。案の定、ソウル大公園のアジアゾウ・ジャイアントが死んだという内容だった。(亡くなったのは8日)
 ぼくが出した『サクラ』を読んで以来、彼女は、度々ソウル大公園を訪れては、サクラの近況などを伝えてくれていた。サクラのお婿さん候補だったジャイアントのことも、詳しく報告してくれていた。

 ジャイアントは、1955年5月24日、3歳のときにタイからやってきた。
 今年で57歳(韓国のマスコミが58歳と報じたているのは歳の数え方が違うから)。
 それはそれは韓国にとって、とてつもなく「ジャイアント」な存在だった。
 
 1950年6月25日からはじまった朝鮮戦争は、同じ民族が国土を焼き尽くして戦った悲惨な戦争だった。
 53年に休戦を迎えるも、いまだに戦争は終結していない。
 日本の統治から解放された45年からわずか5年で戦争となり、心も体もくたくたになった国民に平和と安らぎを与えるため、「昌慶苑動物園」(ソウル大公園の前身)の再建が急がれた。
 1954年4月、動物園は再開されたが、戦争による被害はひどく動物の数は極めて少なかった。ほ乳類はわずかに10種。
 
 『韓国動物園80年史』によると、サル、アナグマ、クマ、キツネ、タヌキ、ヤマネコ、水牛(アジア産)、ウシ(韓牛)、ヤギ、コウライカモシカ。
 ゾウも、キリンも、カバも、オオカミも、ゴリラも、動物園なら必ずいる人気者たちはいなかった。
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 何としても、子どもたちの笑顔を取り戻さなくては! 
 動物園再開の翌年、国民の熱い想いを受けてやってきたのが、ほかならぬジャイアントだったのである。
 それ以来、彼は、半世紀を越す長きに渡って国民から愛され続けた。
 ジャイアントは、今年100年を迎える韓国の動物園史に、なくてはならない存在であり、最大の功労者であると思う。

 ジャイアントとぼくの出会いは、2005年1月。サクラを取材する過程で知り合った。当時、ソウル大公園では、宝塚でひとりだったサクラと、タイから一緒にやってきた愛妻を亡くしたジャイアントの「お見合い」が進行中だった。
 ジャイアントをほかのゾウから離し、人(ゾウ)恋しくさせておいて、サクラとカップルにさせようとしているところだった。
 しかし、このときすでにサクラはアフリカゾウのリカに夢中で、アジアゾウとアフリカゾウの恋は、「結ばれない愛」として韓国中の話題になっていた。  写真→サクラ(左)とリカ(右)

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 その後、サクラはリカと離されて、ジャイアントの隣で暮らすようになった。
 ジャイアントはサクラに一生懸命にプロポーズした。
 オレと一緒にならないかと…
 なのに、リカが忘れられないサクラは、それを断ってしまったのだ。

 ぼくはサクラの友人として、ジャイアントに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
 サクラに代わって、お詫びしたい。ごめんね。
 そして安らかにおやすみ。
 ぼくたちは、いつまでもいつまでも、君を忘れない。
 さようなら、ジャイアント
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by kimfang | 2009-03-26 15:11 | トピックス
09/3/12 北韓資料
 今回の旅行で唯一の「観光」は国立中央図書館にいったこと。
 86年代に出た『韓国の虎はなぜ消えたか』遠藤公男・講談社は、ぼくの人生を変えたもうひとつの本だ。著者は中央図書館で総督府の資料を発見。韓国のトラは、総督府が数万名を動員し、十年にも及ぶ捕獲作戦を展開したことで消えたのではという結論を導いた。
 この本に大きな影響を受けたぼくは、一度、著者のように中央図書館で総督府の資料を見るという経験をしてみたかったのだ。
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f0004331_2341288.jpgそこで図書館学を教える友人に案内してもらった。ところがバスを乗り継ぎずいぶんと遠くへ向かう。ついには漢江も渡って江南へ。友人曰く。「遠藤氏が資料を探していたころは南山にあったけど、今は、引っ越して新しい建物になったのよ」。
 
 ところが、ソウルの中心から一時間近くかかってやってきたというのに、図書館の司書は「お探しの総督府の資料は、もう、データベース化されていますから、インターネットで見てください」とつれない。
 うーん。遠藤氏が探した同じ体験がしたくて遠路をきたのに・・・あ゛―。
 でも、せっかくきたんだ。何か探さないと。
 そこで調べたのが「ミツバチ」の資料。ミツバチを主人にした絵本を書くために調べていたら、面白い資料がパソコンの画面に表示された。

 「꿀벌의 생활관찰/금성청년출판사/1991/북한」
 (ミツバチの生活観察/金星青年出版社/1991/北韓)
へー、북한(北韓・北朝鮮のこと)の資料が見られるんだ。見たいというと、友人が司書に聞いてくれた。2階に「북한자료コーナー」があるからそこで見ればいいという。
 驚いたのはぼくではなく、図書館のスペシャリストの友人だ。それまでは北の資料は、統一部(南北関係を担当する政府機関)に出向いて身分証明書を提出し閲覧申請しなくては見られなかった。一般人が、誰でも簡単に見られるモノではなかったというではないか!f0004331_23102085.jpg
 
 そりゃあ面白い。是非にでもとお願いした。4階から2階に下りる。ガラス戸を押して部屋に入って見渡すと、あった、あった、奥まった場所に「북한자료コーナー」。本棚2列に北韓の本がずら~り。
 とりあえずミツバチの資料を探して、他にどんな本があるのか見てみた。音楽、楽器、動植物、何と、革命歌劇の本まで! 友人はいつから見られるようになったのか司書にたずねると、詳しいことはわからないが最近だという。
 さて、さて、そんな「북한자료コーナー」で、腹を抱えて笑うものを見つけてしまった。
 学友書房の『朝日対訳 動植物名小辞典』。うちの子が小学校の時に民族学校でもらった辞典だ。そしてぼくが通訳の時に持っていく辞典。生きものの名前を日本語と朝鮮語で対訳してある持ち運び便利な小辞典。

 動植物の名前だけを扱った日韓辞典はない。南北で生きものの名前はずいぶん違うが、韓国での呼び名の別名が北の正式名だったりすることも結構あって重宝している。
 いつも使っているのに、韓国の中央図書館、それも「北韓資料コーナー」で手にすると、何か思議な気持ちになっちゃったなぁ。

 さてさて、この日はまことについていた。この5月公開予定の別棟の「デジタル図書館」に入れたからだ。
 世界有数のブロードバンド先進国の威信をかけた図書館の開館式に大統領が参加する。その打ち合わせのために秘書官が来ていて、運よく、特別に入れてもらったのだ。
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古典も、海外の新聞も、 簡単に見ることができる。

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しかも美人司書(友人の後輩)の説明つき。

友人は、だからこの日を選んだというが、本当かなぁ。

 どうやら、本当らしい。
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by kimfang | 2009-03-20 22:32 | トピックス
09/2/14 カニ食いてぇ~
 シリーズ絵本「더불어생명」(生きものと共に)の次回作を書いた。このご時勢だ。
いつシリーズを切られるかわからない。契約が済んだら、間髪を入れずに次回の契約を取らないと…ふー。
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 で、「シオマネキ 농게」の話を書いた。
 オスの片方のハサミが巨大化するのは、ずばり求愛のため。メスに向かって一心不乱?にハサミを振るオス。でも、求愛しながらも、小さいほうのハサミで食事しているヤツもいるというから、何とも微笑ましい。

 シオマネキには「右利き」と「左利き」がいる。その比率は、5:5。
 人間は90%が右利き。原始時代から戦いの日々を送っていた人類は、左胸に傷を負うと大量の出血で死ぬことを知り、左手で盾を持ち心臓をかばい、右手に武器を持った。それでほとんどが右利きになったという。

 左利きのぼくは、右と左が半分ずつの社会が羨ましい。
 最近、なにかと電車で出かけることが多くなったが、券売機も、改札も、(社会も)みんな右よりになっていて、生きづらい。

 さて、どうして右利きと左利きが半々か? それを説明せずにさりげなく描くのが今回の絵本の「味噌」(因みにカニ味噌はカニの肝臓に相当する)。小さな子ガニのときに、左右どちらかのハサミがぽろんと落ちる。どちらが落ちるかはまったくの偶然。5:5。
 カニは取れたハサミや足が「再生」するが、落ちた方のハサミは小さなハサミに。落ちなかった方は、より成長して巨大なハサミになる。
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 でも、大きなハサミでは食事はできない。メスは卵を産まなくてはいけないから、両方小さいハサミでせっせと食べる。ホンマ、うまいことできてまっ。

 ところが、韓国ではこの愛らしいシオマネキを「게장 ケジャン」にして食べるというではないか! 
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 人が食べているのに「더불어생명」(生きものと共に)はまずい。
(いやっ、「게장」はうまい! 特に子持ちのワタリガニの「게장」は)



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 そこで、赤くて大きくて見栄えがする「シオマネキ」をあきらめて、地味で小さな「ハクセンシオマネキ 흰발농게」を主人公にした。ま、仕方ないが、こちらの方は鳥のエサになっているのでストーリー的には書きやすかった。
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 しかし、調べみると、シオマネキを食べているのは韓国だけではなかった。
 日本でもちゃんと食べている。

 佐賀県に伝わる「がん漬け」はシオマネキの塩漬けを発酵させたものだ。

 
九州は半島と食文化が似ていることが多い。「がん漬け」と「게장」のルーツをたどるのも面白いネタだなぁ。


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 そんなことを考えていると、カニが無性に食べたくなった。
 もちろん「漬けものカニ」。そう「게장」。
 行きつけの韓国料理店にたずねると、ワタリガニは今、産卵期で手に入らないという。

 うーん、게장食いてぇ!

 ワタリガニの게장
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by kimfang | 2009-02-14 14:22 | トピックス
09/2/8 4大江殺し
 昨年11月に韓国で行われたラムサール締約国会議でのこと。 
 「ここでぼくが発表すると、政府を助けることになってしまいます。でも…世界の人たちと意見を交わしたくて…悩みに悩んだ末に、ここに立ちました」
 若き研究者が、ふーと大きく息をついたあと、声を震わせながら絞り出した言葉だ。私的な発言であったために、英語の通訳は行われなくて外国人には伝わらなかったが、多くの韓国人が彼に強いシンパシーを感じた。
 
 ご存じのとおり韓国は今、保守派のイ・ミョンバク政権だ。大統領は選挙公約に「韓半島大運河」を掲げて当選した。
 現代(ヒョンデ)建設の社長時代、ドイツのライン川運河を見て初めて構想したというその事業は、最終的には南北を貫く17本、3100キロの運河を造るという壮大な構想だ。工事で雇用を創出できるだけでなく、川底に蓄積した汚染物質も除去できる。まずはソウルを流れる漢江とプサンに注ぐ洛東江をつなぐ工事から始めると訴えた。
 ところが、環境破壊だ!という批判や、費用対効果を疑問視する声が上がった。与党・ハンナラ党(当時は野党)の中からも強い反対意見が出ていた。
 イ大統領は就任直後、早々に国土海洋部に大運河推進チーム組織し、計画を推進しようとしたが、国民の反対は想像よりも大きかった。6月のろうそくデモを受けて「国民が反対するなら推進しない」と事実上の白紙撤回を約束したのだった。 f0004331_9484987.jpg 
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    写真左 洛東江河口エコセンター                 写真右 河口が鳥の目線で観察できる
 
 なのに、世界経済危機が起こった11月、政府は「4大江整備事業」と題した政策を発表した。韓国を代表する大河である、漢江、洛東江、錦江、栄山江の四つの川を整備するというもので、約20万人の雇用を創出し、23兆ウォンの経済効果が期待できる?とした。
 「大運河」とはちがう事業だというが、誰がどう見ても「大運河の強行」としか思えない。ラムサール誘致に積極的に動いた環境団体の一部が、会議をボイコットすることで抗議した。冒頭の若い研究者の言葉は、このような背景の中から生まれたのである。
 結果、ラムサール会議は、韓国初の国際環境会議という輝かしいものになるはずだったのに、地道な運動をしてきた市民の参加は少なく、逆に、自らの活動を世界にアピールしようと乗り込んできた日本人で溢れ返ってしまった。
 「ラムサール会議は日本の祝祭?」とマスコミが皮肉くる始末。一方、日本人からは、ラムサール会議を誘致しておいて大規模開発をする韓国はけしからん!と非難が飛んだ。
 政府は「グリーンニューディール政策」として、あくまでも「4大江整備」を推し進める構えだ。姑息にも呼称を「4大江サルリギ(살리기 蘇生)」と替えたが、「4大江チュギギ(죽이기 殺し)」に他ならない。土木会社救済のために、江が殺されようとしている。
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                       洛東江エコセンターから見た洛東江河口の美しい夕日。
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by kimfang | 2009-02-08 09:46 | トピックス
09/1/28 天使のはね
 ♪ ラララン ランドセルは
  テテテン 天使のはね ♪
 このコマーシャルソングが頭にこびりついて離れない。車を運転する時も、風呂に入っていても、トイレでしゃがんでいても、思わず口ずさんでしまう。

 韓国で出る「世界の動物絵本シリーズ」の選定作業をしていることを覚えているだろうか? 絵本を持ち寄って会議をするのだが、絵本は重い。だから旅行カバンに入れてコロコロ転がしていく。
 先日は、バス停でバスを待っていたら、犬を散歩させている友達と出会った。
 「ねぇ、旅行いくの?」
 「ううん、会議」
 「?…」
 友達は、理解できずに首をかしげていた。

 つまり、それぞれ自分が推す絵本を持ち寄って集まり会議。全員の意見が一致すると、あらすじと推薦理由をA4用紙にびっしりと書いた物に、絵本全文のコピーを添えて一冊完了。これを三人が手分けして40冊分行うという仕事なのだ。ふー。
 
 出版社からチームに与えられる報酬は決まっている。出来得る限り節約しなくては、取り分が少なくなる。そこで、会議はミスドやマクド。毎回、コーヒー一杯で4時間以上粘る。
 コピー代も節約しなくてはいけない。そこでぼくは、近くのスーパーの二階にあるコピー機を使う。絵本の表紙はカラーコピーをしなくてはいけないのだが、ふつうにコンビニでA3をやると80円もする。スーパーは50円で安い。

 さて、そのスーパーのコピー機のあるところが、まさにランドセル売り場のまん前なのだ。あの「天使のはね」のコマーシャルソングが、自動再生で流れ続ける。ちゃんと、調べたわけじゃないが、10分間のビデオで10回は流れる。
 いつも1時間はコピーしているから60回も聞いていることになる。さらに家に帰ってテレビをつけると
 ♪ ラララン ランドセルは
  テテテン 天使のはね ♪

 ホンマ。洗脳されてしまいますわ。

 しかし、いつも感心させられることがある。
 このコピー機の隣に大きなベンチがあって、いつも、おじいちゃん・おばあちゃんが愛用している。
 そのお年寄りが休む間にも
 ♪ ラララン ランドセルは
  テテテン 天使のはね ♪
 「そうや、○○のランドセル買わなあかん」といった老人を5人も目撃した。

 スーパー、お主も悪よのう

 まだ、あともう少し、「天使のはね」を口ずさむ日々が続きそうだ。
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by kimfang | 2009-01-28 17:04 | トピックス
09/1/14 本屋に並ばない本
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 ぼくは今、本屋に並ばない本を書いている。
 こういうと、みなさんは、あーあっ、アイツはついに、そこまで落ちぶれたか。本屋に並べられないほどひどいスケベエな物語を書いているのか、と思うかもしれない。
 どうぞご安心を。「世界の動物絵本シリーズ」という、極めてまじめな絵本を書いている。しかも、40冊からなる大きな企画であるが、決して本屋には並ぶことのない絵本なのだ。不思議でしょ。

 えっ、なぜ? そんな絵本が韓国の書店に並ばないの? それはみなさんが、一番理解できないところだろう。
 実は、ぼくも、韓国独特のシステム理解するまでに二年ほどかかった。このブログで、そのことがちゃんと伝わるか心配だけど、勇気をもって話を進めよう。

 韓国では大きく分けて「単行本」と「全集」という、ふたつの種類の本が存在する。つまり、本屋さんに並ぶ「単行本」(シリーズでも、こういうからややこしい)と、本屋さんには決して並ばない「全集」(多くの場合、インターネットだけで売られている)があるのだ。
 今、ぼくがしているのが、本屋に並ばない「全集」の仕事なのである。
 日本ではもうなくなってしまったけれど、むかしは「家庭用の児童書セット」って、売っていて、みなさんの家にもあったはず。そう。それが、韓国でいう「全集」なのである。
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 最初はこのシステムに戸惑った。世界的な名作の韓国版を手に入れたかった。しかし出版されているのに本屋では売っていない。何が何だかわからなかった。
 簡単なことだ。「全集」の目玉にしてしまうから、それが欲しければ「全集」を買わなくてはいけない。と、いうシステムなのである。
 確か?「はらぺこあおむし」も「全集」のひとつだったが、猛抗議を受けて「単行本化」されたと聞いたことがある。

 とにかく、韓国では、「全集」を専門に出す出版社が半分。本屋に並ぶ「単行本」を出す出版社が半分。両方している出版社は、一部の大手だけ。しかも、全集出版社は、ブロードバンド普及率世界第二位というネット社会をフル活用して成長し続けている。
 ここからの仕事も受けないと、韓国では作家してやってはいけないのも現実なのだ。

 しかし、悪いことばかりではない。「単行本」に比べると、べらぼうに安い。しかも、大学の教授や教育のプロが、幼年期から高学年までの子どもが読むのにふさわしい本を選んでくれる。   「全集」を揃えれば子どもに必要な本を兄弟で回し読みできる利点がある。
 日本では区にひとつは図書館があるが、韓国では図書館がない地方が、まだ、たくさんある。「全集」は、そんな韓国の事情もあって伸び続けた。この不景気で、ますます伸びるだろう。

 今までも、「全集」の仕事を手伝ったことはあるが、今回は話がちがう。動物絵本の生物学的な記述をチェックするアドバイザーだから責任が重い。
 ところが、これが、なかなか手間がかかる。選んだものがすでに韓国で出ているケースも多い。40冊を選ぶのはなかなかたいへんだ。

 絵本は血眼になって読むものじゃないよね、たのしく読まなくっちゃねぇ。
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by kimfang | 2009-01-28 16:40 | トピックス
09/1/13 人生を変えた本
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 人にはそれぞれ、自らの人生を変えた本との出会いがある。
 それは小説だったり、一編の詩だったり、ときには絵本だったりもする。
しかしぼくは図鑑と出会って、人生が変わってしまった。(何とも、ぼくらしい)
 その本は韓国で1994年に発売された『우리 새 백 가지』。「私たちがほんとうに知らなければいけない我が国の鳥 100」という鳥類図鑑だ。
図鑑といっても写真よりも文章が多く、相当に重くて分厚い。もちろん持ち歩くのに適していないが、専門知識を分かり易く広めようとする熱い想いがみなぎる本だった。
 ところでこの本は、ぼくが選んだのでもなく、買ってきたのでもない。なのに、偶然に我が家へやってきて、さらには偶然にも、著者と知り合いになるという幸運をもたらしてくれた、まことに不思議な縁を持つ本となった。

 まずは、どのようにして、我が家にやってきたのか?から、話そう。
 多分、みなさんはぼくが在日韓国人だから、韓国に行けて当たり前だと思っていることでしょう。 しかしぼくは、「朝鮮籍」だったので簡単には韓国へは行けなかった。
 いっておくが朝鮮籍は「北朝鮮籍」ではない。(日本は国と認めていない)解放当時のまま、朝鮮半島出身者を示す「記号」のようなものなのだ。

 ぼくが生まれた1960年、父方の家族は父だけを残してみな、帰国船に乗って北へ渡った。本当の故郷は南だったが、韓国へはまだ帰れなかった(日韓国交正常化は1965年)。
 激しい南北対立のなか、北の兄弟の身を案じた両親は、ぼくが韓国へ訪問することはもちろん、韓国籍を取得することすら固く禁じたのである。



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 韓国へいきたくてもいけない、そんな1999年、友人が訪韓するときき、「鳥の本」を買ってきてほしいと頼み込んだ。
 今のようにインターネットで韓国の情報がすぐに手に入る時代ではない。どんな本が、いったいどれほどのレベルであるのかもまったくわからない。ただ、「専門的過ぎず簡単過ぎない鳥の本」をお願いした。
 今から思えば、韓国語ができない、しかも図書館学が専門という友人にとっては、とっても難しい注文だったと思う。通訳を介して書店の店員と散々悩んだ末に、友人が選び抜いたのが、あの図鑑だった。

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  初めての韓国の本を手にして知ったことは、あまりにも多かった。
 一番、驚いたのは100種の鳥を紹介しているこの本の巻末に、「南北 鳥の名前の比較」がついていたこと。一般的な鳥100種を選んだのに、名前がちがうのがなんと53。半分以上もあった。
  また、心にズンときたのが、参考文献、17冊のうち、日本の本が半分以上の9冊もあったこと。(ちなみに英語の本は4冊)
 北に親戚がいて日本にすんでいる「在日韓国人」でしかできないことが、きっとある!と、激しく心を揺り動かされた。
  その後の行動は、今のぼくの活動を見ればおわかり頂けることだろう。

  ところで、この本の著者-イ・ウシン(李宇新)・ソウル大教授は、帯広大学と北海道大学に留学経験があって、現在、韓日渡り鳥保護協力会議の韓国代表だ。著者との出会いも、また、偶然の産物だった。

 昨夏、大手全国紙・Y新聞が、韓国のトキについて取材したおり、イ教授とのインタビューが急に入った。その通訳を務めたのが、たまたま、ぼくだったのである。
 韓国に行けない日々に、何度も何度も穴があくほど読んだ本である。著者を忘れるはずがない。
ソウル大学の研究室で行われたインタビューが終わると(私情は後回し)、ぼくは教授が執筆された御書こそが、自分の人生を変えるきっかけになったとカミングアウトした。
 それまで淡々とインタビューに応じていらした教授の表情が一変した。「それはそれは、著者冥利につきることだ」と喜んでくださった。
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 昨秋、韓国で行われたラムサール会議のとき、また偶然、お会いした。こうして会うならば、あの本を持ってくればよかったと、どれほど後悔したことか! 

 1月13日、イ教授を代表とする一団が日本にやってきた。忠清道に新しく建設する生態園の参考にするために、日本の施設を視察した。ぼくは雪の降るなか、京都府立植物園を案内した。(写真。おかげで風邪をひいた)

 もちろん、あの本を持って。
 本を手にしてからちょうど10年。ついにサインが入った。
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by kimfang | 2009-01-18 12:28 | トピックス
09/1/13 ペンギン正月
 みなさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 
 実はぼくは、年末年始の休みを返上して仕事をしていた。
 昨年の今頃、必死に書いていた『ペンギン本』の追加原稿を書いていたのだ。
  『ペンギン』は、18の話からなる構成だったが、昨年12月の初めに、追加でふたつの話を入れてくれないかという要望があった。全部で20の話にするという。
 今年の4月発売予定だから年内に書き上げるのがギリギリですと出版社にいわれていた。頑張ったけど、どうにも間に合わず、無理をいって正月明けまで待ってもらうことになった。

 韓国に正月休みはない。あちらは「음력설」(旧正月)がメイン。そのときには三連休だが、新暦の正月は元旦の一日だけ休んで、大晦日も正月三が日も普段通りに仕事をするのが韓国の正月だ。
 ぼくの原稿が遅れると、挿絵が遅れて、デザインが遅れて、壮丁が遅れて、発売が遅れて、お金の入金が遅れる…とにかく正月返上で頑張るしかない。辛い正月を過ごした。
と、いえば、超カッコイイんだが、へへへ。
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 締め切り原稿のおかげで、なかなかどうして、快適な正月を過ごさせていただいた。ははは。
 例年なら、
「アッパ(お父さん)、大掃除手伝って」
「アッパ、제사(祭祀)の買い物ついてきて」
いやでもしなくてはいけない「仕事」がぼくに回ってくる。でも、今年はちがう。
「えいえい、みなのもの、頭が高い! この締め切り原稿が目に入らぬか!」
 締め切り原稿という「印籠」のおかげで、それを免れた。
 こたつの上に、ペンギンの図鑑や専門書を積み上げて置いてパソコンに向かっていれば、大掃除をしていようが、제사の準備でバタバタしていようが、どこにも連れていかなくても、仕事だからしょうがないと、家人も諦めてくれる。
 好きなことして快適に過ごし、4日に原稿を送った。ペンギン正月がようやくあけた。めでたし、めでたし。

 そうしたら、昨日、『ペンギン本』の絵のサンプルが送られてきた。
20のお話の中の5話をマンガで描くと聞いていたが、そのサンプルがこれだ。
 帽子、ネガネ、口ひげ。「ゲゲゲの鬼太郎」に出てきそうな変なおっさん。でも、どこかで見たような顔。
 オー、自分の似顔絵が…
 ちょっと気恥ずかしいが、本を売るために「見世物」も、ま、いいか。

 マンガを描いた최현정さんは、京都精華大学のマンガ科を卒業。家にも何度が遊びに来ている。

 愛猫・チャムを登場させてくれたことが、何よりもうれしかった。
 続きは、本にて。
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by kimfang | 2009-01-14 11:01 | トピックス
08/12/1 『コウノトリ』が朝の読書用推薦図書に選ばれました!
 韓国で出した『황새』(コウノトリ)が、またまた、推薦図書に選ばれました。
 2007年、韓国刊行物倫理委員会の「6月の本」に選ばれたのを皮切りに、
 2007年、韓国文化観光部の「推薦教養図書」に。
 2008年、国立オリニ・青少年図書館「夏の読書感想文選定図書」に。
 そして今回、
 2008年の小学校5-6年向け「朝の読書用推薦図書」に選ばれました!

 日本では夏休みの読書感想文の課題図書に選ばれると、すご~く売れんですが・・・
韓国では、推薦図書になっても、あんまり売りあげには「直結」しないなぁ ^^

 けれども、今まで韓国であまり知られていなかった「在日三世」の半生と、
 日本がどのようにしてコウノトリを「復活」させたのか、
 ふたつの物語が同時に進行しながら、
 最後のコウノトリの放鳥式典でひとつにつながるという、
 そんな斬新な構成が評価されてのことだと思っています。

 早く日本語版を出したいなぁ。

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by kimfang | 2008-12-21 10:31 | トピックス