動物児童文学作家のキム・ファンです!!
カテゴリ:連載( 40 )

15/2/26 本当の強さとは何か
韓国絵本紹介コラム10回目です。
本当の強さとは何か
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 何てカラフル。これが、韓国のニワトリなんだ! 
 2001年のこと。書店で見つけた絵本を見て叫んでしまった。主人公の雄鶏は、茶色っぽい体から緑色の羽根がついた翼を広げ、黒と紫色をした尾羽を優雅になびかせていた。
 今回紹介するのはそのときの絵本、 『せかいいち つよい おんどり』(原題 세상에서 제일 힘센 수탉)だ。

 ところが、韓国のニワトリについて調べてみると、悲しい現実を知ることに。悲運のはじまりは日本統治時代に、日本から生育が早くて産卵数も多い外来種を積極的に導入したことだ。韓半島在来のニワトリは徐々に飼育数を減らしていった。
 それに追い討ちをかけたのが6・25(韓国戦争)。戦う兵士の胃袋を満たすために、海外から途方もない数のニワトリが持ちこまれた。

 そして戦後も、生産力の向上だけを追及したために、ついに純粋な血統を持つ韓半島在来のニワトリは滅んだのだ。

 この絵本のニワトリは、韓国のニワトリではないのか? 画家さんに直接会って話を聞きたいという想いは日に日に募っていった。チャンスは突然に訪れた。イ・オクベさんがシンポジウムにパネリストとして招かれたのだ。
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 「子どものころ田舎で見ていたニワトリをイメージしました。今や消えさってしまった在来種の堂々とした姿を再現しようと、博物館や画集に残っている朝鮮時代の画家、ピョン・サンビョク、チャン・スンオプの描いたニワトリの絵と民画などを参考にして、手探りで主人公の雄鶏を創りあげていきました」 

 さて、物語の内容だ。生まれたときから世界一。かけっこもジャンプもケンカだって得意。ほかの雄鶏からは悔しがられ、雌鶏からはモテモテだったが、やがてもっと強い雄鶏が現れる。
 がっかりした雄鶏はお酒ばかり飲むようになった。それを見た奥さんの雌鶏は、「本当の強さとは何か?」を雄鶏にそっと気づかせてあげる。

 この絵本は1997年の発売以来、今も読み継がれている名作で、教科書にも収録されている。やはり韓国初の「IBBY選定優秀図書」は伊達ではない。IBBYとは国際児童図書評議会の略称。約77か国が加盟し、「小さなノーベル賞」ともいわれる「国際アンデルセン賞」もここが与えるのだ。

 滅んでしまった韓半島在来のニワトリだったが、国の在来種家畜復元事業で蘇った(写真、ソウル大公園にて)。 

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by kimfang | 2015-02-26 20:10 | 連載
15/2/5 ウサギさん、愛されるわけ
韓国絵本紹介コラム9回目です。
ウサギさん、愛されるわけ

 ウサギが主人公の名作絵本といえば?
 この質問を韓国の人にしたならば、おそらく多くの人たちが一番に、『うさぎのおるすばん』(原題 도대체 그 동안 무슨 일이 일어났을까? )の名をあげるだろう。
 韓国で圧倒的な支持を得ているこの絵本について話すには、作者と当時の韓国の現状から話さなければいけない。

 イ・ホベクがソウル大学の学生のころ。日本に滞在していた親戚から、トミー・ウンゲラーのイラスト画集をプレゼントされる。
 「わたしは世のなかに、こんなに面白い絵があるということをはじめて知り、それから彼のファンになりました。その画集には彼の絵本の絵がいくつか載っており、このような絵をどうやって描き、また、このような絵が載った絵本がどのような本であるのか、知りたくてたまりませんでした」
 当時の韓国は、海外の優れた絵本が簡単に読める環境ではなかったのである。

 やがてイに、フランスに留学するチャンスが訪れる。おかげでトミー・ウンゲラーの絵本をすべて読むことができただけでなく、数多くの世界的な名作と出会えたのだ。
 93年に帰国したイは、児童書専門出版社で企画と編集の仕事をするかたわら、翌年には自身が代表を務める絵本企画会社「チェミマジュ」を設立し、やがて出版社へと発展させていく。
 韓国の絵本が質的な変化を果たすのは、90代の半ば。まさにその最前線に立っていたのが、イ・ホベクであり、彼が文と絵を担当し、自らの出版社で00年にだしたのが、ほかでもない今回の絵本だ。
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 左から、日本語版、フランス語版、英語版、韓国語版。

 おやおや、ベランダのガラス窓のカギがあいていたみたい。ウサギはこっそり窓をあけて、だれもいないお部屋に入ってきます。
 ペットのウサギはベランダから、いつもみんながやっていたことを見ていました。今夜は、だれも帰ってこないはず。ととうとやりたいことがやれるチャンスがめぐってきたんだ!
 家族がいない部屋で、ウサギはいろんなことをはじめますが……。 

 この絵本は、アメリカ、フランス、イスラエルでも発売されていて、特にアメリカでは、03のニューヨークタイムズの「年間最優秀絵本」に選ばれた。
 日本語の翻訳は、芸能界きっての韓国通、黒田福美さんが担当している。

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by kimfang | 2015-02-05 14:22 | 連載
15/1/28 子どもの目線 絶賛!
韓国絵本紹介コラム8回目です。
子どもの目線 絶賛!
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 一年で一番寒い時期だ。例年ならばぼくはこの時期、必ずといってもいいほど風邪で寝こんでいたが、今年はまだ大丈夫。もしかするとそれは「木爪(モグァ)茶」という、カリンを使った韓国伝統茶のおかげかも知れない。
 むかしから寒さの厳しい韓半島では、風邪の予防に柚子(ユジャ)茶や生姜(センガン)茶が飲まれてきた。とりわけ木爪茶はよく効くと信じられ、秋にカリンの実が市場に出回るようになると、多くの家庭で漬けられる。

 今シーズン、わが家でも手づくりの木爪茶をつくった。カリンの実を銀杏切りにし、蜂蜜と黒酢で漬けた。それを毎日お湯でわって飲み、実も一緒に食べている。まだ風邪で寝込んでないのをみると、やはり木爪茶は効果があるようだ。
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 しかし、どんなに予防していても風邪をひいてしまうことだってある。そんなとき大人たちは、「あのとき、コートを脱いじゃったからかなぁ」「事務所が乾燥しすぎなのよ。加湿器がないから風邪をひいちゃうのよ」「あいつのせいだ。あいつがコンコン咳きこんでいたから、うつったんだ」などと、自分が風邪をひいた理由を分析する。
 今回紹介する『かぜひいちゃった日』(原題 감기 걸린 날)は、主人公の女の子が自分が風邪をひいた理由を、子どもならではの目線で考えていくというストーリー。

 雪がいっぱい降った日、オンマは新しいダウンを買ってくれました。ダウンを着て鏡に向かうと、羽根が一枚、飛びだしていました。羽根がどうして飛びだしたのかなあ? と考えているうちに眠ってしまいました。
目を覚ますと、目の前にたくさんのアヒルさんが。アヒルは羽根がなくて寒いといいます。女の子はアヒルさんに……。  
 さてさて、女の子は自分が風邪をひいた理由をいったいどのように分析したのか?
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 この絵本は、2002年の「ポリム(韓国の出版社)創作絵本公募展」の優秀賞を受賞した。子どもの目から見た不思議さと、想像力のおもしろさを新鮮な感覚で描いたと絶賛され、フランスと台湾でも発売されている。
 絵の下部はノートのようになっていて、女の子は自分が経験したことを素直な言葉でつづっていく。まるで、子どもが絵日記を書いているようだ。このような形式は斬新だ。

 そうそう、斬新といえば日本語版では、今までない画期的な試みもなされている。本文の一番下の方に、小さく韓国語が書かれているのだ。ぼくは日本ででた韓国の絵本を数多く見てきたが、巻末にまとめて韓国語がついている絵本はいくつか知っていても、本文に韓国語がついているのははじめてだった。
 韓国語を勉強している方に、ぜひ、お勧めしたい絵本だ。  

 記事全文はここから読めます。

 1月24日の「朝日新聞」でも、カリンは大きく取り上げられました。
 写真は、ぼくが経営するクリゴカフェのモグァ茶。今シーズンのモグァチャは、あと残り少なくなってきました。
 お早目に^^
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by kimfang | 2015-01-28 20:28 | 連載
15/1/18 魂ネズミ夢のお告げ
韓国絵本紹介コラム7回目です。
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 いい初夢を見た方、「夢のお告げ」かも。ジュゼッペ・タルティーニは悪魔が見事にバイオリンを演奏している夢を見て、名曲「悪魔のトリル」を作曲した。
 また、アウグスト・ケクレはヘビが自分のしっぽをくわえて回っているうちに大小の球が飛んできてつながって鎖になる夢を見たことで、ベンゼンの構造式を発見した。 

 わが先祖の夢に対する考え方を知るにおいて、「魂(たま)ネズミの話」という説話はとても興味深いものがある。 人の鼻の穴の奥には、魂ネズミという2匹のハツカネズミが住んでいて、眠ると鼻の穴から外へとでていく。夢はそのネズミが経験してきたことだというお話だ。
 各地にいろいろなパターンの魂ネズミのお話があるが、京畿道南楊州に伝わる話が特におもしろい。 


 娘が嫁いだ夫は泥棒だった。娘は夫がまともな人間になってくれることを望んでいたが、食べていかなくてはいけず、泥棒をやめてくれともいえずにいた。
 ある日、夫が昼寝をしていると、鼻の穴から赤いネズミが3匹、そろりそろりとでてきた。敷居が高くて外にでられない。娘は物差しを橋にして渡してやった。
 しばらくしてネズミたちが帰ってくると、娘は最後の1匹を物差しで叩き殺した。眠りから覚めた夫は、泥棒する家の夢を見たが恐ろしくていけないという。それからというもの真面目に農作業をするようになった。
 ふつうの人の魂ネズミは2匹だが、泥棒や悪いことをする人はもう1匹、3番目がいる。さしずめその悪いネズミは、泥棒する勇気をつかさどっていたというのだ。
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 今回紹介する『ふしぎなしろねずみ』(原題 흰 쥐 이야기)は忠清道のお話だ。おじいさんの鼻の穴からでてきた白いネズミによって宝物を見つけるという縁起のいいお話。それというのも、おばあさんが困っていたネズミを親切に物差しで助けてあげたから。

 ふたつのお話で共通して大事な役割を果たしているが、ほかならぬ物差し。伝統的な物差しにはよく、写真のような北斗七星の模様が描かれてきた。北斗七星には正義を計ったり、命をつかさどる力があると古くから信じられてきたからだ。

 もちろん、絵本の物差しにもちゃんと北斗七星が描かれている。絵は、韓国人としてはじめて「ボローニャ・ラガッツイ賞」優秀賞に輝いたユン・ミスク。さすが! と唸ってしまうような絵である。

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by kimfang | 2015-01-18 11:43 | 連載
15/1/2 晴れ着にたくす思い
 あけましておめでとうございます。セヘ ポク マニ パドゥセヨ! 今年もよろしくお願いします。

 韓国絵本紹介コラム6回目です。

 2006年の正月のことだ。韓国からやってきた留学生が絵本をプレゼントしてくれた。金色のハングルで大きくタイトルが書かれていたが……。
 ソルビム? いったいどういう意味なんだろう? と、困ってしまった。 
 留学生といっても若者ではない。出版社で長年児童書を担当したあと退社。フリーランスの翻訳家としてすでに活躍していて、日本の優れた絵本を韓国に紹介しようと、自らのスキルアップのために絵本を学びにきた同い年の女性だ。

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 セットンチョゴリを着た女の子が描かれた表紙をめくると、真っ白のソクチマとソクチョゴリを着た女の子が、つぎのページでは真紅の絹のチマを着て、つぎをめくると刺繍をした綿入りのポソンをはき、そしてやがてセットンチョゴリを着るというように、ページをめくるたびに正装を整えていく。
 今回紹介するのはそのときの絵本、『ソルビム』(原題 설빔)だ。

 韓半島の人たちは、すべてが新しくはじまるお正月には、着るものもまた、頭のてっぺんからつま先まで、新しいものを新調した。お正月にはじめて着る晴れ着のことを、「ソルビム」というのだと知った。
 ただ絵を見ているだけでも十分にたのしい絵本なのだが、巻末には、それぞれの服や飾りなどの名称、それにこめられた思いが、図入りでわかりやすく解説されている。

 ところで、むかしは着るものは、ほとんど家でつくった。ソルビムも、例外ではない。女性たちが家族全員のものを仕立てた。特に子どもに着せるソルビムには、ひと針ひと針に、オモニの愛がこめられた。

 わたしは男の子編の最後の絵がとても好きだ。ソルビムを着た、幼い男の子、お姉ちゃんの女の子、アボジ、オモニ、ハラボジ、ハルモニの家族全員が、まるで記念写真を撮っているかのようなすてきな絵だ。
 その絵の中心にいるオモニが、なんとも誇らしげな表情をしているように見えるのだ。
 そりゃあそうでしょう。オモニが、家族全員のソルビムを仕立てたのだから!

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by kimfang | 2015-01-02 10:49 | 連載
14/12/26 BIBグランプリの絵本、日本でも翻訳賞
韓国絵本紹介コラムの5回目です。
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 今年も押し迫ってきた。そこで今年を締めくくるのにふさわしい『はしれ、トト!』(原題 달려 토토)を紹介しよう。みなさん、今年はウマ年だったでしょ^^ でも、この絵本にでてくるウマは、ぬいぐるみのウマと、競馬場にいる競走馬なのだ。

 女の子のお気に入りは、「トト」という名前のウマのぬいぐるみ。日曜日の朝、おじいちゃんが競馬場に連れていってくれる。
 「本物のウマってどんなかな? 胸がドキドキしてきました……」
 そんな女の子が競馬場で見たのは、何かをじっと見ている人、何かを書いている人、何かを考えている人、すごく大きなスクリーンを見ている人――。
 「一等になるウマを当てたら、お金がたくさんもらえるんだって」
 競走馬のなかに、トトそっくりのウマがいたので女の子はそのウマが勝つと予想するが、おじいちゃんはちがうウマの馬券を買う。
 いよいよレースがはじまる。女の子の応援するトトは……。
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 この絵本のおもしろいところは、幼い女の子の目線で、競馬場にくる大人たちをシュールに観察しているところ。そしてそれを色々な技法の絵で、的確に描いたところだ。
 子どもの目の鋭さに、思わずはっとさせられるこの作品は、2011年の「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」(BIB)で、グランプリに輝いた! 
この賞は、スロバキアの首都であるブラティスラヴァで、2年に一度開催され、 「国際アンデルセン賞」と並ぶ、児童書分野の権威ある賞だ。絵本のイラストレーターに与えられる国際賞のなかで、もっとも古いもののひとつである。

 さて、冒頭で今年を代表する韓国絵本だといったのは、単に今年がウマ年だったという理由だけはない。実は、この絵本の日本語版が、今年の「日本絵本賞」の「翻訳賞」を受賞したのだ。
 わたしはこの絵本にでてくる大人たちの、哀愁に満ちた表情が大好きだ。なかでもおじいちゃんは最高だ。『はしれ、トト!』は、フランスで発売されたあとに韓国ででた。子どもだけでなく、大人にもたのしんでもらいたい絵本である。

 新聞のコラムはこちらから読めます。
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by kimfang | 2014-12-26 14:17 | 連載
14/12/10 冬至の日には小豆粥
韓国絵本紹介コラム第4回です。
夢与えた初の国際賞

 今回紹介するのは、『あずきがゆばあさんとトラ』(原題 팥죽 할멈과 호랑이)。
 むかし、おばあさんがあずき畑で働いていると、山からトラがおりてきて食べようする。
 「このあずきが実ってから、あずき粥を食べるまで待っておくれ」
 あずき粥まで食べたいトラは、「あずきができるころにまたきて、とって食ってやるからな」といい残して帰ってく。
 秋になり、あずき粥をお釜いっぱいに作ったおばあさんは、悔しくて、悲しくて、しくしく泣いた。すると、たまご、スッポン、うんち、きり、石うす、むしろ、しょいこたちが順番にやってきて、「一杯くれたら、助けてあげる」といってかくれる。
 夜になって、ついにトラが。おばあさんが見えないので火をつけようとしたところ……。
 日本の「さるかに合戦」によく似たお話だ。 
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 ところでトラは、おばあさんだけでなく、あずき粥も食べようと欲張ったために墓穴を掘る。おばあさんに味方した者たちもあずき粥がほしいから助けてくた。それほどみなが、あずき粥が食べたいと思うのには訳がある。
 韓半島では、古くから冬至の日にあずき粥を食べる習慣があるのだ。冬至の日は昼が一年で一番短くて太陽の恵みが一番弱い。冬至の日に邪気をはらうという赤い色の食べ物、つまりは、あずき粥を食べたり、まいたりするようになったと考えられている。
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 さて、この絵本、ありふれたむかし話絵本に思われがちだが、韓国の絵本として歴史上初めて大きな国際賞を受賞した。イラストレーターのユン・ミスクはこの絵本の原画で、「ボローニャ・優秀賞」を受賞した。
 絵本に関わった者なら、誰もが憧れる栄誉な賞の受賞は、韓国の絵本関係者にそれはそれは大きな夢と希望を与えたのであった。

 写真提供―韓国 河南市 金英淑さん

 このコラムのために、友人のオモニがわざわざ小豆粥を作って写真を送ってくださった。
 この場を借りて、お礼を申し上げます。

 コラム全文はこちらから読めます。
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by kimfang | 2014-12-11 10:21 | 連載
14/11/28 むかし話で知る地理
 韓国絵本紹介コラム第3回目です。

 ぼくは小学校の頃からずうっと、「韓半島は、ウサギの形をしているんだよ」と教わって育った。ところが韓国に頻繁にいくようになると、トラの形をした半島地図をよく目にするように。あれっ? 韓半島はウサギの形のはずなんだけどなぁ……。
 これは日本統治時代に、日本の地理学者が本に記したのがきっかけで広く定着し、解放後もそのまま引き継がれたから。
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 近年韓国では、先祖たちは「トラの形」と考えていたということがわかってきた。トラの半島地図としてとても有名なのは、高麗大学の博物館に所蔵されている「槿域江山猛虎氣像図」。
 慶尚北道の浦項には、ホミコッ(虎尾串)と呼ばれる場所があるのだが、まさに名前の通り、トラのしっぽの付け根にあたるのだ! むかしから半島がトラの形と考えていなければ、このような地名は生まれまない。むかしの人たちが、「韓半島はトラの形」と考えてきた動かぬ証拠というわけだ。

 そう。トラはむかしから民族の象徴。だからトラがでてくるむかし話は、たくさん伝わっている。数あるトラのむかし話のなかから、今回は『とらはらパーティー』(原題 호랑이 뱃속 잔치 )を紹介しよう。
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 むかし江原道の金剛山のふもとに塩売りが住んでいた。塩がちっとも売れないので、山を越えてちがう村へとでかけていくと。
 アイゴ! ほら穴だと思っていたのは、山ほどもある大きなトラだった。
 しばらくすると、アイゴ! 慶尚道の太白山のふもとに住む炭売りが。そしてまた、アイゴ! と、忠清道の俗離山のふもとに住むかじ屋も、トラのおなかのなかに落ちてきた。

 こばらがすいてきた3人は、妙案を思いつく。かじ屋がトラのはらのなかをくり抜き、塩売りが塩をふりかけ、炭売りが炭に火をつけ、肉を焼くのだ。全羅道に着いたトラは……。

 むかし話を楽しんでいるうちに地理が自然と頭に入ってくる。韓国の地里を知るのにもお勧め。
   
 文と絵 シン・トングン/訳 ユン・ヘジョン/岩崎書店

 記事全文は、ここから読めます。

 もちろん、うちの「クリゴカフェ」の今週の絵本も『とらはらパーティー』^^
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by kimfang | 2014-11-28 10:40 | 連載
14/11/17 キムチ作り 絵本で楽しく学ぶ
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 韓国絵本紹介コラム2回目です。

 昨年の12月、韓国の「キムジャン文化」がユネスコの無形文化遺産に登録された。キムチそのものではなく、近所の人たちが一緒にキムチを漬ける、「キムジャン」という風習が登録されたのだ。
 今では、冬でも新鮮な野菜が手に入る。キムチ専用冷蔵庫も普及していて、むかしのように一度に大量に漬けることは少なくなった。それでもキムジャンは、外すことのできない家族の大切な年中行事だ。

 さて、今回紹介する『きょうはソンミのうちでキムチをつけるひ!』(原題 오늘은 우리집 김장하는 날)は、まさに、キムジャンの日のお話。表紙の絵やタイトルだけを見ていると、だれもがお話の主人公はソンミの家族だと思うことだろう。
 でも、主人公はもう「ひとり」いる。ソンミのうちの裏庭に住む、ネズミの家族^^
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 ネズミのオンマが、高らかに宣言する。
 「今年は、うちでもキムチを漬けるわ。毎年毎年、ソンミのうちからもらって食べるのは悪いから」 
 ネズミんちのキムチ、ちゃんとできあがるのかな。

 文 チェ・インソン/絵 パン・ジョンファ/訳 ピョン・キジャ/らんか社

 民団新聞にて、「読みたいウリ絵本」好評連載中! 記事はここから読めます。

 写真は、とある教会のキムジャン風景。

 写真提供 / 漫画家 チェ・ヒョンジョンさん ぼくの『ペンギン』『ミツバチ』は、ヒョンジョンさんの絵です。
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by kimfang | 2014-11-17 09:48 | 連載
14/11/7 読みたい ウリ絵本 連載開始
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 今日から「民団新聞」で、韓国絵本の魅力を紹介する「読みたい ウリ絵本」という連載を開始した。
 一年間の長丁場。計30冊の絵本を紹介する予定だ。

 栄えある第一回の絵本は、やはり、韓国の絵本を変えた名作―『こいぬのうんち』。
 文 クォン・ジョンセン / 絵 チョン・スンガク / 訳 ピョン・キジャ / 平凡社

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 ぼくが生まれて初めて出会った母国の絵本だった。あれから14年もたったんだなぁ。まさか、自分も韓国で絵本をだせるようになるとは^^

 写真は、今年6月に韓国へいったときに寄ったソウル最大の書店、光化門の「教保文庫」で撮ったもの。他を圧倒する高さに平積みされていた。すごい!
 絵本発売から20年にもなろうとしているのに、いまだに衰えない人気。さすがは名作。ぼくもいつかこんなロングセラーを書きたいものだ。

 この名作は、日本、ポーランド、スイス、台湾、中国で翻訳出版されている。
 写真は、左から中国版、台湾版、ポーランド版。 
 記事全文はここをクリック。
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by kimfang | 2014-11-07 21:48 | 連載