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動物児童文学作家のキム・ファンです!!
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09/1/28 天使のはね
 ♪ ラララン ランドセルは
  テテテン 天使のはね ♪
 このコマーシャルソングが頭にこびりついて離れない。車を運転する時も、風呂に入っていても、トイレでしゃがんでいても、思わず口ずさんでしまう。

 韓国で出る「世界の動物絵本シリーズ」の選定作業をしていることを覚えているだろうか? 絵本を持ち寄って会議をするのだが、絵本は重い。だから旅行カバンに入れてコロコロ転がしていく。
 先日は、バス停でバスを待っていたら、犬を散歩させている友達と出会った。
 「ねぇ、旅行いくの?」
 「ううん、会議」
 「?…」
 友達は、理解できずに首をかしげていた。

 つまり、それぞれ自分が推す絵本を持ち寄って集まり会議。全員の意見が一致すると、あらすじと推薦理由をA4用紙にびっしりと書いた物に、絵本全文のコピーを添えて一冊完了。これを三人が手分けして40冊分行うという仕事なのだ。ふー。
 
 出版社からチームに与えられる報酬は決まっている。出来得る限り節約しなくては、取り分が少なくなる。そこで、会議はミスドやマクド。毎回、コーヒー一杯で4時間以上粘る。
 コピー代も節約しなくてはいけない。そこでぼくは、近くのスーパーの二階にあるコピー機を使う。絵本の表紙はカラーコピーをしなくてはいけないのだが、ふつうにコンビニでA3をやると80円もする。スーパーは50円で安い。

 さて、そのスーパーのコピー機のあるところが、まさにランドセル売り場のまん前なのだ。あの「天使のはね」のコマーシャルソングが、自動再生で流れ続ける。ちゃんと、調べたわけじゃないが、10分間のビデオで10回は流れる。
 いつも1時間はコピーしているから60回も聞いていることになる。さらに家に帰ってテレビをつけると
 ♪ ラララン ランドセルは
  テテテン 天使のはね ♪

 ホンマ。洗脳されてしまいますわ。

 しかし、いつも感心させられることがある。
 このコピー機の隣に大きなベンチがあって、いつも、おじいちゃん・おばあちゃんが愛用している。
 そのお年寄りが休む間にも
 ♪ ラララン ランドセルは
  テテテン 天使のはね ♪
 「そうや、○○のランドセル買わなあかん」といった老人を5人も目撃した。

 スーパー、お主も悪よのう

 まだ、あともう少し、「天使のはね」を口ずさむ日々が続きそうだ。
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by kimfang | 2009-01-28 17:04 | トピックス
09/1/14 本屋に並ばない本
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 ぼくは今、本屋に並ばない本を書いている。
 こういうと、みなさんは、あーあっ、アイツはついに、そこまで落ちぶれたか。本屋に並べられないほどひどいスケベエな物語を書いているのか、と思うかもしれない。
 どうぞご安心を。「世界の動物絵本シリーズ」という、極めてまじめな絵本を書いている。しかも、40冊からなる大きな企画であるが、決して本屋には並ぶことのない絵本なのだ。不思議でしょ。

 えっ、なぜ? そんな絵本が韓国の書店に並ばないの? それはみなさんが、一番理解できないところだろう。
 実は、ぼくも、韓国独特のシステム理解するまでに二年ほどかかった。このブログで、そのことがちゃんと伝わるか心配だけど、勇気をもって話を進めよう。

 韓国では大きく分けて「単行本」と「全集」という、ふたつの種類の本が存在する。つまり、本屋さんに並ぶ「単行本」(シリーズでも、こういうからややこしい)と、本屋さんには決して並ばない「全集」(多くの場合、インターネットだけで売られている)があるのだ。
 今、ぼくがしているのが、本屋に並ばない「全集」の仕事なのである。
 日本ではもうなくなってしまったけれど、むかしは「家庭用の児童書セット」って、売っていて、みなさんの家にもあったはず。そう。それが、韓国でいう「全集」なのである。
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 最初はこのシステムに戸惑った。世界的な名作の韓国版を手に入れたかった。しかし出版されているのに本屋では売っていない。何が何だかわからなかった。
 簡単なことだ。「全集」の目玉にしてしまうから、それが欲しければ「全集」を買わなくてはいけない。と、いうシステムなのである。
 確か?「はらぺこあおむし」も「全集」のひとつだったが、猛抗議を受けて「単行本化」されたと聞いたことがある。

 とにかく、韓国では、「全集」を専門に出す出版社が半分。本屋に並ぶ「単行本」を出す出版社が半分。両方している出版社は、一部の大手だけ。しかも、全集出版社は、ブロードバンド普及率世界第二位というネット社会をフル活用して成長し続けている。
 ここからの仕事も受けないと、韓国では作家してやってはいけないのも現実なのだ。

 しかし、悪いことばかりではない。「単行本」に比べると、べらぼうに安い。しかも、大学の教授や教育のプロが、幼年期から高学年までの子どもが読むのにふさわしい本を選んでくれる。   「全集」を揃えれば子どもに必要な本を兄弟で回し読みできる利点がある。
 日本では区にひとつは図書館があるが、韓国では図書館がない地方が、まだ、たくさんある。「全集」は、そんな韓国の事情もあって伸び続けた。この不景気で、ますます伸びるだろう。

 今までも、「全集」の仕事を手伝ったことはあるが、今回は話がちがう。動物絵本の生物学的な記述をチェックするアドバイザーだから責任が重い。
 ところが、これが、なかなか手間がかかる。選んだものがすでに韓国で出ているケースも多い。40冊を選ぶのはなかなかたいへんだ。

 絵本は血眼になって読むものじゃないよね、たのしく読まなくっちゃねぇ。
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by kimfang | 2009-01-28 16:40 | トピックス
09/1/13 人生を変えた本
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 人にはそれぞれ、自らの人生を変えた本との出会いがある。
 それは小説だったり、一編の詩だったり、ときには絵本だったりもする。
しかしぼくは図鑑と出会って、人生が変わってしまった。(何とも、ぼくらしい)
 その本は韓国で1994年に発売された『우리 새 백 가지』。「私たちがほんとうに知らなければいけない我が国の鳥 100」という鳥類図鑑だ。
図鑑といっても写真よりも文章が多く、相当に重くて分厚い。もちろん持ち歩くのに適していないが、専門知識を分かり易く広めようとする熱い想いがみなぎる本だった。
 ところでこの本は、ぼくが選んだのでもなく、買ってきたのでもない。なのに、偶然に我が家へやってきて、さらには偶然にも、著者と知り合いになるという幸運をもたらしてくれた、まことに不思議な縁を持つ本となった。

 まずは、どのようにして、我が家にやってきたのか?から、話そう。
 多分、みなさんはぼくが在日韓国人だから、韓国に行けて当たり前だと思っていることでしょう。 しかしぼくは、「朝鮮籍」だったので簡単には韓国へは行けなかった。
 いっておくが朝鮮籍は「北朝鮮籍」ではない。(日本は国と認めていない)解放当時のまま、朝鮮半島出身者を示す「記号」のようなものなのだ。

 ぼくが生まれた1960年、父方の家族は父だけを残してみな、帰国船に乗って北へ渡った。本当の故郷は南だったが、韓国へはまだ帰れなかった(日韓国交正常化は1965年)。
 激しい南北対立のなか、北の兄弟の身を案じた両親は、ぼくが韓国へ訪問することはもちろん、韓国籍を取得することすら固く禁じたのである。



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 韓国へいきたくてもいけない、そんな1999年、友人が訪韓するときき、「鳥の本」を買ってきてほしいと頼み込んだ。
 今のようにインターネットで韓国の情報がすぐに手に入る時代ではない。どんな本が、いったいどれほどのレベルであるのかもまったくわからない。ただ、「専門的過ぎず簡単過ぎない鳥の本」をお願いした。
 今から思えば、韓国語ができない、しかも図書館学が専門という友人にとっては、とっても難しい注文だったと思う。通訳を介して書店の店員と散々悩んだ末に、友人が選び抜いたのが、あの図鑑だった。

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  初めての韓国の本を手にして知ったことは、あまりにも多かった。
 一番、驚いたのは100種の鳥を紹介しているこの本の巻末に、「南北 鳥の名前の比較」がついていたこと。一般的な鳥100種を選んだのに、名前がちがうのがなんと53。半分以上もあった。
  また、心にズンときたのが、参考文献、17冊のうち、日本の本が半分以上の9冊もあったこと。(ちなみに英語の本は4冊)
 北に親戚がいて日本にすんでいる「在日韓国人」でしかできないことが、きっとある!と、激しく心を揺り動かされた。
  その後の行動は、今のぼくの活動を見ればおわかり頂けることだろう。

  ところで、この本の著者-イ・ウシン(李宇新)・ソウル大教授は、帯広大学と北海道大学に留学経験があって、現在、韓日渡り鳥保護協力会議の韓国代表だ。著者との出会いも、また、偶然の産物だった。

 昨夏、大手全国紙・Y新聞が、韓国のトキについて取材したおり、イ教授とのインタビューが急に入った。その通訳を務めたのが、たまたま、ぼくだったのである。
 韓国に行けない日々に、何度も何度も穴があくほど読んだ本である。著者を忘れるはずがない。
ソウル大学の研究室で行われたインタビューが終わると(私情は後回し)、ぼくは教授が執筆された御書こそが、自分の人生を変えるきっかけになったとカミングアウトした。
 それまで淡々とインタビューに応じていらした教授の表情が一変した。「それはそれは、著者冥利につきることだ」と喜んでくださった。
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 昨秋、韓国で行われたラムサール会議のとき、また偶然、お会いした。こうして会うならば、あの本を持ってくればよかったと、どれほど後悔したことか! 

 1月13日、イ教授を代表とする一団が日本にやってきた。忠清道に新しく建設する生態園の参考にするために、日本の施設を視察した。ぼくは雪の降るなか、京都府立植物園を案内した。(写真。おかげで風邪をひいた)

 もちろん、あの本を持って。
 本を手にしてからちょうど10年。ついにサインが入った。
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by kimfang | 2009-01-18 12:28 | トピックス
09/1/13 ペンギン正月
 みなさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 
 実はぼくは、年末年始の休みを返上して仕事をしていた。
 昨年の今頃、必死に書いていた『ペンギン本』の追加原稿を書いていたのだ。
  『ペンギン』は、18の話からなる構成だったが、昨年12月の初めに、追加でふたつの話を入れてくれないかという要望があった。全部で20の話にするという。
 今年の4月発売予定だから年内に書き上げるのがギリギリですと出版社にいわれていた。頑張ったけど、どうにも間に合わず、無理をいって正月明けまで待ってもらうことになった。

 韓国に正月休みはない。あちらは「음력설」(旧正月)がメイン。そのときには三連休だが、新暦の正月は元旦の一日だけ休んで、大晦日も正月三が日も普段通りに仕事をするのが韓国の正月だ。
 ぼくの原稿が遅れると、挿絵が遅れて、デザインが遅れて、壮丁が遅れて、発売が遅れて、お金の入金が遅れる…とにかく正月返上で頑張るしかない。辛い正月を過ごした。
と、いえば、超カッコイイんだが、へへへ。
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 締め切り原稿のおかげで、なかなかどうして、快適な正月を過ごさせていただいた。ははは。
 例年なら、
「アッパ(お父さん)、大掃除手伝って」
「アッパ、제사(祭祀)の買い物ついてきて」
いやでもしなくてはいけない「仕事」がぼくに回ってくる。でも、今年はちがう。
「えいえい、みなのもの、頭が高い! この締め切り原稿が目に入らぬか!」
 締め切り原稿という「印籠」のおかげで、それを免れた。
 こたつの上に、ペンギンの図鑑や専門書を積み上げて置いてパソコンに向かっていれば、大掃除をしていようが、제사の準備でバタバタしていようが、どこにも連れていかなくても、仕事だからしょうがないと、家人も諦めてくれる。
 好きなことして快適に過ごし、4日に原稿を送った。ペンギン正月がようやくあけた。めでたし、めでたし。

 そうしたら、昨日、『ペンギン本』の絵のサンプルが送られてきた。
20のお話の中の5話をマンガで描くと聞いていたが、そのサンプルがこれだ。
 帽子、ネガネ、口ひげ。「ゲゲゲの鬼太郎」に出てきそうな変なおっさん。でも、どこかで見たような顔。
 オー、自分の似顔絵が…
 ちょっと気恥ずかしいが、本を売るために「見世物」も、ま、いいか。

 マンガを描いた최현정さんは、京都精華大学のマンガ科を卒業。家にも何度が遊びに来ている。

 愛猫・チャムを登場させてくれたことが、何よりもうれしかった。
 続きは、本にて。
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by kimfang | 2009-01-14 11:01 | トピックス