動物児童文学作家のキム・ファンです!!
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10/9/30 『シオマネキ』が選定図書になっていた^^
 f0004331_8233152.jpg今回の訪韓中(9/8-12)、5つの出版社をはしごした。

するとどこの出版社も口をそろえて「파주(パジュ)の『ブックフェア』のためにきたんでしょ?」と。

 「えっ? 知らないよ。本の打ち合わせのためにきたんだよ」というと、みんな、「あれれっ? おかしいなぁ」という顔をしていたのがとても印象に残った。

 韓国最北部の計画都市―파주(パジュ)市が新たに作られるときに、韓国の多くの出版社がソウルから移転していった。つまり파주(パジュ)市は、国が作った「本の街」なのである。

『ブックフェア』(9/10-12)とは、そんな「本の街」파주(パジュ)に進出した出版社たちが合同で、一年に一度、野外に本を並べて、サイン会や、原画の展示などを催す一大イベントなのだ。
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 それでもソウルから北へ車で一時間以上かかるのは不便だと、ソウルに「出張所」を持っている出版社や、移転せずにソウルに残った出版社もある。
 今回ぼくは、파주(パジュ)にはあがらずに、ソウルで出版社の人たちと会っていた。

 みなが噂していた今年の『ブックフェア』は、大雨のために中止されてしまった。
 
 そして昨日だ。
 韓国のインターネットを見ていたら、6月にだした『흰발농게 ハクセンシオマネキ』が、何と、「2010 幸せな本読み 全国読書感想文大会」の選定図書に選ばれているではないか。

 「本の街」파주(パジュ)市と大手新聞社―中央日報が主催するこの大会は、賞金総額1,000万ウォンのとてもビックなコンテストだ。

 一般と、青少年・子どもの部があり、それぞれ20冊の選定図書が発表されていたのだが、20冊に選ばれた本のラインナップを見てビックリ。
 絵本で選ばれたのは、ぼくの『シオマネキ』、ただひとつ。
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 さてさて、その募集期間(9/11-27 一週間延長された)を見て、またまたビックリ!
 ちょうど出版社巡りをしていたときに感想文の募集が開始されていたのだ。

 大きなコンテストだもの。
 当然、出版社の人たちは『シオマネキ』が選ばれていたのを知っていて、それでぼくが『ブックフェア』にきたものだと思っていたのだ。
 
 つまり、「あれれっ? 『シオマネキ』の宣伝のためにきたんじゃなかったですか?」―だったのである。

 あ゛~担当編集者が辞めちゃうと、こういうことが起こるんだよなぁ…

 『シオマネキ』を読んだ子の感想文が、入賞してくれるといいな^^
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by kimfang | 2010-09-30 08:29
10/9/20 ドキュメンタリー映画 『牛の鈴音 워낭소리』
f0004331_12525210.jpg 先日、メル友の翻訳家さんから、韓国の農夫を描いた『牛の鈴音 워낭소리』という話題の映画があるよと教えてもらった。
 『牛の鈴音』のことはまったく知らなくて、早速、ツタヤで借りて観てみると、なんとも素晴らしい映画。

老夫婦と、老いぼれたメス牛しかでてこないのに、どんどん映画の世界に入り込んでいった。
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 2008年プサン国際映画祭での最高ドキュメンタリー賞をはじめ、数多くの賞を受賞し、韓国のドキュメンタリー映画で最高の興行成績を収めた理由がわかった。

 その感動を家族で共有したくて、家人に無理やり見せ、子どもたちが「ヒマ」になるのを待って見せたら、返還日をとうに過ぎていて追加金をとられてしまうはめに。
 
 でもまあ、家族で見られて満足している。
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 日本では発売されていないが、野生動物の交通事故―ロードキルを扱った『いつかその道で 어느 날 그 길에서』も考えさせられるいい映画だ。

 どんどん作られていく道路。
 その傍らで生息地を分断させられていく野生動物たち。
 仲間に会うため、獲物を捕るため、
 やむなく渡った道路でロードキルに会ってしまう彼らの現実を見事に描いている。
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 とりわけ、せっかく助けた「88」という名のヤマネコが、悔しくもロードキルにあって死んでしまう場面は衝撃的だ。

 韓国はテレビも映画も本もみな、「つくり話」は強かったが、「事実」を描くノンフィクション部門はかなり弱かった。

 しかしテレビ番組から映画にもなった「北極の涙 북극의 눈물」や映画「ウリハッキョ 우리학교」など、近年、目覚ましい発展を遂げようとしている。
 テレビ番組も、ドキメンタリー番組が数多く作られるようになってきている。
 
 とてもいい流れだ。

 前回は、まだまだノンフィクション児童文学が根付いてないと嘆いたが、このような流れが児童文学の方にも大きな影響を与えてくれることを切に望んでいる。
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by kimfang | 2010-09-26 12:49
10/9/11 ところ変わればチャンポンも変わる
 ここ一年は、留学生の実家に泊まりながら取材をしている。
 実はこの留学生、ドキュメンタリーを学びたくて美術大学に留学しているのだが、「在日」に興味を持ったようで、修士論文にうちの長女を撮りたいといってきた。
「在日」のことをもっと知ってもらえるなら断る理由もない。もう三年も娘を、そしてぼくを、家族を撮っている。
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 彼の作品は長女が主役だけれども、ぼくも結構重要な存在のようで、ぼくが取材や講演にでかけるとビデオカメラを持ってついてくる。
 韓国での取材もついていきたいというから、ならば君んちに泊めてよ。と、いうわけでお互いの「W取材」となっているわけだ。

 先日は留学生の義兄に車をだしてもらって「W取材」をした。
 昼食は中華を食べたのだが、右上の写真のような付きだしがでてきて笑ってしまった。
 中国のザーサイ、日本のたくわん、そして韓国のキムチ。中・日・韓の漬物が一緒に並んだからおかしくてたまらない。

 留学生が迷わず「짬뽕 チャンポン」を注文したので、またまた笑ってしまった。
 実は、韓国のチャンポンには、苦い、いやっ、辛い失敗談がある。
日本の新聞記者さんの通訳兼案内で取材に同行していたとき、田舎の食堂のメニューにチャンポンがあり、久しぶりに麺類が食べたくてチャンポンを注文した。

 あっさり塩味のラーメンを想像していたら、真っ赤っかの麺がでてきて、その怖ろしいほどの辛さにほんのふた口で降参してしまったのだ。
幸運にも記者さんは大の辛いもん好き。記者さんの麺がまったく辛くなかったので、お互いが注文したものを交換して食べたという話だ。

 すると留学生が、韓国の辛いチャンポンの味が懐かしくて、日本の中華料理店にいってチャンポンを注文したのに、まったく辛くなくてと、とてもガッカリしたというエピソードを披露したので、またまたみんなで笑った。

 店員が注文を取りにきたので、辛くない麺はないかとたずねた。すると、「삼선우동(サムソンうどん)」がいいと薦められたのでそれをたのんだ。
 しばらくしてやってきたのは、うどんではなくて、日本でいうところの立派なチャンポン! あっさり塩味に野菜と海鮮がたっぷり。
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 これだ! これは日本のチャンポンと一緒だよ! というと、
 真っ赤っかのスープを指さして、これですよ、これが韓国のチャンポンですよ!と留学生。
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 ところ変われば、チャンポンも変わる。
日本のみなさま、お気をつけて。

 さてさて、ただで泊めていただいているからには、食事はおごらなくはいけない。
 料金を払おうとしたら、留学生の義兄に止められた。

「先生、ここはぼくたちの『나와바리 ナワバリ』です。
日本に帰ったら弟におごってやってください」

 へぇーっ! 韓国でも日本の発音そのまま「なわばり」っていうんだ!

ところ変われど、「ヤクザ言葉」は通じるんだ!
 みんなで、またまたま大笑い。
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by kimfang | 2010-09-22 14:48 | 取材ノート
10/9/9 「わたしたちの目」 本格取材
 またまた韓国へ取材旅行にでかけた。
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目的のひとつが「わたしたちの目(우리들의 눈)」を主宰するオム・ジョンスン画家へのインタビューだった。

 昨年の暮れにようやく念願の画家さんとは会えたが、本にするにはまったくもって不十分。
 ようやく本格的な取材に入ることとなった。

 「仁川未来都市博」(昨年開催)に展示するために、視覚障害を持つ子どもたちが幾多の苦難を乗り越えた末に、実際にゾウに触れて創り上げた芸術作品を見せてもらった。

 おー! たったひとつ選ばれて、みんなでゾウの大きさにしたのはこの作品かぁ。

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 さて、取材は本格化したが、出版社が決まっているわけではない。

 果たして出してくれる出版社が現れるのかどうか?

 
 
 と、いうのも、韓国ではまだまだ「正統ノンフィクション児童文学」(韓国では実話なら科学読み物もノンフィクション扱いだ。だから本格的なノンフィクション文学を業界ではこう呼んでいる)が根付いていないからである。

 日本でもノンフィクション児童文学は目立たない地味な存在だが、夏休みの課題図書などに必ずノンフィクションが入るような仕組みになっているから出版社は出してくれるし、力も入れる。

 もしも課題図書に選ばれれば、10万部はでるという。(選ばれたことないけど^^)
 日本でノンフィクション児童文学が根づいている理由は、こんなところにもあるのだろう。
 (再販制度の存在も大きい。韓国は自由に値引きしていい市場原理主義)

 しかしそのような制度のない韓国では、ノンフィクションが大事なことは重々わかっていても、売れにくいジャンルはいつまでたっても力が注がれないのが現実なのである。
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 大事な基礎研究を軽視し、外国から持ってきた技術や、人材のヘッドハンティングで完成品を組み立てて世界で売りぬく―。

 今の韓国の産業界のありようそのまま、時間がかかり地味な、そう、まるで基礎研究のようなノンフィクションは未発達のまま放置されているのだ。

 このままではダメだ!
 韓国に「正統ノンフィクション」を根付かせなくては! 
「在日」のぼくが書くことによって、韓国の作家たちを刺激したい!
 そんな想いで韓国に進出したぼくだったが…

 実際にやってみて、今は「戦略戦術」を練り直さなくてはいけないと真剣に思っている。

 ただ、ノンフィクション絵本ともいえる『巣箱』や、科学読み物のなかにノンフィクションの章を組み込んだ『ペンギン』が高い支持を得ていることは、今後に向けたいいヒントになろう。

 今回の企画は、内容もさることながら、本の「カタチ」も工夫しなくてはいけないようだ。
 
 う~ん。たいへんだぁ。

 
 
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by kimfang | 2010-09-21 22:16 | 取材ノート
10/9/3 豊中で校門のインターフォンに感動! 一方、ソウルでは…
f0004331_830597.jpg 3日、豊中市立第五中学校で「ゾウのサクラ」という題で講演した。

 幼い頃にサクラが飼育されていた「宝塚ファミリーランド」にいったことのある子どもたちも大勢いる学校だ。
 ファミリーランド閉園のあと、韓国へ渡ったサクラが起こした「奇跡」を、36℃の酷暑の中、熱く語った。

 「文化と平和DAY」と名付けられた催しは朝からはじまっていて、ぼくの講演で終わる。
 厳しい暑さと疲れで寝てしまう子もいるかと思いきや、400人の生徒、誰ひとり下敷きやノートでパタパタ扇いだりすることもなく一生懸命に聞いてくれた。
 
 講演を終えて校長室に戻ると、校長先生と教育委員会の方々を交えて講演で触れた韓国の視覚障害児によるゾウの造形物の話となった。
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 ここでも何度となく書いているが、ぼくの『韓国版サクラ』を読み聞かせしてもらった視覚障害を持つ子どもたち(우리들의 눈)が、実際にゾウに触れる体験を積んで、ゾウの造形物をつくり、2009年・仁川世界未来都市博にて展示された話だ。
 一冊のゾウの本から、こんな奇跡が生まれた。生きものや本の力はすごいね!
 子どもたちに、そんな話をしたのだった。

 ところがぼくは校長先生から、「サクラ」に勝るとも劣らない感動的なお話を聞くこととなった。

 第五中には聴覚障害を持つ生徒がいたのだが、ある日、ひとりが遅れて登校することに。校門は締め切られている。インターフォンを押してその旨を伝えなくては開いてくれない。

 が、聴覚障害がある子はインターフォンから発せられる「どちらさまですか? どうしました?」という言葉が聞こえない。
 どうしょう? 門を開いてもらえるのだろうか? とても不安な思いをさせてしまった。

 そこで校長先生は、「わかっているよ。いま、すぐに開けてあげるから安心して」という「言葉」を、点滅信号で伝えるようにしたのだ。

 右上の写真のように、インターフォンの下に新たな器具を取り付けたのだ。
 校長先生の提案で、豊中市の学校ではみんなこのような改良が施されたという。

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 一方韓国だ。先日、出版社を訪ねようと渡ったソウル西部の합정(合井)の交差点で、電信柱に備え付けられた視覚障害者用の誘導音ボタンを見つけた。

 え~っ! ボタン押さなくてはいけないの?

 果たして目の不自由な人が、こんな交通量の激しい場所でボタンを探せるのだろうか? 
 韓国には自動的に鳴る交差点がないわけでもない。しかし大都市ソウルでも視覚障害者がわざわざ誘導音のボタンを押さなくてはいけない交差点があるのが、現実なのだ。
 
 韓国にも、豊中第五中学の校長先生のような人が現れ、すべてを自動に代えるよう動いてくれないものかなぁ。
 訴えるような作品を書くしかないな。
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by kimfang | 2010-09-17 08:38