動物児童文学作家のキム・ファンです!!
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15/10/31 おいしいよ!韓国料理
韓国絵本紹介コラム29回目です。
おいしいよ!韓国料理

 食欲の秋だ。おいしい韓国料理をつくってみては! 
 「韓国料理をつくってみたいわ。でも、どうやってつくればいいのかよくわからないのよ。それに韓国料理の本はどれもみな本格的すぎて、わたしにはむずかしすぎるわ」
 と思ったみなさんに、ぜひ、おすすめしたい本がある。『おいしいよ! はじめて つくる かんこくりょうり』(原題 고사리손 요리책)だ。

 原題を直訳すると「わらびの手 料理本」となる。「わらびの手」というのは、韓国で子どもの手のことを表すときに好んで使われる表現だ。つまりは、子どもでもつくることのできる料理本だから、むずかしい料理はない。
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 ではひとつだけ、最初の「おすを いれない かんこくのりまき」のページを紹介してみよう。
 料理のタイトルの下に目をやると、
 こめ 1カップ
 やきのり 3まい
 きゅうり 1ぽん……。というように、材料がすべてイラストで描かれている。その右側には、
 1 こめを といで ふっくらと ごはんを たきます。
 2 のりは はんぶんに きります。
 3……というように、具体的なつくり方が、これまたイラスト入りで簡潔に説明されている。
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ページの最後には、「おとなのかたへ」という説明書きがあり、
「韓国ののりまきは、ごはんにお酢を入れません。韓国ではキムパプと呼ばれています。キムはのり、パブはごはんのことです。……日本ののりまきより、薄く(1.5センチくらい)切るのがポイントです」と書かれている。
これなら簡単に韓国料理がつくれるだろう!

 ほかにどんな料理が紹介されているのかというと、「やさい たっぷり はるさめチャプチェ」、「ふわっ ふわっ ちゃわんむし」、「さっぱり さわやか オミジャ茶」、「もっち もっち じゃがいものチヂミ」など30種。

 ところでこの絵本はとても「贅沢な絵本」だ。総合演出は、『うさぎのおるすばん』でニューヨークタイムズ「年間優秀絵本」に輝いたイ・ホベク。デザインは、『マンヒのいえ』や『しろいは うさぎ』といった作品で、今や韓国を代表する絵本作家となったクォン・ユンドクが担当しているからだ。
 韓国での発売から20年を迎えた今も、多くの支持を得ているロングセラー絵本だ。

 記事全文は、ここから読めます。

 キムパプの写真は、うちのカフェが提供しました。プルコギが入ったキムパブです^^
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by kimfang | 2015-10-31 18:32 | 連載
15/10/20  『アキアカネ』ブッククラブに選ばれる
 韓国の出版社と仕事をして、今年で10年になる。当初は日本とのちがいに戸惑うことが多かったが、ようやくそれにも慣れてきた。
 ここでも何度か取り上げたが、韓国の児童書は「全集」を抜きにしては語れない。簡単にいうと、書店で購入できる本が「単行本」であり、それと同じくらいの数の本が「全集」として訪問販売やネットで売られているのだ。
 つまり、書店で見られる韓国の児童書は、大げさにいうと半分だけ。残り半分は、書店で買うことのできない、全集である。

 全集のいいところは、とにかく安いことだ。1960年代、韓国が世界最貧国のひとつであったころ、国は図書館を立てる力もなく、市民は本を買う余裕もなかった。そんななか、安い全集は手軽な価格で、それなりのレベルの本が買えるという利点があった。
 ただし、書店で流通しないので、質が第三者によって客観的に「検証」されることがない。全集のなかの何冊かをド素人に書かせても、チェックが効かないのである。
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 しばしば、世界的に有名な海外の絵本や、世界で高い評価を得た国内(韓国)の絵本が、全集の一部ということもある。そう。「この絵本がほしければ、全集をすべて買いなさい」といわんばかりのものもある。

 例えば日本では単行本で販売されたユン・ミスクの『あずきがゆばあさんとトラ』は、韓国初の国際賞(ボローニャ・優秀賞)受賞作にも関わらず、全集のなかのひとつであったがために、韓国の本なのに、韓国の人たちは単行本で購入することはできないのである。
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 そんななか、画期的?^^な「全集?」が登場した。ピリョンソの「ブッククラブ ビーバー」である。今月、ソウルで行われた「ソウル国際図書展」でもかなりの注目を浴びた。
 ピリョンソは自分の出版社でだした単行本を、全集のような値段で、毎月、セット販売するというので、だ。

 10月号は、世界で活躍するスージー・リーの『動物園』も、「ブッククラブ ビーバー」のなかのひとつに入った。同じ10月号のちがう年代のセットには、ぼくの『アキアカネ 高く高く』も入った^^

 しかし……。
本のつくりは、本来の単行本とは少しちがうようだ。表紙もソフトカバーになっている。
 さて、購入者の反応はどうか? 今後が気になる。
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by kimfang | 2015-10-30 20:57 | トピックス
15/10/16 めぐりめぐる命のつながり
韓国絵本紹介コラム28回目です。
めぐりめぐる命のつながり    
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 あれほど群れ飛んでいた赤とんぼも、すっかりいなくなった。どこかにいってしまったのではない。命をまっとうしたのだ。
 いまからちょうど90年前の1925年、韓国最初の近代的児童文芸誌である『オリニ』に、当時14歳の少年だったチョン・ジョンチョルの「チェンア」という詩が掲載される。『オリニ』は、日本における大正時代の『赤い鳥』と比較される文芸誌。「チェンア」という詩は、野原で死んだ一匹のとんぼを見て書かれた詩。今回は、その詩を絵本にした『とんぼ』(原題 쨍아)を紹介しよう。
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 ちょっと、待って! トンボの韓国語は「チャムジャリ」のはずなんだけどなぁ? タイトル(原題)を見て、あれっ? と首をかしげた方もいらっしゃることだろう。わたしもこの絵本とはじめてであったとき、疑問を持ったひとりだ。実は「チェンア」は、トンボを意味するソウルの方言。東京弁がみな標準語ではないように、ソウルの言葉もすべて標準語ではないのである。

 さて、内容だ。
 「野原でトンボが死にました。お花の下で死にました。アリがとむらいをはじめます」。
秋の野原。死んだ一匹のトンボに向かって、つぎか つぎからつぎへとアリがやってきて、トンボを小さなかけらに「分解」していく。
 詩人のチョン・ジョンチョルはその様子を、「たるらん たるらん」という言葉で表した。これは亡きがらを火葬場や埋葬地まで送るときに鳴らす、韓国の伝統的な鈴の音だ。
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 絵をつけた画家のイ・グワンイクはその様子を、トンボの亡きがらが色とりどりの多くの「小さな丸いかけら」になっていく絵で表した。しかもジャガイモ、ダイコン、消しゴムなどで判を押す技法を使い、命のぬくもりをも伝えたのだ。

 色とりどりの丸いかけらたちは、離れたりくっついたりしながら、やがては、お花のような形になっていく。そしてラストの場面では、トンボの死が、野原の花が大きく咲くのを助けたことを自然と気づかせてくれるのだ。

 この絵本は韓国の出版社、チャンビが企画した「ウリ詩シリーズ」のひとつとして08年に出版された。詩の発表から83年を経て、新しく蘇ったのだ。絵本を読んだ中学生が、つぎのような感想文を出版社に寄せている。

 「死はとても悲しくて、死ねばどうなるのとたずねて泣いりもした……。死ねばどうなるのと、こわがっている子どもたちがこの本を読めば安心できるんじゃないかな。心配を軽くしてくれると思う」

 めぐりめぐる命のつながりを、「とんぼの死」をつうじて表現した美しい絵本だ。

 写真の『オリニ』は1930年に11月に発刊されたのもの。

 記事全文はここから読めます。
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by kimfang | 2015-10-16 17:35 | 連載
15/10/10 モモンガよ、森を奪ってごめんなさい
 今日の東亜日報で、ぼくが書いた絵本『アニマルパスウェイ―人がつくった動物の道』(絵 アン・ウンジン / 出版社 ノンジャン)が大きく取りあげられた。その記事を訳す。
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 長いチュソク(秋夕)連休のおかけで、ゆったりと故郷に帰れた人も多かったことでしょう。どのような交通手段を利用されましたか? 電車と自動車のための道をつくりはじめて以後、人の移動時間はどんどん短縮されてきました。道路と線路をつくるためには山を削らなくてはいけないし、森を切らなくてはいけません。岩に穴をあけ、川をふさぎ、海を埋めたてたりもします。しかしその仕事をする人たちも、その道を通う人たちも、最初はまったく気にかけなかったことがあります。それはこの道の主人が、ほかにいるという事実です。

 韓国の道路が建設されはじめたのは100余年前なのに、アニマルパスウェイがつくりはじめられたのは1995年、たった20年しかたちません。アニマルパスウェイは、山、川、海の本来の主人である動植物たちのための道なのです。80年の間に何をどれだけ失くしたのか? だれも正確にはわかりません。ただ、食物連鎖が壊れ、生態系のある部分が変化してしまったという結果だけが残りました。

 この本は、動物たちにつくられた新しい道に対するお話です。動物たちは、猛スピードで走る車輪と冷たいセメントの床が、自分たちをどのように死に追いやるのかを知りません。いつも通っていた道を、いつもどおりにいこうとしただけです。そこで彼らの道を別につくってあげたのです。木と木の間を飛んで暮らすモモンガには、そのような大きな木を、今すぐにあたえてやれないのが惜しいのですが。
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 本を閉じると、人間のための道で数多く死んでいった動物たちに心からごめんなさいと思う気になります。瞬く間に切り倒された数十年も生きた木に謝罪し、今からでも決して遅くないから、小さな木と草が生い茂るようにしなくていけないと決心させてくれます。前表紙の見返しで車に乗っていた子どもが、後ろ表紙の見返しでは木を植えているように、読者もまた、そのような気持ちをもってくださり、今すぐに木を植えてくださるようお願いします。

                                             子どもの本評論家 キム・ヘジン

 東亜日報の記事は、ここから読めます。
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by kimfang | 2015-10-10 14:52 | 出版物
15/10/3 絵本でチュソク伝える
韓国絵本紹介コラム27回目です。
絵本でチュソク伝える

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「チュソク」は旧暦の8月15日。今年は9月27日だった。ぼくたちは単にチュソクというが、韓国では「ハンガウィ」とか、「中秋」とも呼ばれている。中秋といえば日本では「中秋の名月」。満月をめでながら月見団子を食べる日だが、韓国では国民の多くが故郷に帰ってご先祖さまにお供えものをし、お墓参りにいく日だ。
 今回は、そのチュソクを題材にした絵本、『ソリちゃんのチュソク』(原題 솔이의 추석 이야기)を紹介しよう。

 作者のイ・オクベは、2004年に富山県で開催された「第7回アジア児童文学大会」のシンポジウムにパネラーとして招かれ、つぎのように語った。
 「名節のチュソクは、ほとんどの伝統文化が消えさった今日でも、生き残ってきたいくつかの伝統文化のなかのひとつです。…わたしたちの美しい風習を、子どもたちに絵本をつうじて伝えたかったのです」

 そう。彼は自らの娘であるハンソル(ソリちゃん)のために、はじめての絵本をつくった。さて、内容だ。実はこの絵本にはストーリーがない。ソリちゃんの目をつうじてチュソクを記録した、ドキュメンタリーなのだ。

 チュソクの前日、まだ暗いうちにソリちゃんたちは家をでる。でも、バスターミナルはもうすでに人でいっぱい。出発したけれど車はなかなか進まない。休憩所で、カップラーメンを売っている人たちがいて、そのラーメで腹ごしらえ。日が暮れるころ、ようやく故郷に着く。表紙の絵は、ソリちゃん一家がハルモニの家に到着したときの絵だ。
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 その夜、親戚たちが集まり、月を見ながらソンピョン(松餅)を食べる。(写真右)
 いよいよチュソクの日、朝早く起きてご先祖さまに料理を供えて茶礼をし、お墓参り。能楽隊のおはやしに合わせて、みんなでたのしく踊る。そしてつぎの日の朝、故郷をでて、夜遅くに家にもどるのだ。

 イ・オクベはあるインタビューのなかで、「絵本は10前のチュソクの光景だ」といっている。絵本が発売されたのが95年だから、今から30年ほど前のチュソクの様子が記録されているということになる。

 ところでこの絵本は、01年の「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書に選ばれた。翌年に、サッカーのワールドカップ韓日共催などがあり、韓国をよく知るために選ばれたのだろう。韓国の本が課題図書に選ばれたのは、あとにも先にも、この絵本ただひとつだけなのだ。

 韓国の人たちの生活のなかで今日も生き残っている伝統文化、チュソクを伝えるこの絵本は、日本だけでなく、台湾、中国、アメリカ、スイス、フランスでも出版されている。

 記事全文はここから読めます。

 この絵本のなかに、高速の休憩場らしき場所の絵がある。渋滞で疲れ切ったいろんな人たちを描いているのだが、ソリちゃん一家はカップラーメンを食べる。最初見たとき、えっ? カップ麺、売っていいの?!とおどろいた。
 今から30年前の1985年の光景と知って納得(笑)
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by kimfang | 2015-10-03 14:42 | 連載