動物児童文学作家のキム・ファンです!!
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16/1/29 想像力ふくらます雪景色
韓国絵本紹介コラム37回目です。
想像力ふくらます雪景色
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 雪が積もるとたいへんだが、雪景色は子どもたちの想像力をふくらませてくれる。
 今回は、雪の日にぴったりの絵本、『クリムのしろいキャンバス』(原題 그리미의 하얀 캔버스)を紹介しよう。

 主人公のクリムは、絵を描くのが大好きな女の子。どんより曇った冬のある日、クリムは部屋の窓にクレヨンで白い雪を描く。描いた雪がはらはらと舞い降りて、あたりいちめんに積もった。
 クリムは真っ白い雪を踏みしめながら、森の中へと入っていく。       写真 雪化粧した県福宮
 
 すると、助けを求める声が木の上から聞こえてきた。クリムはクレヨンではしごを描きながら、一段ずつ登る。そう、クリムのクレヨンは、描いたものが本物になるという不思議なクレヨンなのだ。クリムは次つぎと動物たちと出会い、クレヨンで描いた絵で助けていく――。
 どう? 子どもたちの想像力をふくらませてくれそうな絵本でしょ!

 この絵本は韓国で出版されるとたちまち、フランスとドイツで翻訳出版され、アメリカでもでた。 実はこの絵本、韓国の絵本界にとっても「特筆」すべき一冊なのだ。

 毎年、イタリアのボローニャで、「ボローニャ国際児童図書展」が開催されていることは、もうすでによくご存知だと思う。
 韓国絵本がボローニャではじめて受賞したのは2004年のこと。そしてついに11年には、『こころの家』で大賞を受賞したのだ。

 『クリム』は12年に、新人作家の最初の絵本にだけ授与される「オペラプリマ」という、新人部門の優秀賞を受賞した。この部門での韓国絵本の受賞は、はじめのことだ。
 初受賞とはいえ、もうすでに前年にはノンフィクション部門で大賞も受賞している。ではいったい、どうしてこの絵本が特筆すべき一冊なのだろうか? 
  左 日本語版 / 右 ドイツ語版
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 それはこの絵本の作者であるイ・ヒョンジュが、韓国国内で行われた「ボローニャワークショップ」という、半年に及ぶ研修期間を経てからボローニャ国際図書展に挑戦し、見事に賞を取ったからだ。

 07年、韓国を代表する美術家やデザイナーを多く輩出している弘益(ホンイク)大学のなかに、「KT&G 想像の広場」という複合文化空間がオープンした。10年からはそこで、韓国の絵本界で指導的な立場にある、画家、作家、編集者、デザイナー、企画者など、そうそうたるメンバーを講師に迎えてスタートさせたのが、先述の「ボローニャワークショップ」なのである。

 いわば「国家代表級のコーチ陣」が総力をあげて教えて鍛えた新人を、世界のひのき舞台に送りこむというプロジェクト。それがたった数年で大きな成果をあげたのだから、特筆すべきことなのだ。

 世界に認められた韓国絵本の後継者は、このようにしてさらにまた、産みだされているのである。

 記事全文は、ここから読めます。
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by kimfang | 2016-01-29 19:20 | 連載
16/1/26 「ボローニャ・ラガッツイ賞」出場切符
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 買わなきゃあたらないよ!
 これは宝くじ販売の殺し文句。そう、くじを買わなきゃ当たらないし、コンテストだって応募しなくちゃ賞はとれない。

 先週の訪韓中、いくつかの出版社数社と打ち合わせをした。2015年の「韓国出版文化賞」に選定された『アニマルパスウェイ』をだしたノンジャン出版社からは、とてもうれしい報告を受けた。
 何と、『アニマルパスウェイ』が、この春に開催される「ボローニャ国際児童図書展」に出品されることが決まったというのだ。

 ボローニャは世界最大の児童書の国際見本市。ぼくは自分の書いた本が、いつかボローニャで展示されることを長年夢見てきたが、その夢がようやくかなうのだ。

 誤解がないように捕捉する。
 ボローニャに出品されるのに「国内予選」みたいなものはない。申請さえすれば、どこの国の、どこの出版社でもブースがだせるのだが、ボローニャの「ラガッツイ賞」は、ボローニャに参加した出版社の申請した本でないと受賞対象とはならない。
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 こんなへぼ作家のぼくでも、日韓ですでに12冊の絵本をだしている。しかしボローニャに出品された絵本はいままでにひとつもなかった。
 理由は簡単だ。ボローニャは国際見本市。海外への版権輸出を目指す作品でないとダメなのである。
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 ところで、ぼくの『アニマルパスウェイ』がボローニャにいくようになったいきさつを、ノンジャン出版社の編集者はつぎのように語ってくれた。
 昨年末に、韓国のある大手出版社が、ボローニャで2度も大賞を受賞しているポーランド人の世界的な絵本画家、イヴォナ・フミエレフスカ(写真)を韓国に呼んで講演会を開催した(イヴォナは、韓国でだした本で国際的な賞を受賞している)。ノンジャン出版社は、イヴォナが韓国デビューを果たした出版社であり、彼女の※出世作もそこからでた。義理堅い彼女は出版社にあいさつにきたという。

 そこでぼくの絵本を見たイヴォナが、
「ロードキルというような重いテーマで絵本がつくれるんだ!」
 と絶賛し、ぼくの本をポーランドの仲間に見せたいと持ち帰ったというのだ。
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 ノンジャン出版社は韓国の老舗児童書専門出版社だが、大手ではない。毎年、ボローニャにブースをだせる出版社ではないのだ。
 この、イヴォナのエピソードもあり、今年のブース出店を決断したという。

 応募しなきゃ賞はとれない!
 ラガッツイ賞の出場切符だけは手に入れた^^ 
 
 〈おまけ〉
 イヴォナのとなりに座った女の子が持っているのが、イヴォナの出世作※『考えるㄱㄴㄷ』(イヴォナのすぐとなりで正面を向いている女の子が持っている本)。ハングルをモチーフした絵本で、韓国の教科書にも採用されている。
 イヴォナを発掘し、育てあげたのが、企画者イ・ジウォン。彼女の妹イ・スンウォンはぼくの『すばこ』という絵本の絵を担当。4月に日本語訳が、ほるぷ出版からでる。
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by kimfang | 2016-01-26 19:38 | トピックス
16/1/25 韓国のカワウソ大復活の秘密
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 昨日、NHKの人気生きもの番組、「ダーウィンが来た!」で「韓国のカワウソ大復活の秘密!」が放映された。カフェがあるのでリアルタイムではムリ。今朝、早く起きて録画を観た。

 舞台となったジニャン(晋陽)湖は、おじいさんの故郷。まだいったことはないけれど、カワウソに会えるなら行きたくなった^^
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 見逃した方、詳しくはここをクリック!

 多くの人たちの懸命の努力で復活したというのに、車にひかれて死ぬ、「ロードキル」で死んでしまうカワウソもいる。だから絵本『アニマルパスウェイ』では、カワウソを登場させた。
 前列、左から4番目がカワウソ君。
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by kimfang | 2016-01-25 18:38 | トピックス
16/1/25 9年ぶりのリベンジ^^
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 先週、韓国に講演旅行にいってきた。もしも講演が今週だったならば……。そう思うとぞっとする。きのうのソウルの最低気温はマイナス18℃。昼もマイナス10℃だそうだ。
 韓国にいっていた先週も寒くて雪もぱらついたが、それでも昼は0℃以上あったもの。

 今回、講演会を催してくれたのは京畿道・高陽(コヤン)市の「花井(ハァジョン)図書館」と「注葉(チュヨプ)子ども図書館」だ。講演が実現したのは、昨年の11月の日本研修を一生懸命コーディネートしたからだろう(笑)
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 だが、注葉子ども図書館というと、笑えない思い出もある。2007年のことだ。その年にオープンしたこの図書館は、開館して初の講演会の講師としてぼくを招いてくれた。栄えある第一号講師として、韓国版『サクラ』の話をしたのだが……。
 ぼく的には、それまでで一番うまくいかなった講演という苦い思い出の残る図書館なのだ。

 確かに2007年当時のぼくの韓国語力は、今とは比べものにならないほど低かった。講演のテクニックもうまくなかった。だが……。
 2,3歳の幼児から70代くらいのご老人までの大勢が狭い部屋にびっしり。講演の最中に、子どもが話しだしたり泣いたり、おまけに画像の前で影遊びをしだす始末。それでも図書館側が何も対策を講じなかったのも問題だと思った。

 この翌日に大田(テジョン)に移動して同じ講演をしたが、そこでは悲しい歴史を含むノンフィクションという内容を考慮し、高学年の子どもたちだけを集めてくれて、とっても有意義ないい講演会になったことを覚えている。
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 さて、9年ぶりの今回は?
 30名を超える応募があったというが、講演の内容を考えて、対象年齢と人数をちゃんとしぼって子どもとオモニたち20名としてくれた。ちょうどいい、広さの、ちょうどいい距離感で、たのしく面白く、いい時間を過ごせた。
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 図書館側の運営「ソフト」がかなり進歩したのだ。2007年当時はできたばかりで、司書の経験が足りなかったのである。
 そしてぼくも、確実に進歩した。ぼくは今、子ども向け講演では「基本的な話+読み聞かせや紙芝居+工作」というスタイルでやっている。子どもたちを飽きさせない工夫をしている。
 これは9年前の注葉子ども図書館で味わった失敗から産まれたものだ。

 ようやく、9年ぶりにリベンジできた^^
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by kimfang | 2016-01-25 13:44 | トピックス
16/1/18 心打つ少女のやさしさ
韓国絵本紹介コラム36回目です。
心打つ少女のやさしさ
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 寒さが一年でもっとも厳しい時期だ。今回は『ヨンイのビニールがさ』(原題 영이의 비닐우산)という、心があたたくなる絵本を紹介しよう。

 韓国の国民から愛されてきた童詩や童謡に絵をつけた、「ウリ詩絵本」という人気シリーズがある。この絵本も、そのシリーズのなかのひとつ。文が詩の絵本だ。

 詩人のユン・ドンジェが、この詩を発表したのは1980年代のはじめ。韓国は高度成長期に入っても、人びとの生活はまだまだ豊かではなかった。当時は多くの国民が、写真のようなビニール傘を使っていた。もちろん、しっかりとした布製の傘はあったが、裕福な人しか買うことのできないものだったのだ。

 今ではビニール傘の骨は、金属でできているのが当たり前だ。ところが当時の韓国のそれは細い竹でできていて、それに薄いビニールがはられただけの、本当に粗悪なものだった。それでも、穴があいてしまったビニール傘をそのまま使っている人たちも大勢いたという。
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 近年、ビニール傘はスーパーやコンビニなどで手軽に買うことができ、うっかり置き忘れてしまっても別に惜しいとも思わなくなった。しかし絵本の主人公のヨンイが暮らした当時は、ビニール傘は大切なものであり、他人に気安くあげられるようなものではなかったことを知っておいてほしい。

 それでは、内容だ。
 雨が降る月曜日の朝。小学生のヨンイは、学校へいく道でおじいさんをみかける。おじいさんは文房具屋のとなりの塀にもたれながら座り、雨にぬれていた。その横には、雨水であふれた空き缶が置いてあった。おじいさんは物乞いだったのだ。

 おじいさんは、子どもたちにからかわれ、文房具屋のおばさんからはひどいことをいわれる。それでも目を閉じたまま。
 ヨンイは朝の自習の時間が終わると外にでて、眠っているおじいさんに気づかれないよう、自分のビニール傘をそっとさしかけてあげるのだった。

 午後、雨はやみ、青空がもどってきた。学校が終わって家に帰る途中、ヨンイは文房具屋のとなりの塀に、ちらっと目をやる。もう、おじいさんはいない。でも、そこには……。

 絵を担当したキム・ジェホンは、灰色で暗い現実を表し、緑色で人を思いやるやさしさを表した。おじいさんをからかう子どもたちの傘や、文房具屋のおばさんの服が灰色で、ヨンイの傘が緑色なのにはちゃんと理由があるのだ。

 絵本を読み終えると、物乞いのおじいさんを思うヨンイのやさしと、おじいさんのヨンイに対する感謝の気持ちが心にしみわたり、心がぽかぽかとあたたかくなることだろう。  
 韓国の傑作絵本のひとつだ。

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by kimfang | 2016-01-18 19:12 | 連載
16/1/3 泣く子も黙るこわい干し柿
韓国絵本紹介コラム35回目です。
泣く子も黙るこわい干し柿

 韓国の人たちが好んで食べる果物の代表格といえば、柿。もちろん干し柿も、お正月や秋夕などの名節やチェサには欠かせない。
 干し柿といえばやはりこのお話だ。むかし話絵本 『とらとほしがき』を紹介しよう。
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 むかしむかし、山奥に大きなトラが住んでいた。ある日、昼寝から覚めたトラは山をおりていく。山のふもとに着いたときには、もうすっかり真っ暗。ウシ小屋のある小さな家を見つけた。
 「ようし、あのウシを食ってやろう」

 トラがウシに近づくと、部屋ではお母さんが、泣いている赤ん坊をあやしていた。
 「泣くのはおよし。坊やの泣き声を聞いて、オオカミがくるわよ」
 でも、赤ん坊は泣きやまない。トラは赤ん坊がオオカミをこわがっていないと思った。

 お母さんは、また、いう。
 「泣くのはおよし。坊やの泣き声を聞いて、クマがくるわよ」
 でも、赤ん坊は泣きやまない。トラは赤ん坊がクマもこわがっていないと思った。
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 お母さんは、また、いった。
 「泣くのはおよし。坊やの泣き声を聞いて、トラがくるわよ」
 でも、赤ん坊は泣きやまない。トラは「わしが少しもこわくないようだ」とがっかり。
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 そのときお母さんが、赤ん坊に何かをあげた。 
 「泣くのはおよし。さあ、干し柿よ」
 赤ん坊が泣きやんだのをみて、トラは考えた。
 「いったい、干し柿とはどんなヤツなのか。あの赤ん坊が泣きやんだということは、わしより強くておそろしいヤツにちがいない」

 トラは干し柿がくる前に山に帰ろうとする。ちょうどそのとき、ウシを盗もうと泥棒がしのびこんできた。泥棒はトラをウシとかんちがいして、さっと背中に飛び乗る。
 「干し柿が、わしを食おうとしている!」
 トラは必死に逃げた。うしろをふり返ることもなく走り続け、二度と村へはおりてこなかったというお話だ。
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 この絵本をつくったパク・ジェヒョンは、大学のフランス文学科を卒業したあとカナダに渡り、このお話でデビューした。
 実はこの絵本は、原題が「THE TIGER AND DRIED PERSHIMMON」というカナダで出版された絵本なのだ。

 干し柿といえば、このむかし話のほかに、もうひとつ頭に浮かぶものがある。そう。干し柿の入った、生姜とシナモンがスパイシーな韓国の伝統茶、「スジョングァガ(水正果)」!
 スジョンガは、暑いときに冷やして飲むものという印象があるが、実はお正月にもよく飲まれるものだ。
 新年のあいさつに訪れた人のためにたくさん用意しふるまわれる、おもてなしのお茶なのである。

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by kimfang | 2016-01-03 09:50 | 連載