越前市での仕事はすべて無事に終わった。あとは、昼食を取って帰路につくだけ。
昼食は、遠く東京からわざわざきてくださった童心社の編集者に、何か、越前市の想い出になるようなものを食べてもらいたい。
テレビの「秘密の県民ショー」で一躍全国区となったボルガライスか―。
それとも伝統の味、「越前そば」か―。
悩みに悩んだ。
そういえば編集者は、ボルガライスののぼりやポスター、看板を面白そうに写真に撮っていた。ここはやはり、ボルガライスだろう。
「越前そばは、前日のレセプションでも食べたので、ボルガライスにしましょうか」といったところ、案内役の野村みゆきさんが、
「うーん。本来の越前そばは、もっとちがうんですよね」と、ぽつり。
えっ、そばに、だいこんおろしがかかっていて、かつお節がたんまり乗っかっているのが越前そばじゃないの? それがどうちがうの?
「本来」と聞いて、ぼくも、編集者も、かぜん、越前そばが気になってしかたなくなってしまった。
個人的には、
先々週(9/28)に市長さんとお会いした日に、ボルガライスは食べている。
(編集者のためといいながら)彼には悪いが、自分の探究心を満たす方に心が急ハンドル。
じゃ、本来の越前そばを食べに行こう。
と、いうことで、
地元の有名店、「かめや」さんに連れていってもらった。
何が、どうちかうのか? ぼくも編集者も興味津津。
もちろん、越前そばの王道中の王道―「おろしそば」を全員が注文した。
そばがきた。見るところ。ちょっと太めのそばに、おろしつゆがついているだけ。
何らちがわない。しかも、かつお節も、ほんのちょっと。
おろしつゆをぶっかけて、いざ。
あれ、あれれれ?
なっとく! 確かにちがう!
何と、辛いのだ。
わさびでも、和がらしでも、唐辛子でもなく、だいこんおろしが辛いのである。
辛み大根を使っているのか? それとも辛みのあるところだけを使っているのか?
この辛みが、何ともいえない美味しさ。
みなさんも越前市にいったら、だいこんの辛さをたのしむ、本来の越前そばを、ぜひ、ご賞味あれ。