『きみの町にコウノトリがやってくる』(くもん出版)の出版を記念して、仲間が「瑞鳥パーティー」を開いてくれた。
以前より開催したいとの打診はあったが、なかなか日取りは決まらなかった。
そんなところに、「コウノトリ記者」―読売新聞の松田聡記者の豊岡からの移動情報が入った。
松田さんが旅発つ前に開催しよう!
彼への感謝と激励を込めた会にしよう!
そんな想いが、パーティー開催へとこぎつけた。
この本は、松田記者の協力がなかったらできなかった。
例えばこの図。2005年の放鳥以来、コウノトリが訪れた土地をまとめたものだ。これは松田記者がコウノトリの郷公園の発表を毎日チェックして記録していた資料にもとづいて作成した。
だから本の帯に「松田記者調べ」と入れて、出版社も感謝の心をあらわした。
松田記者は図を作るのだけを手伝ったのではない。第6章は松田さん自身が主人公だ。彼がコウノトリを求めて、韓国、中国、ドイツと取材し、海外のコウノトリを見て導き出した結論を書いた。
コウノトリのことなら、なんでも知っている「コウノトリ記者」の移動は、コウノトリを愛する人たちにとって大きな痛手だ。
中でも、倉敷市の主婦―林晴美さんにとっては、かなりのショックだった。
倉敷市には、「ロクちゃんと」呼ばれている放鳥コウノトリが毎年やってくるが、一人の主婦の情熱的な取り組みが、やがて、町ぐるみでコウノトリとの共生を目指すように変わった。その主婦とは林さんだ。本の第5章は、林さんが主人公。この本の表紙写真は、林さんの写真を使わせていただいた。
そもそも林さんがコウノトリと出会うきっかけとなったのは松田記者の記事だった。林さんは、コウノトリについて疑問が生じ度に松田さんに相談してきた。
だからはるばる倉敷市から京都に飛んできてくださった。
長年の想いが頭のなかをよぎったのだろう。最後のスピーチでは、感極まってしまった。
9月1日、松田さんは新しい赴任地へと旅発つ。
いつかまた、「出世」してコウノトリの聖地、豊岡へ戻ってきてくれると信じている。
彼の移動が決まった、わずか数週間の間に急ピッチで決まったパーティーだ。
準備不足にもかかわらず26名もの参加があった。
なんと、中貝宗治・豊岡市長から、メッセージまでもいただいた。
瑞鳥―コウノトリの縁でつながった人たちの絆が、さらに強く、深まったパーティーとなった。