今回の訪韓の目的のひとつが、イルカのチェドリに会うこと。
チェドリは違法に捕獲されたイルカで、しかも韓国では114頭しか確認されていないミナミハンドウイルカということがわかり、海に帰すことが決まったイルカだ。
これを機に韓国では動物園や水族館のあり方が国民的な話題となり、イルカに過度な負担をかけるイルカショーは廃止されることになった。
そしてチェドリは、韓国版「フリー・ウィリー」を目指すことになったのだ。
映画『フリー・ウィリー』は、水族館でシューをしていたシャチが海に帰る話だ。この映画に出演した「ケイコ」が病気になっていることを知った子どもたちが、映画のように生まれ故郷のアイスランドの海に戻したいと願い、大人たちが立ち上がった。
ケイコは海に戻ったのだが……。
詳しいことは、右の本をはじめとする辺見 栄さんの本を読んでほしい。
にわかにチェドリが国民的な話題となったものの、イルカに対する基礎知識はまだまだ低い。イルカのことが書かれた「国産」の科学読み物がまだないのだ。それを何とかしようと、イルカの本を書くために取材を続けている。
いよいよ今回は、チェドリに会う取材。済州島の海に戻る前に、チェドリとの思い出を作るプログラムがソウル大公園で行われていると聞き、訪れた。
チェドリが飼育されている海洋館も「チェドリのお話館」(写真中央)と名前が変わり、そこへ向かう道(写真左)にも、チェドリのことが書かれた説明書きが展示してあった。まさにチェドリ一色。
入口には寄せ書きが書けるコーナー(写真右)があり、ぼくも一筆。
さて、ぼくはここで過去に2度、イルカショーを見ている。今回見た演目は、人をよろこばす派手なショーではなく、イルカとチェドリのことを科学的に知るような内容に変わっていた。
チェドリ以外のほかの2頭(写真右)が中心的に行い、野生に帰る訓練をしているチェドリ(写真左)は必要最小限の参加にとどめながらも、ジャンプなどのパフォーマンスで、子どもたちとの思い出つくりをしていた。
実際に会いにいき、ますます急がなければと感じた。