瀬戸内海の最後の楽園の大切さを描くノンフィクション『きせきの海をうめたてないで!』(童心社)が、8月25日に発売されます! 予約発売もはじまりました^^
はじめに
生きものたちが、裁判をおこしました。
スナメリ、カンムリウミスズメ、ヤシマイシン近似種、ナガシマツボ、ナメクジウオ、スギモク。これらの六つの生きものたちが、本当に、山口県で裁判をおこしたのです。
裁判をおこした生きものたちは、よその海ではもう生きられなくなってしまったり、とても数が少なくなったりしてしまった生きものたちです。けれども上関の海では、今も元気に生きています。ですから人びとは、上関の海を「きせきの海」と呼ぶのです。
でも……。
悲しいことに、かれらがすむ「きせきの海」が、うめたてられるかもしれないのです。原子力発電所をつくるために、です。
生きものたちは必死にうったえています。
「わたしたちがすむ上関の海を人間がうめたててしまったら、もう生きてはいけません。わたしたちはよその海では生きられないのです。どうか、うめたてないでください!」と――。
原発建設予定地からわずか3.5キロ先にある祝島の島民たちの切なる思いが込められた看板。
おわりに
……
瀬戸内海でゆいいつ開発をのがれた上関の海のことを
、「上関の自然を守る会」代表の高島美登里さん(写真左)は、「よみがえりのタネ」と呼んでいます。
上関にきせき的に残ったこの海を大切に育てれば、かならずや瀬戸内海をもとのような美しくて、豊かな海にもどすことができると信じているのです。
ぎゃくにいえばこの大切な「よみがえりのタネ」をうめたててこわしてしまえば、瀬戸内海の「よみがえり」はむずかしくなるということです。この本にでてきたきせきの海の生きものたちは、永遠にもどってこなくなってしまいます。
そんな大切な「よみがえりのタネ」を、きせきの海を、たった数十年しか使えない原発と交かんしていいのでしょうか!
日本最初の国立公園が、もう一度、日本初の名にふさわしい美しい海によみがえることを、生きものたちとともに願っています。
童心社ホームページから、「立ち読み」ができます。