韓国絵本紹介コラム22回目です。
絵本で知る伝統市場 韓国へ旅行される方にお勧めしたい観光スポットがある。韓国で伝統市場とか、在来市場とか呼ばれている、むかしながらの町の市場だ。 いったいどのような店があって、どんな物が売っているのだろうか? それを体験することができるのが今回紹介する絵本、『ハンヒの市場めぐり』(原題 한이네 동네 시장 이야기)。 オンマと息子のハンヒが、近くにある「サムタルレ市場」で買い物をする様子を描いた、知識の絵本だ。 オンマはまず、ご飯に混ぜる豆を買う。すると「豆屋さんをのぞいてみよう」というページがでてきて、ハルモニが営む豆屋さんのことが詳しく解説される。豆だけでなくて手づくりの豆腐や、ムク(ドングリなどの粉を煮固めた物)も売っている。むかしよく食べたなつかしいムクが紹介されていると、何だかうれしくなってしまう。 その後もオンマはハンヒの手をひいて、オムク(魚のすり身でつくられたねり物)を買ったり、ごま油を買ったりする。 「魚屋さんをのぞいてみよう」のページは、ハンヒが大きなマンボウを見ておどろいている絵が印象的だ。子どもたちが大好きな花屋さんや、ペットショップもでてくる。 絵はとても細かくて、店の看板や値札までもしっかりと描かれて、当然のことながら、それらはみな韓国語。一部は日本語に訳してあるが、ハングルが読める人ならなおたのしいだろう。 わたしは絵本の舞台となったサムタルレ市場にいってみようと思ったが、市場がどこにあるのか何も書いてない。絵本にはプサンの名がついた看板がいくつかでてくるし、作者もプサン生まれなので、きっと、プサンにあるにちがいない。ちょうど仕事でプサンの近くにいくことになったので、プサンの友人に探してもらった。しかしそのような名前の市場はなかったのだ。 そこで今度は、出版社に勤める友人にたずねてみた。すると、作者の講演会の記事を送ってくれた。作者は市場について、 「わたしがよくいく、ソウル・マポ区のソンサン市場と、幼いころに見ていたプサンのチャガルチ市場、パルト市場、スヨン市場のそれぞれのおもしろい要素を集めてつくりました」 と、話している。なぁんだ、絵本の市場は実際にはなかったんだ。そして絵本をつくったきっかけについても語った。 「わたしたちの生活の一部である市場が、在来市場とか、風物市場だとか呼ばれて、特別な存在と認識されている現実が惜しいのです。市場のいい記憶を、子どもたちに話してあげたかったのです」 作者は何度も何度も市場に通っては写真に撮って、インタビューを録音したという。粘り強く絵本に市場を「記録」したのだ。作家の熱い想いと努力に感服してしまう絵本である。 写真は、マサンの魚市場の様子。さすが本場、韓国! 高麗人参がかごに入れられてふつうに売られていた^^ 記事全文は、ここから読めます。
by kimfang
| 2015-07-16 17:51
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