韓国絵本紹介コラム37回目です。
想像力ふくらます雪景色 雪が積もるとたいへんだが、雪景色は子どもたちの想像力をふくらませてくれる。 今回は、雪の日にぴったりの絵本、『クリムのしろいキャンバス』(原題 그리미의 하얀 캔버스)を紹介しよう。 主人公のクリムは、絵を描くのが大好きな女の子。どんより曇った冬のある日、クリムは部屋の窓にクレヨンで白い雪を描く。描いた雪がはらはらと舞い降りて、あたりいちめんに積もった。 クリムは真っ白い雪を踏みしめながら、森の中へと入っていく。 写真 雪化粧した県福宮 すると、助けを求める声が木の上から聞こえてきた。クリムはクレヨンではしごを描きながら、一段ずつ登る。そう、クリムのクレヨンは、描いたものが本物になるという不思議なクレヨンなのだ。クリムは次つぎと動物たちと出会い、クレヨンで描いた絵で助けていく――。 どう? 子どもたちの想像力をふくらませてくれそうな絵本でしょ! この絵本は韓国で出版されるとたちまち、フランスとドイツで翻訳出版され、アメリカでもでた。 実はこの絵本、韓国の絵本界にとっても「特筆」すべき一冊なのだ。 毎年、イタリアのボローニャで、「ボローニャ国際児童図書展」が開催されていることは、もうすでによくご存知だと思う。 韓国絵本がボローニャではじめて受賞したのは2004年のこと。そしてついに11年には、『こころの家』で大賞を受賞したのだ。 『クリム』は12年に、新人作家の最初の絵本にだけ授与される「オペラプリマ」という、新人部門の優秀賞を受賞した。この部門での韓国絵本の受賞は、はじめのことだ。 初受賞とはいえ、もうすでに前年にはノンフィクション部門で大賞も受賞している。ではいったい、どうしてこの絵本が特筆すべき一冊なのだろうか? 左 日本語版 / 右 ドイツ語版 それはこの絵本の作者であるイ・ヒョンジュが、韓国国内で行われた「ボローニャワークショップ」という、半年に及ぶ研修期間を経てからボローニャ国際図書展に挑戦し、見事に賞を取ったからだ。 07年、韓国を代表する美術家やデザイナーを多く輩出している弘益(ホンイク)大学のなかに、「KT&G 想像の広場」という複合文化空間がオープンした。10年からはそこで、韓国の絵本界で指導的な立場にある、画家、作家、編集者、デザイナー、企画者など、そうそうたるメンバーを講師に迎えてスタートさせたのが、先述の「ボローニャワークショップ」なのである。 いわば「国家代表級のコーチ陣」が総力をあげて教えて鍛えた新人を、世界のひのき舞台に送りこむというプロジェクト。それがたった数年で大きな成果をあげたのだから、特筆すべきことなのだ。 世界に認められた韓国絵本の後継者は、このようにしてさらにまた、産みだされているのである。 記事全文は、ここから読めます。
by kimfang
| 2016-01-29 19:20
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