絵本『ほしがきあげるから、なきやんで!』ができるきっかけは、2015年のこと。ソウル大公園での講演のあと、園長さんからつぎのようなお願いを受けた。
「テンが絶滅の危機にあります。多くの人にテンを知ってもらおうと、文化人のみなさんと一緒に、『救え、テン』というキャンペーンを行っているのですが、先生もご協力願えないでしょうか?」
そのときは「はい。では、絵本を書いてみます」と、すぐに快諾したのだが、あとになって「うーん。テンかぁ……」と悩んでしまった。テンが主人公で、すんなりと企画が通る(もちろん販売が)とは思えなかったからだ。それから一年間、何の進展もなかった。
ところが翌年にまた、ソウルの動物園で仕事があった。そのときテンの展示版に「テンは森の美食家。植物の実も好んで食べる」というのを見つけて、突然、ひらめいた。
これだっ!
ちょうどそのころ、「干し柿」の絵本の企画を考えていたのだが、その物語の主人公にテンを登場させることを思いついたのだ。
今回の絵本は、テンが大活躍する絵本ではない。本当の主人公は「干し柿」だ^^ けれども、テンが印象に残るようなストリーになっている。画家さんもぼくのテンに対する思いをよく汲んでくれて、とても愛らしいキャラクターに描いてくれた。
干し柿を通じた動物たちの「甘い友情」ものがたりをたのしんだ読者が、この絵本がきっかけとなって、テンに関心を持ってくださればいいなと思っている。
出版社のホームページはこちら