今回で5回目を迎えたいすみ市のICEBA(生物の多様性を育む農業国際会議)は、これまでの会議とはかなりちがった。ひと言でいうならば、「より市民に近づいた会議」ということかな。
本会議のはじまり。いつもなら、いきなり名誉教授の基調講演などで、むずかしくはじまるのだが、映画「千と千尋の神隠し」の主題歌「いつも何度でも」でよく知られている木村弓さんが歌を歌うセレモニーがあり、阿蘇で4人の子育てをしながら農業を営む大津愛梨さんが、農家の嫁の立場から見た実践的な基調講演をした。はじまりから大きくちがったのだ。
分科会もちがった。「生きもの調査」や「学校給食」ということを話し合う分科会があって、おどろいた。これも市民が直接関わる実践的な内容で、話がはずんだ。また、これまではやたら発表が多すぎて時間が足りず、質問ができないことが多々あり、まるで「発表会」だった。今回は発表を減らし、質疑応答の時間をそれなりに確保していた。
そうそう、生きもの調査の分科会は、ぼくが通訳を務めていたのだが、元千葉県知事の堂本さんが、韓国チームの「田んぼTシャツ」がすてきだとおっしゃってくださり、プレゼントするようにいった。なんと、夜の「スローフード交流会」にもそれを着てきてくださり、大盛り上がりだった。
今回、これまでとちがう会議になったのは、時代の要求とそれまでの反省があったからに他ならない。ぼくの紙芝居だって、そうだ。4年前、2014年の第3回・大崎市会議のときにもサイドイベントで紙芝居をしたが、自分の作品ではなく、田んぼの紙芝居でもなかった。いつか自分の作品、田んぼの紙芝居を、という思いがあったからこそ実現したのだ。
次回のICEBAは、今回よりもさらに「市民に近づいた会議」になってくれることを望んでいる。