動物児童文学作家のキム・ファンです!!
カテゴリ:トピックス( 499 )

09/7/4 群盲、ゾウをなでた!
 「群盲、ゾウをなでる」という言葉がある。元々は仏典に出てくる寓話からできた成語だ。

 目の見えぬ人たちにゾウを触らせたところ、キバを触った人は『ゾウは大根のようです』といい、耳を触った人は『ちがう、うちわのようだ』といい、足を触った人は『いやいや、臼のようだ』と、おのおのの狭い意見に固執して譲らず、最後には殴りあいの争いになるという話。
 つまり、「全体を知らずに、自分の知っている一部分だけにこだわること」の喩えである。
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 この「寓話」を逆手に取って、社会にメッセージを送ろうとする韓国の画家、オム・ジョンスンさんから、うれしい便りをいただいた。手紙の一部を紹介したい。
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 ―私は1997年から視覚障害を持つ子どもたちの美術プログラムをやっています。
 「2009 仁川世界都市博覧会」で、視覚障害の子どもたちの美術ワークショップと展示を任され、3月から作業をしているところです。
 
 ワークショップにおいて、「群盲、ゾウをなでる、を創ろう」プロジェクトを企画し、資料を探していたところ、先生の『サクラ(韓国語版)と出会いました。

 本に感動した私は、5月にソウル大公園へ行き、ゾウの担当飼育員と会いました。そして、サクラにも触ることができたのです。本の内容がオーバーラップして、とても胸が熱くなりました。

 この感動を、ぜひ、子どもたちにも! と、お願いしたのですが、危険を伴うということで実現には至りませんでした。その代わり、飼育員さんが盲学校へ来てくださり、サクラのことを話してくださいました。
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 私たちのプロジェクトは、「群盲、ゾウをなでる」という言葉に込められた社会的な偏見を、子どもたちとイラストレーターの創意と芸術性で解きほぐすというものです。
 
 そしてその作業の出発は、やはり、視覚障害者が実際にゾウをなでることなのです。

 韓国で、ゾウに直接触れられる施設はたったふたつ。済州島の「ゾウランド」と光州動物園の「体験場」だけでした。

 3か月間のいろんな挑戦と挫折の末、ついに、6月25日、光州動物園にて、30名の視覚障害の子どもたちが、ゾウをなでて、エサをあげて、背中にも乗ったのです!
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 子どもたちは驚きながらも楽しい体験をしました。その体験を元に、子どもたちとイラストレーターたちが力を合わせて、いろんなコンセプトでゾウを創ります。
 それが9月5日に、仁川・芸術会館に展示されるのです―

 まさか『サクラ』が、こんな素敵な挑戦のきっかけになろうとは。

 ノンフィクション児童文学には、『ハリー・ポッター』のような「魔法の力」はないが、挑戦する人を「応援する力」があるようだ。

 さて、子どもたちはどんなゾウを創りだすのだろうか。完成が楽しみだ。

オム。ジョンスンさんは韓国初のユニバーサルデザイン絵本(視覚障害者と健常者が一緒に楽しめる絵本)『점이 모여 모여』を出している。
 「サクラ」と同じ出版社なのに知らなかった^^
 日本の点字絵本の情報を伝えることで、お手伝いしたいと考えている。
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by kimfang | 2009-07-04 13:52 | トピックス
09/6/13 驚きの「ヒョさま」
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  韓国オリニ図書館協会を束ねる友人から岐阜に来ないか?と連絡があった。
  彼女たちは2005年以来、毎年、民族学校に絵本を贈り続けている。

 今回、岐阜の民族学校の財政難を救うために、韓流アーティストによる「アンニョンコンサート」を催すというのだ。
 出演者を聞いてビックリ。「冬のソナタ」で「キム次長」役を務めたクォン・ヘヒョ(권해효)さんがくるというではないか!
 しかも図書館や出版社の人も同行する。コンサートが観られて、「営業」までできるとくれば、いかないわけ がない。

 京都から新快速を乗り継いで岐阜へ。
 開場2時間前に岐阜市文化センターに入った。ロビーには、「予想を超える反響で当日券が売れない」旨を知らせる張り紙が貼ってあり、すでにロープで「迷路」も作られていた。

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 友人は懐かしい笑顔で現れた。
 センターの敷地内にある公園で弁当を食べながら、図書館や出版社の面々を紹介してくれた。

 ところが、センターが何だか騒がしい。
 開場まであと1時間もあるというのに、いい席を取ろうと(席は指定ではなかった)並びはじめたのだ。
 それを聞いてぼくたちも、ろくに弁当も食べずに会場へ入った。
 おー長蛇の列。
 「冬ソナブーム」のすごさを改めて知った。



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 さて、コンサートでは、キム次長こと、クォン・ヘヒョさんには驚かされてばかりだった。

 トークで笑わすし、歌もたいへんうまいが、
 社会奉仕事業にとても熱心で、社会の不正を正そうと組織される集会では、いつも司会を務められる熱い人と知った。

 そんな集会を美しいハーモニィーで盛り上げているのが、ボーカルグループ「ウリナラ」。
クォン・ヘヒョさんとウリナラはとても仲がいいという。
 南北分断の悲しみを扱った「イムジン江」など、心を揺り動かされる曲を歌ってくれた。
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 また、シンガーソングライターのイ・ジサン(이지상)さんが、ユン・ドンジュの詩に曲をつけた歌も印象に残った。

 当然、コンサートは大成功! 

 ぼくも出たばかりの『ペンギン本』を学校へ寄贈し、ウリナラとイ・ジサンさんのCDを買ったので、ほんのちょっとだけど、力になれたかな。
 
 クォン・ヘヒョさん、在日の子どもたちのために、本当にありがとう。
 熱烈なファンは彼のことを「ヒョさま」と呼んでいた。
 ぼくも、敬意をこめて「ヒョさま」と呼びたい ^^
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 今回の訪問団の中には、ぼくのシリーズ絵本の担当者もいた。
 初対面なので、うやうやしく挨拶。
 発売されたばかりのペンギン本をプレゼントした。
 すると、彼女はすぐに本(力量)をチェック。

 おーこぇー
 お手柔らかに ^^
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by kimfang | 2009-06-16 18:41 | トピックス
09/6/10 コウノトリ野生復帰アイデア発表大会
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韓国の青少年新聞ナリンニュースは、「コウノトリと一緒に暮らすためにどうすればいいのか?」というテーマでアイデアを公募する。

 ナリンニュースがコウノトリに注目するきっかけを作ったのは、ぼくと「コウノトリ湿地ネット」とコウノトリに憑かれた記者さんだ。昨年、9月26日、ナリンの青少年記者と代表理事が豊岡市を訪れた。ぼくと記者さんは「コウノトリとともに暮らす豊岡市」を案内して回った。
 彼らは城崎小学校でコウノトリを取り上げた授業を参観(写真)、コウノトリ湿地ネットのメンバーと食事をしながら意見交換もした。また、コウノトリを育む農法も学び、コウノトリの郷公園も視察したのだった。
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 実は、彼らは中国からトキを寄贈してもらおうと7万筆の署名を集める運動を展開した実績を持つ。トキの故郷、中国の陝西省洋県と新潟県佐渡島にもいっている。

 昨年8月に初めて会って以来、度々情報交換をしてきたが、何をいってもトキにしか関心がなかった。

 しかし豊岡を訪れてからは変わった。「目からウロコが落ちた。人と野生動物との共生のモデルを見た」というのだ。自分たちの努力でやってきたトキの野生復帰のためにも、コウノトリから、豊岡から、多くを学ばなくてはいけないと痛感したのである。

 豊岡のことを『コウノトリ 自然とともに生きる話』(ウリ教育)で韓国に伝えたぼくとしても、たいへん喜ばしいことだった。

 豊岡を案内してから半年。しっかりと準備を進めて、今回の「コウノトリキャンペーン」となった。
 公募の詳しい内容は以下のとおり。
 「私たちもコウノトリと一緒に暮らせるだろうか? 2009 青少年コウノトリ野生復帰アイデア発表大会」
 みなさん! コウノトリが我が国(韓国)で絶滅したこと。今、多くの人たちが復活のために努力している事実を知っているでしょ?!
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 応募テーマと内容
 ①どうしたら、もっとコウノトリのことを知らせることができるか?
 ②どうしたら、コウノトリがすめる農村をつくれるのか?
 ③どうしたら、コウノトリで農村経済を活性化できるか?

 選ばれた13の優秀作品が、7月10日に国会議事堂内 国会図書館小会議室で発表される。
 この「コウノトリキャンペーン」は、環境省、農林水産食品省、文化財団庁、農村振興庁、韓国教員大学など、多くの政府機関の全面的な後援によって展開されることになっている。

 さて、どんなアイデアが出るのか?
 これがきっかけで、コウノトリと豊岡市のことが、もっともっと知られればいい。
 そして、ぼくの本も売れればいいなぁ ^^
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by kimfang | 2009-06-14 10:51 | トピックス
09/6/6 ムルチョンセ
 ホント、友人はありがたい。今度はフリーの編集者が絵本の仕事を取ってくれた。
 で、「何を書く?」と聞いてきたので、「カワセミが書きたい」と迷わずに答えた。近所に彼らと出会える場所があるし、いつか彼らの暮らしぶりを絵本にできればと願っていた。
 でも、カワセミを主人公にすることは決まったが、いったい何を主題に描くべきか…。とにかくカワセミの観察からはじめた。

 カワセミは漢字で「翡翠」と書き、「飛ぶ宝石」と呼ばれているたいへん美しい鳥だ。しかしスズメより一回り大きいくらいの小さな体(約17㎝)に似合わぬ、どう猛なハンターでもある。
 水面を眺め、魚が通るや真っ逆さまにダイブ。体の4分の1もある大きなくちばしで魚を捕らえると、羽を広げて急ブレーキ。羽ばたいて水からあがると、捕らえた魚を岩や木の枝に打ちつけて殺してから頭から飲み込む。
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 韓国語で「물총새(ムルチョンセ・水銃鳥)」。鉄砲弾のように魚を仕留める鳥だとしてその名がついた。
 英語では「Kingfisher」。古い中国語でも「魚狗」または「魚虎」という。それほど魚を捕るのが印象的な鳥なのだ。
 ならば魚を捕る過程を主題にしては? いやいや、日本には魚を捕る瞬間の撮影に世界で初めて成功した嶋田氏の絵本をはじめ、レベルの高い写真絵本が随分とあり、いくつかは韓国でも翻訳出版されている。ぼくが今さら描く必要もない。

 ←嶋田氏のカワセミ最新作。長年の集大成ともいえるクオリティーの高い絵本。

 そこで注目したのが、子育てだ。カワセミは岸壁や土手の赤土に穴を掘り、巣穴の中で子育てをする。巣穴の中を撮った写真絵本はない。というか、ヒナに負担をかけないよう、あえて撮られてこなかった。それじゃあ、写真じゃなくて絵だからこそ描ける世界を主題にしようと決めた。

 しかし、巣穴の中の様子を詳しく書いた文献は少ない。しかも考えれば考えるほど疑問が湧いてくる。例えば、親鳥は5~7羽のヒナに食べ物をあたえるのだが、暗い巣の中では、どのヒナが食べてどのヒナがまだなのかわからない。親はどうやってすべてのヒナを育てあげるのだろか? などなど。わからないことだらけだった。

 そんな時、国立科学博物館付属自然教育園が、「カワセミの子育て生中継」をしていることを知った。論文を取り寄せると、「食べ物をもらったヒナは後ろにさがり、時計回りに親から給餌を受ける」とあった。何と、不思議な! それでみんな育つんだな! 
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 巣穴から巣立ったヒナたちは天敵に見つからぬよう藪の中で暮らしながら、魚を捕る技を親から学ぶ。やがて親は、若鳥に「真の巣立ち」を促す。
 6月、カワセミの二度目の子育てが続いている。ぼくの観察も ^^

 ←カワセミの写真絵本の中で一番のお薦めは嶋田忠氏の『カワセミ チューさんと青い宝石』(平凡社)。 
  作者の嶋田氏が、チューさん(自分自身)がどのようにしてカワセミと出会い、水中での魚捕りをどのように撮影したか? をはじめ、巣穴の掘り方から巣の中の様子などを子どもたちに語りかけるように書いた秀作だ。(惜しくも絶版)
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by kimfang | 2009-06-06 14:09 | トピックス
09/6/3 ペンギンの次は? 絵本『巣箱』 来月発売か?
 ありがたいのは友人たちだ。『うんちのちから』(主婦の友社)で知られる韓国の絵本作家、ホ・ウンミさんが紡いでくれた「縁」で、6年ぶり、本当に久しぶりに絵本がでる。

 この間、ノンフィクションや科学読み物は順調に出ていたが、なぜか絵本とは縁がなかった。
 なのに、むしろ「絵本作家」という肩書で紹介されることが多いほど、動物絵本展韓国絵本展、動物絵本全集編纂、翻訳…などなど、絵本の仕事をこなしてきた。もちろん、絵本の原稿もたくさん書いていたのだが・・・ことごとく出版には至らなかった。

 なのに、出版が決まったら、なんとシリーズ化! 『ふわふわ くもパン』(小学館)の版元で有名な한솔수북 出版社から「더불어 생명(生きものと共に) シリーズ」が出ることになった。
 ほんと、「作家業」とはわからないものです ^^
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 シリーズ第一弾は、画家さんがすごい!
 これまた、「韓国の四季の絵本シリーズ」(平凡社)で知られる友人の絵本画家、イ・テスさんの縁で、彼の後輩であるイ・スンウォンさんが絵を担当してくれることになった。
 
 イ・スンウォンさんは1977年ソウル生まれ。2001年に韓国出版美術協会が開催した公募展で特別賞を受賞しただけでなく、2006年の「ボローニャ国際児童展」にて、今年のイラストレーターに選ばれた実力者だ。

 イタリアで開かれるボローニャ国際児童図書展では、毎年、イラストを選定して展示し、それを図録に残す。あの、有名な絵本画家、いもとようこさんは、ボローニャ国際児童書展エルバ賞を2年連続受賞している。
つまり、この図録に載った人の絵は世界の出版人の目に触れるのである。

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 スンウォンさんがボローニャで選定されたのは『경복궁』(景福宮)という絵本。朝鮮王朝を開いたイ・ソンゲ(李成桂)により1935年に建てられた王宮を、色鉛筆を用いて繊細かつ力強く描いた。
 当然、『巣箱』も同じような画法で描いてくるものと思っていた。
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 ところが先日、絵のサンプルが届いて驚いた。アクリル絵具を使った斬新な画法だった。
 ビックリ! 

 本文の絵はほぼ完成。今は扉や解説の絵に着手したとのこと。
 ただ、スンウォンさんは7月初旬に結婚式が控えているという。

 たいへんやけど頑張ってや!           
 7月には出るでしょう。たぶん ^^                                    絵本の一場面(ペンギンの巣箱) 
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by kimfang | 2009-06-03 15:24 | トピックス
09/5/23 ハンギョレ新聞でも紹介されました!
 日本の新聞での書評は、ふつう日曜日の朝刊の中だ。一方、韓国では、土曜の朝刊に入っている折り込み別冊の中で紹介される。だから韓国で新刊を出すと、「今週は載っているのかな?」と土曜日ごとにちょっぴり緊張したりする。
 5/9,16に続いて23日も記事をかいてもらって、一安心。特に、環境保護に関心の高い人たちが読んでいる「ハンギョレ」(新聞)で紹介されたのは大きい。よかった。記事はこちら。ハングルですが。
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by kimfang | 2009-05-23 12:08 | トピックス
09/5/8 ついにペンギン本 発売されました!
 2006年4月 長崎ペンギン水族館の取材からはじまったペンギン本の執筆。
 3年と1か月かかって、ついに発売された。 
 
 そもそもこれを書くことになったきっかけは、韓国を代表する環境NGO、環境運動連合が国会議員会館の前で行った「地球温暖化と南極の生態系危機」というイベントの記事だった。※南極の生き物を助けたければ、クリルで釣りをしないで 
 そこには、南極の自然を支えているクリル(ナンキョクオキアミなど、エビに似た小さなプランクトンの総称)を韓国は年間約4万トンも乱獲(世界一位になった年も)している。その90%が釣りのエサに使われていると書いてあった。

 記事に掲載された写真がぼくの心に響いた。クリルのついた釣り糸を垂らした人に向って、着ぐるみのペンギンたちが、「クリルを使った釣りをやめて!」とプラカードを力強く掲げていた。アデリーペンギンやアゴヒゲペンギン、ジャンツーペンギン、マカロニペンギンなどは、主食がクリルだ。もう、居ても立ってもいられない。乱獲をやめさせたくて本を書いた。

 ところが執筆過程で、韓国だけの問題ではないことを知った。
 南極のクリル漁はそれまでの総漁獲が約50万トン。ソ連が最大の漁獲量を誇っていた。しかし1991年のソ連邦の崩壊以降10万トンに減り、日本が世界一位の座に。
 やがて韓国が日本の漁獲数を上回り、数年前からはノルウェーが断トツの一位となる。ノルウェーの多国籍企業が、大型ポンプで海水ごとクリルを捕る装置を開発し、ひとシーズンで12万トンも捕っている。過去に捕鯨においても「ノルウェー式捕鯨」を他国が取り入れて、クジラを乱獲した歴史がある。また、同じことが起こらないか?と心配でならない。

 でも、今なぜ、クリルが注目されているのか? それは養殖用に使われる魚油や魚粉の材料になってきたイワシ漁などが、もう限界に達し、代用品としてクリルが使われだしたからだ。さらには、クリル油には、「オメガ3脂肪酸」という心臓血管によい物質を高濃度で含んでいる。栄養補助食品や治療薬としても注目されている。
 このように、にわかに需要が高まったクリルを早く保護しないと、クリルを食べるクジラやペンギンたちに深刻な影響がでることは誰の目にも明らかだ。

 韓国では、前国会で、南極海におけるクリル漁が討論された。環境保護団体は、釣りのエサに南極のクリルが使われていることを市民に周知させるキャンペーンを粘り強く展開している。

 日本は、世界一のペンギン飼育国だ。彼らの主食でもあるクリル保護の先頭に立たなくてはいけない責務がある。もちろん日本でも、釣りの撒き餌に南極のクリルが大量に使用されている。なのに、韓国よりも周知が遅れているように思える。
 「日本は国際的な批判を避けるために、直接操業国から輸入国になっている」
 韓国の新聞はそう伝えている。

 とにかく、在日韓国人のぼくは、日韓にクリル乱獲を考え直してもらいたかった。
 ペンギンのために。それはぼくたちのためでもある。

  この問題を考えるに、南極オキアミ保全プロジェクト はとてもいいサイトです。
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by kimfang | 2009-05-09 17:36 | トピックス
09/4/30 いよいよ
 29日の昨日、ペンギン本のすべての作業が「無事?」終わった。いつもの「第3のビール」から少し格上げされた「発泡酒」でカンパイ。今日はデータが印刷所にいったことだろう。

 さて、前回の日記でチェックを終えたと書いた。そう。自分の仕事は終えた。でも、ぼくが「駄目だし」した部分の図やイラストを編集者や画家さん、デザイナーさんたちが、期日内に納めようと必死に努力していたのだ。それをチェックし、さらに意見するのにへとへとになっていた。

 出版社が決めた最終日は29日。とけわけ手を焼いた図は、28日から29日に日付が変わる期限ぎりぎりのところで国際電話でやり取り。送られてきた図にOKを出して、ようやくすべてのチェックが完了した。

 …と、思っていたら…
 何と、印刷所にデータがいく直前にも、本の顔―表紙の変更があった。例の手を焼いた図の手直し過程で、デザイナー室長がいいのをひらめいたらしく、急きょ会議を開いて(ぼくも日本からメールで参加!)変更とあいなった。(シンジラレナーイ ^^) ※正式な表紙はこれにもう少し手を加えたものになるらしい。
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 いろいろあったけれど、でも、みんな、もっといい本にしようとしてのこと。韓国の出版界にはこんなジンクスがある。
 「만들때 속 썩인 책은 잘 팔린다 作る時にやきもきした本ほどよく売れる」。十分にやきもきしたから、きっとよく売れることだろう ^^

 ところで、「懸案」だったタイトルだが、「세상의 모든 펭귄이야기 世の中 すべてのペンギンの話」に落ち着いた。
 出版社から提案があったタイトルだが、「세상의 모든」つまり「世の中 すべての」という言葉に抵抗があった。
 ぼくはペンギンの専門家でもなく、彼らを何十年も追いかけていたあけでもないし、彼らの生息地を旅したこともない。「世の中 すべて」というほど知ってない。
 また、18種類のペンギン「すべて」に、均等に愛情を注いだ造りにもなっていない。だから、「世の中 すべて」という仰々しいカンムリだけはイヤだと抵抗していたのだった。

 ところが先日、韓国で一番使われているインターネット検索エンジン「ネイバー」を開いたら、「세상의 모든 지시, 네이버 世の中 すべての知識、ネイバー」というカンムリがついていた。
 グーグルやヤフーよりも規模が小さくても「世の中 すべて」というところが、何とも韓国らしい。つまり、「世の中 すべて」は韓国ではふつうに使われる「慣用句」だと知った。

 まぁ、大げさだけど、ふつうに使われている言葉ならいいかぁ。と、受け入れた。今では慣れてきたのか、結構気に入っている。

 発売日は、5月8日!
 その日は「プレミアムビール」でカンパイしよう。
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by kimfang | 2009-04-30 14:08 | トピックス
09/4/14 タイトル迷走
 いよいよペンギン本が来月に出る。
 先月の訪韓以降、約一か月、文章の校正や挿絵・写真のチェックと、たいへん忙しい日々を送っていたが、それもようやく終わりつつある。
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 今回のペンギン本は「科学読み物」と「マンガ」のコラボという野心作だ。「受験大国」韓国では、学習読み物の需要は高い。しかし近年、学習マンガがすごい勢いで売れている。ただの学習読み物ではなかなかヒットしない。そこで今回のコラボとあいなった。多分、韓国では初めての試みだと思う。

 20話あるお話の中の4話がマンガだ。
 京都精華大学でマンガを学んだチェ・ヒョンジョンさんの実力は、ぼくが出版社に紹介した張本人だから、よーく知っていたが、挿絵も彼女が担当するとは知らなかった。
 絵が届いて驚いた! ぼくの意図を見事に表現した素敵な絵ばかり。この絵にマンガまで入るのだから、かなり期待できそうだ。

 いくつかお見せしよう。
 これはジェンツーペンギンの名前の由。ジェンツーとは異教徒を意味するポルトガル語で、ジェンツーペンギンの頭の模様が、シーク教を信じるインド人のターバンに似ているとしてその名がついた。

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 これは人間がオーテトラリアに持ち込んだペットが、コガタペンギンの新たなる天敵となっているというお話。

 絵もよく、マンガもいい、デザインもいい。
なのに予期せぬ問題が持ち上がった。それはズバリ、本のタイトル。

 もともとぼくはこの本を「ペンキンのㄱㄴㄷ」という構成で書いた。
わが家の子どもたちから『ペンギンのABC』のパクリだと非難を受けても、ㄱㄴㄷの順番で話すというスタイル構成のにこだわった。

 
f0004331_13451185.jpg しかし出版社が、自社のロングセラー科学読み物『고래는 왜 바다로 갔을까 (クジラはなぜ海にいったのか)』の後継作品とするとまでいってくれたので、その構成を捨てて、『クジラ』に似た構成にするために最初からすべて書き直した。

 だからタイトルも、『ペンギンはなぜ○○か』のカタチにしようとあれこれ考えた。
 でも、もう刊行という時期になっても、ぼくも出版社も納得するタイトルが出てこなかった。

 すると出版社が、『ペンギンはなぜ○○か』のカタチにこだわらずに考えましょうといってきた。おいおい、後継作品というからㄱㄴㄷを捨てたのに…
 
 それから、また、ああだ、こうだがあって・・・
 とにかく『펭귄 이야기(ペンキンの話)』という言葉をいれることは決まった。
 あとひと月を切ったのに、いまだにタイトルが決まっていない ^^ 

 ほへ~どうなる~
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by kimfang | 2009-04-16 13:41 | トピックス
09/3/13 さようならジャイアント
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 韓国滞在中の13日夜、シリーズ絵本の画家さんたちと打ち合わせをしていたら、漫画家のチェ・ヒョンジョンさん(ペンギン本の絵を担当する)から電話がかかってきた。
 声の調子からして、よくない報せだとわかった。案の定、ソウル大公園のアジアゾウ・ジャイアントが死んだという内容だった。(亡くなったのは8日)
 ぼくが出した『サクラ』を読んで以来、彼女は、度々ソウル大公園を訪れては、サクラの近況などを伝えてくれていた。サクラのお婿さん候補だったジャイアントのことも、詳しく報告してくれていた。

 ジャイアントは、1955年5月24日、3歳のときにタイからやってきた。
 今年で57歳(韓国のマスコミが58歳と報じたているのは歳の数え方が違うから)。
 それはそれは韓国にとって、とてつもなく「ジャイアント」な存在だった。
 
 1950年6月25日からはじまった朝鮮戦争は、同じ民族が国土を焼き尽くして戦った悲惨な戦争だった。
 53年に休戦を迎えるも、いまだに戦争は終結していない。
 日本の統治から解放された45年からわずか5年で戦争となり、心も体もくたくたになった国民に平和と安らぎを与えるため、「昌慶苑動物園」(ソウル大公園の前身)の再建が急がれた。
 1954年4月、動物園は再開されたが、戦争による被害はひどく動物の数は極めて少なかった。ほ乳類はわずかに10種。
 
 『韓国動物園80年史』によると、サル、アナグマ、クマ、キツネ、タヌキ、ヤマネコ、水牛(アジア産)、ウシ(韓牛)、ヤギ、コウライカモシカ。
 ゾウも、キリンも、カバも、オオカミも、ゴリラも、動物園なら必ずいる人気者たちはいなかった。
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 何としても、子どもたちの笑顔を取り戻さなくては! 
 動物園再開の翌年、国民の熱い想いを受けてやってきたのが、ほかならぬジャイアントだったのである。
 それ以来、彼は、半世紀を越す長きに渡って国民から愛され続けた。
 ジャイアントは、今年100年を迎える韓国の動物園史に、なくてはならない存在であり、最大の功労者であると思う。

 ジャイアントとぼくの出会いは、2005年1月。サクラを取材する過程で知り合った。当時、ソウル大公園では、宝塚でひとりだったサクラと、タイから一緒にやってきた愛妻を亡くしたジャイアントの「お見合い」が進行中だった。
 ジャイアントをほかのゾウから離し、人(ゾウ)恋しくさせておいて、サクラとカップルにさせようとしているところだった。
 しかし、このときすでにサクラはアフリカゾウのリカに夢中で、アジアゾウとアフリカゾウの恋は、「結ばれない愛」として韓国中の話題になっていた。  写真→サクラ(左)とリカ(右)

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 その後、サクラはリカと離されて、ジャイアントの隣で暮らすようになった。
 ジャイアントはサクラに一生懸命にプロポーズした。
 オレと一緒にならないかと…
 なのに、リカが忘れられないサクラは、それを断ってしまったのだ。

 ぼくはサクラの友人として、ジャイアントに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
 サクラに代わって、お詫びしたい。ごめんね。
 そして安らかにおやすみ。
 ぼくたちは、いつまでもいつまでも、君を忘れない。
 さようなら、ジャイアント
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by kimfang | 2009-03-26 15:11 | トピックス