本来ここは本屋さんだけど、その上の階には店の名前のように実際に子どもたちの遊び場があり、学校や塾帰りの子どもたちが、三々五々、集まってくる。子どもたちは本を読んでもいいし、おやつを食べてもいいし、遊んでもいい、自由だ。まるで、むかし日本にたくさんあった「地域文庫」のようだ。 文庫みたいな子ども図書館はこれまでも行ったことがあるが、ここは図書館ではない。本屋だ。しかも、下の本屋と上の遊び場を子どもたちが自由に行き来しているのに、違和感なく一体となっている。それが何とも不思議でとっても素敵なのだ! さて、講演をはじめようとしたら、いきなり子どもたちから「粋なプレゼント」をわたされた。「キム」と「ファン」というタイトルの短い詩の朗読だ。 「キム : キム・ファン作家は, ファン : ファングム(黄金)色だ」 「キム : キム・ファン作家は, ファン : ファンジェ(皇帝)ペンギンみたいだ」 「ははは。確かにぼくの頭は黄金に輝いていて、ペンギンが大好きだ」 どっと笑いが沸き起こった。ではプレゼントのお返しにと、紙芝居を2作演じてから講演をはじめた。 なんとも不思議で素敵な空間で子どもたちに、大好きなペンギンの話をすることができて、とーってもたのしかった^^
#
by kimfang
| 2023-12-20 07:28
| トピックス
きょねんのことだ。友人の翻訳家、オム・ヘスクさんと一緒に京畿道・コヤン(高陽)市にある児童書専門書店、「アルモ書店」を訪ねた。この書店は2008年にオープン。なんと、栄えある「作家との出会い」第1号が、ほかでもなくぼくなのだ! 2009年の9月に『すばこ』(ほるぷ出版)の講演をした。あの時はまだ、いまほど韓国語が上手ではなかったが、子どもたちが一生懸命に聴いてくれてたことをいまも鮮明に覚えている。 ところがきょねん代表が、「15年はすると心に決めてがんばってきた。来年がちょうどその節目の年。もう閉めてもいいと思っている」と話された。 今回、出版社から、「講演を希望される場所はありますか?」との問いに、ちゅうちょなく「アルモでやりたい」と要請した。だって、もしかしたら店を閉めるかもしれないのだから。 ぼくが来るということで代表が気を使い、14年前にぼくの講演に参加した子どもたちに声をかけてくださったが、学校や会社の用事などで来られない子がほとんどたった。それでもひとりが会いに来てくれた。 参加者は少なかったが、2009年以来、14年ぶりにたのしく新作絵本『ペンギン』の話をさせていただいた。 ところでアルモはどうなるのか? 一年間「お試し」で娘さんが運営してみて、それを踏まえて最終判断をくだすのだとか。続けてくれることを心より願っている。 講演料だと渡された封筒の中に入っていたのが左上の絵手紙。「2009年からのきづな」と日本語で書かれていた。 #
by kimfang
| 2023-12-19 07:26
| 取材ノート
京畿道パジュ(坡州)市のシマク小学校も、ソサンと同様にプラットフォーム「本の種」の掲示板にあげられた絵本『たった2℃で…』の記事を見て、連絡がきた。 なんと、1-2年生45名を対象に90分の講演をやってほしいというではないか。うーん……。2年生はいいとして、地球温暖化の話は1年生にはやはり、むずかしい。ソサンのように対象年齢を替えては? と勧めたが、きっぱり断られた。 なんでも学父母の方が先日、この子たちに絶滅動物のお話をされたので、その流れの続編として依頼したという。ただ、1-2年生は「作家との出会い」をいままで一度もしたことがないので、くれぐれもよろしくお願いしますと。そんなぁ……。 ぼくを信じて依頼してくださっていることは、よーくわかる。しかし、こんなむずかしいミッションは、最近、ない。1年生でも理解できるよう、これまでの経験を総動員させて講演の構想を練ったが、ストレスで胃が痛い日々が続いた。 ところが当日、会場の学校図書館に入った瞬間、その不安は一瞬で消えた。ここは出版社のエントランスか? そう思わせるほど、きちんと整理された充実した空間。それを管理指導する司書さんの自信に満ちた雰囲気。あぁ、これは絶対にうまく行くやつだと安心した。 ソサンで演じた紙芝居『クマノミのおとうさん』を、参加型の『アマガエルのきしょうよほうし』にチェンジ。動物もウミガメとパンダのふたつだけに絞って話し、最後にみんなでパンダ紙工作をした。 講演はとてもうまくいった。絵本『たった2℃で…』は工夫さえすれば、低学年でも大丈夫だとわかった。ソサンの先生〜できないといってごめんなさい^^ #
by kimfang
| 2023-12-18 06:52
| トピックス
11月はひと月に3度も韓国へ行った。さすがに年内はもうないと思っていたら、突然、講演の依頼が舞い込んで行ってきた。呼ばれたなら可能な限り行くのがぼくのスタイル。でも、どのようにして依頼がきたのか? とても気になった。 それはつぎのようなことだという。韓国には「読書文化のプラットフォーム 本の種(チェクシア)」というネットサイトがあることを今回、はじめて知った。 出版社が、この本で、こんな条件で、著者が講演しますよと「本の種」の掲示板に載せると(右上の写真)、それを見た関係者が申請する。それを受けて出版社が日程や講演料などを依頼者と調節し、「作家との出会い」を実現させるのだ。もちろん、本の紹介や本に関するイベントなども発信している。 さて、今回のことだ。忠清南道ソサン(瑞山)市にある、全校生徒54名の小さな学校、カンダン小学校の2年生の担任の先生は、学校図書館司書も兼任されていた。「本の種」でぼくの絵本『たった2℃で…』を知り、気に入った。この本の著者を自分が担任する子どもたちに、ぜひ、会わせてあげたいと、本の種に申請されたのだ。 しかしぼくは、地球温暖化の話は2年生なら何とかいけても1年生にはむずかしいので、5-6年生に替えようと逆提案。結局、1-2年生は『すばこ』(ほるぷ出版)、3-4生は『ひとがつくったどうぶつの道』(ほるぷ出版)、5-6年生は『たった2℃で…』(未訳)と、3講演することに。 おどろいたのは、校長先生がそれぞれの絵本、一冊ずつを全校生徒全員にプレゼントしてくださったこと。 子どもたちとたのしい時間を過ごせて、しあわせだった^^ #
by kimfang
| 2023-12-17 08:01
| トピックス
2007年のことだった。 韓国にいっていたときに偶然、「ナンキョクオキアミで釣りをしないで」という環境保護団体のパフォーマンスを伝える記事を読んだ。前年からペンギンで何か書こうと取材をしてたこともあり、これだ! とひらめいた。 実は韓国は南極のオキアミを世界で3番目に多く採っているのだ。 ちょうど出版社との打ち合わせがあり、「ペンギンとオキアミ」というテーマで「絵本」を書きたいというと、強く反対された。 「うーん……読者はまだ、その問題を理解できませんよ。だって我が国にはまた、ペンギンの本が一冊もないのですから。そうだ、先生。ペンギンの科学読み物、書けますか?」 逆に「科学読み物」の提案を受けた。そうやって2009年に出たのが『世の中のすべてのペンギンの話』である。 それから10年がたった2019年。「もう大丈夫だろう」と絵本の原稿を書き上げたが、出してくれる出版社がなかなか見つからなかった。そうやって16年越しで発売されるのが今回の絵本『ペンギンにオキアミをかえしてあげて!』だ。 さて、どんな内容か? 気になるでしょ^^ ペンギンが魚を追いかけていると、ヒョウアザラシに出会い凍り付く。逃げるペンギンを追いかけていたヒョウアザラシは、シャチに出会って凍り付く。ところがペンギンも、ヒョウアザラシも、シャチも、クジラも、みんなが凍り付いたのは……。 むずかしくて重いテーマを、よくもまあ、分かり易くユーモアたっぷりの話にできたと自分でも感心している。いやいや、すべて画家さんとデザイナーさんのおかげた。 11日、韓国で発売です。 #
by kimfang
| 2023-12-09 08:28
| 出版物
|
リンク
メールアドレス
kimhwang00@ybb.ne.jp サイト内検索 検索
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... ファン
ブログジャンル
サイト内の絵、イラスト等には著作権があります。無断複写・転載を禁じます。 【 出版物 】 |
ファン申請 |
||